朱の月に唄う魔女

(あかのつきわざわいみちてしじまをわるとき)

朱(あか)の月　禍(わざわい)満ちて静寂(しじま)を割る刻

(きりふかきもりにあらわるあやしきがらすのしろ)

霧深き森に現る妖しき硝子の城

(かぜにのりとどいたこえはなげきかむねんか)

夜風(かぜ)に乗り届いた聲(こえ)は嘆きか無念か

(ちにぬれたせんりつそれはしのしるしをやくうた)

血に濡れた旋律…それは死の印を灼く詩(うた)

(いふのちからにえらばれたむじょうなめいやく)

畏怖の力に選ばれた無情な盟約

(ただのろいをうけたものにかせられるしゅくめい)

ただ呪いを受けた者に課せられる宿命

(ｒｅｍｌｅｍａｒｉｅ)

"Rem le marie"

(ひみつのことばささやくしょうじょはひとり)

秘密の言葉　囁く少女は独り

(やねのないせかいをしらずに)

屋根の無い世界を識(し)らずに

(あらたなにえをむかえめざめつづける)

新たな生贄(にえ)を迎え目覚め続ける

(あかきちをさがしさまようかなしきばけもの)

朱き血を探し彷徨う哀しき吸血鬼(ばけもの)

(つみのなきいえにまぎれるひつうなさけびのあと)

罪のなき屋敷(いえ)に紛れる悲痛な叫びの痕跡(あと)

(にびいろのつるぎのぬしはもうじゃかふししゃか)

鈍色の剣の主(ぬし)は亡者か不死者か

(のこされたもじれつそれはすくいをもとめるうた)

遺された文字列　それは救いを求める詩

(きばをかくしたまじょはいうこちらへおいでと)

牙を隠した魔女は云う…こちらへおいでと

(そうてまねきされたものはさからえずいのちささぐ)

そう手招きされた者は逆らえず命捧ぐ

(ｒｅｍｌｅｍａｒｉｅ)

"Rem le marie"

(みみをすませばあなたもきこえるでしょう)

耳を澄ませば貴方も聞こえるでしょう

(くつうさえかてにざんこくにおわりのまくがあがるよる)

苦痛さえ糧に残酷に終焉(おわり)の幕が上がる夜

(ｒｅｍｌｅｍａｒｉｅ)

"Rem le marie"

(くさびのごとくいつしかこころにささり)

楔の如く何時(いつ)しか心に刺さり

(うごかぬからだにきづくころ)

動かぬ躯(からだ)に気付く頃

(のどをちにそめながらひいろのめがひらく)

喉を血に染めながら緋色の瞳(め)が開く