抒情死

(あいでんてぃてぃがとうきょうわんにうかんでいる)

アイデンティティが東京湾に浮かんでいる

(じゅんこうするごうかきゃくせんのそのなみでふゆうしてるやがてしずむ)

巡航する豪華客船のその波で　浮遊してる　やがて沈む

(ものめずらしそうにじょうきゃくはひとだかり)

物珍しそうに　乗客は人だかり

(たすけるべきか？いや、あんなえたいのしれないものにはふれるな)

助けるべきか？　いや、あんな得体のしれないものには触れるな

(あれはなんだ？あれはなんだ？あれはなんだ？あれはなんだ？)

あれはなんだ？　あれはなんだ？　あれはなんだ？　あれはなんだ？

(じゅだくときょぜつきょぜつきょぜつてはくめないぜただじゃしなないぜ)

受諾と拒絶　拒絶　拒絶　手は組めないぜ　ただじゃ死なないぜ

(きょかされていきるいのちではないよああわたしのわたし)

許可されて生きる　命ではないよ　ああ私の私

(おうとうとぜつとぜつとぜついきているならこえをきかせて)

応答途絶　途絶　途絶　生きているなら声を聞かせて

(じょじょにむしばまれるくらいのじょじょうしああうたいつづけて)

徐々に蝕まれるくらいの抒情詩　ああ詠い続けて

(なにがぜんでなにがあくかしろとくろわかりあえずいがみあって)

何が善で何が悪か　白と黒分かり合えずいがみ合って

(はいいろがわってはいって)

灰色が割って入って

(おたがいをみとめあうべきだとふところからとりだす)

お互いを認め合うべきだと　懐から取り出す

(きょうかんをみていや、そんなきけんかもしれないものにはたよれるか)

共感を見て　いや、そんな危険かもしれないものには頼れるか

(それはなんだ？それはなんだ？それはなんだ？それはなんだ？)

それはなんだ？　それはなんだ？　それはなんだ？　それはなんだ？

(じゅだくときょぜつきょぜつきょぜつせんせいやいしゃかみさまにでも)

受諾と拒絶　拒絶　拒絶　先生や医者　神様にでも

(かえることできないかたちとなかみああわたしのわたし)

変えること出来ない形と中身　ああ私の私

(おうとうとぜつとぜつとぜついきているならこえをきかせて)

応答途絶　途絶　途絶　生きているなら声を聞かせて

(じょじょにむしばまれるくらしのじょじょうしああうたいつづけて)

徐々に蝕まれる暮らしの抒情詩　ああ詠い続けて

(じゅだくときょぜつきょぜつきょぜつ)

受諾と拒絶　拒絶　拒絶

(きょぜつきょぜつきょぜつきょぜつ)

拒絶　拒絶　拒絶　拒絶

(ふほうとうきされたせんおくのかげぐち)

不法投棄された千億の陰口

(しょうきゃくしょぶんだみえもけんじよくも)

焼却処分だ見栄も顕示欲も

(ぼくらはうちがわ、しずかなばしょへいこう)

僕らは内側、静かな場所へ行こう

(それなのにじぶんをなくせってしたがえってがまんしろって)

それなのに自分を無くせって　従えって　我慢しろって

(つよいかぜにふきとばされておちたとうきょうわん)

強い風に吹き飛ばされて落ちた　東京湾

(かたちとなかみわたしのわたし)

形と中身　私の私

(じゅだくときょぜつきょぜつきょぜつれいしょうやおどしあつりょくにさえ)

受諾と拒絶　拒絶　拒絶　冷笑や脅し圧力にさえ

(ゆがめることできないかたちとなかみああわたしのわたし)

歪めること出来ない形と中身　ああ私の私

(おうとうとぜつとぜつとぜついきぬいたならかおをみせてよ)

応答途絶　途絶　途絶　生き抜いたなら顔を見せてよ

(じょじょにむしばまれるくらしのじょじょうしああうたいつづけて)

徐々に蝕まれる暮らしの抒情詩　ああ詠い続けて