片瀬 / 西片梨帆

(わすれたくないことだけをもくめちょうのつくえにかいた)

忘れたくない事だけを木目調の机に書いた

(ほろよいのあかもあすにはひびにとけてしまうのでしょう)

ほろ酔いの赤も明日には日々に溶けてしまうのでしょう

(そらのいろがまいにちちがうことにきづいた)

空の色が毎日違うことに気づいた

(にているだなんていとわないで)

似ているだなんて厭わないで

(あなたのみたあおいろをおしえて)

あなたの見た青色を教えて

(しらなくていいことばかりだ)

知らなくていいことばかりだ

(みあげてもそらじゃなくててんじょう)

見上げても空じゃなくて天井

(しりたくてもしらべはしないで)

知りたくても調べはしないで

(ふたりのせんすとことばでくらそう)

ふたりのセンスと言葉で暮らそう

(うつくしいものたちばかりへやにかざってながめてる)

美しいものたちばかり部屋に飾って眺めてる

(きりとったせかいはぼくらのもの)

切り取った世界は僕らのもの

(ふたりがかわってもいいように)

ふたりが変わってもいいように

(こごとをはかずついてきてでんしゃだいはぼくがだそう)

小言を吐かずついてきて　電車代は僕が出そう

(うみをみようやまをのぼろうまだきれいだとおもえるから)

海を見よう　山を登ろう　まだ綺麗だと思えるから

(いわなくていいことばかりだ)

言わなくていいことばかりだ

(うまくうめなくたってわかるよ)

上手く埋めなくたってわかるよ

(いいたくてもむりはしないで)

言いたくても無理はしないで

(あなたのたいどとひとみでおしえて)

あなたの態度と瞳で教えて

(いわなくていいしらなくていい)

言わなくていい　知らなくていい

(みえなくていいきかなくていい)

見えなくていい　聞かなくていい

(ふたりのせんすとことばでくらそう)

ふたりのセンスと言葉で暮らそう

(わすれたくないことだけをもくめちょうのつくえにかいた)

忘れたくない事だけを木目調の机に書いた