雨夢楼

(はかないことばね)

儚い言葉ね

(むかえにいくよまっていて)

「迎えに行くよ…待っていて」

(ときをかさねきせつがめぐってもまだ)

時を重ね　季節が巡っても、まだ

(しんじてまってる)

信じて　待ってる

(はらりゆきがまうよぞらほころびたきものをきて)

はらり　雪が舞う夜空　綻びた着物を着て

(ふるえるかたをよせあうまずしいこどくなおさなご)

震える肩を寄せ合う　貧しい孤独な幼子

(あかるくわらうひとみはうつむきうれうひとみは)

明るく笑う瞳は　俯き憂う瞳は

(たがいのきずをうつしていきることをちかった)

互いの傷を映して　生きることを誓った

(よいやみにさそうはおいらんぞう)

宵闇に誘うは　花魁草

(あまいみつにまうよるのちょう)

甘い蜜に舞う　夜の蝶

(きれいなきものなびかせて)

綺麗な着物　なびかせて

(みだれてさかせて)

乱れて　（咲かせて）

(だれよりかがやくはなになってみせる)

誰より輝く華になって　魅せる

(ねえはかないことばね)

ねえ、儚い言葉ね

(ずっと、いっしょにいようね)

「ずっと、一緒にいようね」

(きせつがめぐっておとなになってもまだ)

季節が巡って、大人になっても　まだ

(しんじていいの)

信じていいの？

(あのひからすべてはじまった)

あの日から全て、始まった

(ゆうぐれにそまるやくそく)

夕暮れに染まる　約束

(さびしいこころきづかれぬように)

寂しい心、気付かれぬように

(さめないゆめにおぼれてる)

醒めない夢に溺れてる

(たそがれにそまるまちでひとしれずにこいをした)

黄昏に染まる街で　人知れずに恋をした

(おもいをつげることさえかなわずにただみつめる)

想いを告げることさえ　叶わずに　ただ見つめる

(やさしくわらうひとみのさきにほほえむそのはな)

優しく笑う瞳の先に　微笑むその華

(ひそやかなこいごころはおとをたててくずれた)

密やかな恋心は　音をたてて　崩れた

(おもいおもわれがとこよのしらべ)

想い　想われが　常夜の調べ

(いろなきやみのげんそうよ)

色なき闇の幻想よ

(あいされるのがしあわせ”ならば)

“ 愛サレル” のが　“ シアワセ” ならば

(わたしはあなたは)

ワタシは…　（アナタは…）

(だれよりずっとしあわせなはずなのに)

誰よりずっと　幸せなはずなのに

(ああはかないことばね)

ああ　儚い言葉ね

(むかえにいくよ・・・まっていて)

「迎えに行くよ…待っていて」

(あいしているといわれるたびに)

「アイシテイル」と　言われる度に

(いきるかちたしかめて)

生きる価値、確かめて

(でもそれならなぜいますぐに)

「でも、それなら何故　今すぐに

(さらっていってくれないの)

攫っていってくれないの…？」

(こみあげてきたむなしいさけびは)

込み上げてきた　虚しい叫びは

(ことばにできずきえていった)

言葉にできず　消えていった

(よあけとともにきえてくにせもののあいのむくろ)

夜明けとともに消えてく　（偽物の愛の骸）

(すべてがゆめだったならなかないでいられたのに)

全てが夢だったなら　（泣かないでいられたのに）

(いつまでもまってるからよいやみにちかったやくそくは)

「いつまでも待ってるから」　（宵闇に誓った約束は）

(はかないはなとともにきえた)

儚い華とともに　消えた

(とおいひのゆうぐれやくそくおぼえてる)

遠い日の夕暮れ　約束　覚えてる？

(ふたりでならんであるこうね)

「二人で並んで歩こうね」

(きっといつか)

きっと、いつか

(ああはかなくきえてった)

ああ　儚く消えてった

(かれんなはなとはつこいよ)

可憐な華と　初恋よ

(きせつがめぐっておとなになっても)

季節が巡って　大人になっても

(なおらないきずあとのこして)

治らない傷跡　残して

(ゆうぐれのなつのひかなわないやくそくをいま)

夕暮れの夏の日　叶わない約束を今

(わたしはひとりたったひとりで)

私は独り　たった独りで

(あてもなくまちつづける)

宛てもなく　待ち続ける

(ゆうぐれにちかったまま)

夕暮れに誓ったまま

(すべてがゆめだったなら)

全てが夢だったなら…