アルカホール

(よいのふちにこしかけものおもいまちはなれなれしかった、とうじ)

宵の淵に腰掛け物思い　街は馴れ馴れしかった、当時

(でも、したしいかおすればすどおりもろいおもいではとけてしまったこおり)

でも、親しい顔すれば素通り　脆い思い出は溶けてしまった氷

(かれはきすしたてくびのきずにあさひにしらふのかおはきまずい)

彼はキスした手首の傷に　朝日に素面の顔は気まずい

(めのしたのくまはくろいみかづきぬくいしーつにかおりのなごりはずるい)

目の下のクマは黒い三日月　温いシーツに香りの名残はずるい

(そととかくりしたへやでのみほすしょうびょうてあて)

外と隔離した部屋で　飲み干す傷病手当

(げんじつにわるよいどうせさかぬつぼみ)

現実に悪酔い　どうせ咲かぬ蕾

(まびかれるならどうかわたしから)

間引かれるなら　どうか私から

(はしゃいだぶんだけさびしいくうきょにけしょうほどこし)

はしゃいだ分だけ寂しい　空虚に化粧ほどこし

(ゆうばえがさいごにほおをあかくそめてくれる)

夕映えが最後に　頬を赤く染めてくれる

(そしたらきれいといってよかったころのおもいで)

そしたら綺麗と言って　良かったころの思い出

(くちをふさいでだまらせていまだけみてろって)

口を塞いで黙らせて　今だけ見てろって

(ああああるかほーるふぉーる)

ア　ア　ア　アルカホール　フォール

(ばすではいつもあせがひどいあせるひほどしんごうはきいろい)

バスではいつも汗が酷い　焦る日ほど信号は黄色い

(みーてぃんぐでせいじゃくにみじろぎどうきたにんはいつもわたしにはとおい)

ミーティングで静寂に身じろぎ　動悸　他人はいつも私には遠い

(はみだしたものがなくだからどうとかじゃなく)

はみ出した者が泣く　だからどうとかじゃなく

(あきらめていいりゆうにはじゅうぶん)

諦めていい　理由には十分

(あてなないそくたつでくろがくる)

宛名ない速達で黒が来る

(おさないころままがいった「あなたはてんしだ」って)

幼い頃ママが言った「あなたは天使だ」って

(だからてんごくをすりっぷしてこのへやにおちた)

だから天国をスリップして　この部屋に落ちた

(すでにはねもがれたけどいまさらとぶきもないの)

すでに羽根もがれたけど　今さら飛ぶ気もないの

(だからなんだっていうのただひとつ、ままごめんね)

だから何だって言うの　ただ一つ、ママごめんね

(ああああるかほーるふぉーる)

ア　ア　ア　アルカホール　フォール

(けいはくなけんそうとみみつんざくおんがくそのなみにさらわれてぜんぶわすれたはず)

軽薄な喧騒と耳つんざく音楽　その波にさらわれて全部忘れたはず

(こんなよるのこどくとかいつかのきれいなきすとか)

こんな夜の孤独とか　いつかの綺麗なキスとか

(よあそびのふゆのにおいとかわらったはずのきせつとか)

夜遊びの冬の匂いとか　笑ったはずの季節とか

(あさがたうちあげられてかおをおおってないてる)

朝方打ち上げられて　顔を覆って泣いてる

(きおくのしがいたちであくせさりーつくって)

記憶の死骸たちでアクセサリー作って

(「きれいでしょ？」「きれいでしょ？」ってずっとないてる)

「綺麗でしょ？」「綺麗でしょ？」ってずっと泣いてる

(あのこはだれだっけ？なんてわたしにきかないで)

あの子は誰だっけ？なんて私に聞かないで

(さびしいぶんだけはしゃいでうしろめたさあしらえば)

寂しい分だけはしゃいで　後ろめたさあしらえば

(むじゃきなかおのよるがすべてかくまってくれる)

無邪気な顔の夜が　全て匿ってくれる

(そしたらきれいといってこんなみじめなわたしを)

そしたら綺麗と言って　こんな惨めな私を

(くちをふさいでだまらせてぜんぶゆめだって)

口を塞いで黙らせて　全部夢だって

(ああああるかほーるふぉーる)

ア　ア　ア　アルカホール　フォール