R.I.P.

(そこにきみがいなかったこと)

そこに君が居なかった事

(そこにぼくがいなかったこと)

そこに僕が居なかった事

(こんなとうぜんをおもうだけでいまがこれほど)

こんな当然を思うだけで　今がこれ程

(だいなものおとうねるさかみち)

ダイナモの音　うねる坂道

(あこがれのぎあいじっただれか)

憧れのギア　いじった誰か

(ざりつりかえりなぞのさーちらいと)

ザリ釣り帰り　謎のサーチライト

(はじまりさがしまよったらよる)

始まり探し　迷ったら夜

(ふしぎがわすれるくらいあった)

不思議が忘れるくらいあった

(そのいくつかのまほうはもうとけてしまった)

そのいくつかの魔法はもう解けてしまった

(ながぐつはきらいかさはだいすき)

長靴は嫌い　傘は大好き

(かさねたらほらこれひみつきち)

重ねたらほら　これ秘密基地

(じてんしゃおきばあいにかよった)

自転車置き場　会いに通った

(しっぽのはえたないしょのともだち)

尻尾の生えた内緒の友達

(いえないことがいまよりもあった)

言えない事が今よりもあった

(さびしいのはなくしたからじゃない)

寂しいのは失くしたからじゃない

(そこにきみがいなかったこと)

そこに君が居なかった事

(わかちあえないとおいひのこと)

分かち合えない遠い日の事

(こんなとうぜんをおもうだけですぐにけしきがにじむよ)

こんな当然を思うだけで　すぐに景色が滲むよ

(たいおんけいでずるしてそうたい)

体温計で　ずるして早退

(げたばこにしゃようためいきひとつ)

下駄箱に斜陽　溜め息ひとつ

(ははのひのあさとうさんとしゃべるで)

母の日の朝　父さんとシャベルで

(しっぽのついたともだちのはか)

尻尾の付いた友達の墓

(かなしいことはたからものになった)

悲しい事は宝物になった

(きみもきっとそりゃもうたくさんもっているでしょう)

君もきっと　そりゃもう沢山持っているでしょう

(そこにぼくがいなかったこといまはそばにいられること)

そこに僕が居なかった事　今は側に居られる事

(こんなとうぜんをおもうだけでせかいじゅうがかがやくよ)

こんな当然を思うだけで　世界中が輝くよ

(おなじものみられたらそれだけでいい)

同じもの見られたら　それだけでいい

(おなじきもちじゃなくてもそれだけでいい)

同じ気持ちじゃなくても　それだけでいい

(かわっていくのならすべてみておきたい)

変わっていくのなら　全て見ておきたい

(いなくなるのならいたことをしりたい)

居なくなるのなら　居た事を知りたい

(ここにだれがいたかっただろう)

ここに誰が居たかっただろう

(それがぼくにもなりえること)

それが僕にもなり得る事

(こんなとうぜんをおもうだけでねむれないほどこわいんだよ)

こんな当然を思うだけで　眠れない程怖いんだよ

(そこにきみがいなかったこと)

そこに君が居なかった事

(そこにぼくがいなかったこと)

そこに僕が居なかった事

(こんなとうぜんをおもうだけでいまがこれほどいとしいんだよ)

こんな当然を思うだけで　今がこれ程愛しいんだよ

(こわいんだよ)

怖いんだよ

(あどばるーんのしたさいじじょうのひーろー)

アドバルーンの下　催事場のヒーロー

(こうかがくすもっぐてをひかれたやきゅうぼう)

光化学スモッグ　手を引かれた野球帽

(ちきゅうでいちばんしあわせだとおもったあのひのぼくにきみをみせたい)

地球で一番　幸せだと思った　あの日の僕に　君を見せたい