プシュケー/wotaku

(もうすこしはなしたかった)

もう少し話したかった

(もうすこしそばにいたかった)

もう少し傍にいたかった

(ひたいをあおがゆった)

額を青が結った

(はんそでをこうかいした)

半袖を後悔した

(ざったなびるをよこぎった)

雑多なビルを横切った

(しろいびょうとうできみはいった)

白い病棟で君は逝った

(つうちがしきりになった)

通知が頻りに鳴った

(つんざくこどうをうらなった)

劈く鼓動を占った

(しょくばをでてはしった)

職場を出て走った

(あいしたわけじゃなかった)

愛した訳じゃなかった

(とくべつなひとじゃなかった)

特別な人じゃなかった

(それでもなにかおもった)

それでも何か思った

(こわい)

怖い？

(つらい)

辛い？

(よけいなものだ)

余計なものだ

(りかいがない)

理解が無い

(しせん)

視線

(どうでもいい)

どうでもいい

(たがいちがい)

互い違い

(とかいのあき)

都会の秋

(だれかのにおい)

誰かの匂い

(なんびゃっかいけいけんしてもそれがわからない)

何百回経験してもそれが分からない

(ゆいいつせいかいのきゅうさいをなしたかんきもない)

唯一正解の救済を成した歓喜も無い

(なんまんかいこうていしてもいわをぬぐえない)

何万回肯定しても違和を拭えない

(きょうしんのびょうしんをまたまわして)

狂信の秒針をまた回して

(もういいよもういいよ)

もういいよ　もういいよ

(はなのたむけ)

花の手向け

(びょうまをせおったしょうねん)

病魔を背負った少年

(しらないこをはらんだしょうじょ)

知らない子を孕んだ少女

(たすかるよちはなかった)

助かる余地は無かった

(といれにすてられたみらい)

トイレに捨てられた未来

(せいぎにうばわれたこきゅうも)

正義に奪われた呼吸も

(ひとしくへるにわたった)

等しくヘルに渡った

(ｓｎｏｗ)

Snow

(ｓｌｏｗ)

Slow

(こけいのうみだ)

固形の海だ

(ｆｌｏｗ)

Flow

(ふろう)

不老

(ふもう)

不毛

(どうでもいい)

どうでもいい

(さかさま)

サカサマ

(わかりあえない)

分かり合えない

(わたしたち)

私たち

(なんびゃっかいけいけんしてもそれにきづけない)

何百回経験してもそれに気付けない

(ゆいいつしゅうてんのあんそくをなしたしんぴもない)

唯一終点の安息を成した神秘も無い

(なんまんかいこうてんしたらいつかゆるされる)

何万回公転したらいつか許される？

(ごうびょうのしょうじょうといいきかせて)

業病の症状と言い聞かせて

(とおいよとおいよ)

遠いよ　遠いよ

(ひとのぷしゅけー)

人のプシュケー

(もしも)

もしも

(うまれることもなくきみとであって)

生まれることもなく君と出会って

(わらえたらはなせたら)

笑えたら話せたら

(そんなこと)

そんなこと

(うんめいがゆるさない)

運命が許さない

(とうていじょうじゅしないゆめをみずにいられない)

到底成就しない夢を見ずにいられない

(ぐうぜんたんじょうにいたったさいのじひもない)

偶然誕生に至った際の慈悲も無い

(なんまんかいしゅうせいしたらひとはゆるされる)

何万回終世したら人は許される

(きょうてんをおんねんでやいたねつで)

経典を怨念で焼いた熱で

(もうどうかもうどうか)

もうどうか　もうどうか

(らくにさせて)

楽にさせて