タイプライタ教科書:タツチメソード
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問題文
(よはたねん「たいぷらいてぃんぐ」のきょうじゅにじゅうじし)
余ハ多年「タイプライティング」ノ教授ニ従事シ
(じっちにえたるけいけんとおうべいにおいてけんきゅうせられたる)
實地ニ得タル經驗ト歐米ニ於テ研究セラレタル
(さいぜんのほうほうとをせっちゅうしてここに「たっち、たいぷらいてぃんぐ」の)
最善ノ方法トヲ折哀シテ茲ニ「タッチ、タイプライティング」ノ
(きょうかしょをおおやけにすることとせり。)
教科書ヲ公ニスルコトヽセリ。
(そもそも「たっち、めそーど」(touch method))
抑々「タッチ、メソード」(Touch method)
({すなわちきーぼーどをみずしてとうしゃするもの}が「たいぷらいてぃんぐ」の)
{即チ鍵盤ヲミズシテ謄寫スルモノ}ガ「タイプライティング」ノ
(りそうてきれんしゅうほうなることはなんぴともしゅこうするところなれとも)
理想的練習法ナルコトハ何人モ首肯スル所ナレ|モ
(ただそのれんしゅうこんなんにしてよくこれをしゅうとくしえるものきわめてまれなりしなり。)
唯其練習困難ニシテ能ク之レヲ習得シ得ルモノ極メテ稀ナリシナリ。
(しかれともじっさい「たっちめそーど」がせじんのそうぞうするごとくこんなんなるにあらずして)
然レ|モ實際「タッチメソード」ガ世人ノ想像スル如ク困難ナルニアラズシテ
(よのもんにまなびよのほうほうにてれんしゅうするものにして)
余ノ門ニ學ビ余ノ方法ニテ練習スルモノニシテ
(そのれんしゅうほうほうじゅんじょなどよろしきをえざるためのみ。)
其練習方法順序等宜シキヲ得ザル爲メノミ。
(いまだかつてそのこんなんをうったへしものなくはやきはいっかげつ)
未ダ嘗テ其困難ヲ訴ヘシモノナク早キハ一ヵ月
(おそくもにかげつのおわりにはたんかんなるつうしんぶんをとうしゃしえるにいたる。)
遅クモ二ヵ月ノ終リニハ短簡ナル通信文ヲ謄寫シ得ルニ至ル。
(ここにおおやけにせるほうほうはたねんせいとにきょうじゅせるかたわらていせいにていせいをくわへ)
茲ニ公ニセル方法ハ多年生徒ニ教授セル傍ラ訂正ニ訂正ヲ加ヘ
(ぜんごこうをあらたむることにじゅうゆうよかいはじめてかんせいするにいたりしものにて)
前後稿ヲ改ムルコト二十有餘回始メテ完成スルニ至リシモノニテ
(しんちゅうひそかにみずからほこりとするところなり。)
心中祕カニ自ラ誇リトスル所ナリ。
(たいしょうにねんろくがつげかんちょしゃしき)
大正二年六月下浣 著者識