Strobo illion

(ぬれたあなたのそのひとみをひとことでかわかせることばを)

濡れたあなたのその瞳を　一言で乾かせる言葉を

(さがすたびじのそのとちゅうでぼくのみたまはもげうつつからさめる)

探す旅路のその途中で　僕のミタマはもげ　現から覚める

(ことばにとじこめるにはとてもむりとたしなめたぜつぼうも)

言葉に閉じ込めるにはとても　無理と窘めた絶望も

(あのふるえるてでつかんだきせきも)

あの震える手で掴んだ奇跡も

(いまならばひとことでかたづけられる)

今ならば一言で片付けられる

(どこへうばったのぜつもさいもきも)

どこへ奪ったの　「絶」も「最」も「奇」も

(いつかすれちがってもきづかぬきょり)

いつかすれ違っても　気付かぬ距離

(そらからおちたひかりぼくのてでよごさぬように)

空から堕ちた光　僕の手で汚さぬように

(とねがってもぼくをぬけるひかりもひともにごるだけ)

と願っても　僕を抜ける　光も　人も　濁るだけ

(ただとおりすぎてくれればいいのにな)

ただ通り過ぎてくれればいいのにな

(どうぞこちらはおかまいなくではきもちだけはありがたく)

どうぞこちらはオカマイなく　では気持ちだけはありがたく

(なぜにあるこのちぶさのごとくいみなどなくただいたずらにあるぼく)

なぜにあるこの乳房のごとく　意味などなく　ただ悪戯に在る僕

(ついてはきえていくきょうもむがゆうが)

点いては消えていく　今日も「無」が「有」が

(いみをおおうものならばぼくはのこる)

意味を　追おうものならば　僕は残る

(またあうひまでさぁてをふるよきみのすきなこのうたにのせて)

また会う日まで　さぁ手を振るよ　君の好きなこの歌に乗せて

(つぎあうときはきみはさるでぼくはたわわにみのるぱいん)

次会う時は　君は猿で　僕はたわわに実るパイン

(ことばもなくくわれればいいのにな)

言葉もなく食われればいいのにな

(そらへときえたひかりぼくもつぎのせつなでいくよ)

空へと消えた光　僕も次の刹那で逝くよ

(かおもめもなもかたちさえなくただふたりわらいあう)

顔も眼も名も　形さえなく　ただ二人　笑い合う

(そのときはきみのこえできかせてよね)

その時は　君の声で聞かせてよね

(うつつをぬかしたこのせかいでいまはこのみのさいはてのゆめをみる)

現を抜かしたこの世界で　今はこの身の最果ての夢を見る