シニカリティ

(ふれあいどおりのさかなやきんむじゃ)

ふれあい通りのさかな屋勤務じゃ、

(ものたりないからたりないこが)

ものたりないから足りない子が

(ちょっとせかいをいじくって)

ちょっと世界をいじくって

(ゆめみるおさかなとはなすけどほんとは)

夢見るおさかなと話すけど ほんとは

(からだのおんどとおんなじのうどのたいくつがそばにいて)

体の温度とおんなじ濃度の退屈がそばにいて

(だれもどこにもにげられないんだよ)

誰も、どこにも逃げられないんだよ

(おつきさんにすがりついて)

お月さんにすがりついて

(なめらかにこんやおちるんだね)

滑らかに、今夜落ちるんだね

(でもくつはいて)

でも、靴履いて

(ほらわがままいうなよ)

ほら、わがまま言うなよ。

(えきまえていきのはらいこみ)

駅前 定期の払込

(おつとめひんのおさかなが)

おつとめ品のおさかなが

(ぼくすてられちゃうの)

｢ぼく棄てられちゃうの？｣

(ってなきやまないから)

って泣き止まないから

(みんなこまったすーぱーで)

みんな困ったスーパーで

(いっしょにないた)

一緒に泣いた

(ゆうやけのぽりぶくろ)

夕焼けのポリ袋

(すちれんしーとはちまみれだったよ)

スチレン・シートは血まみれだったよ

(ずーっとずっとそばにいて)

「ず～っとずっと、そばにいて。｣

(ほらきっとどこにもにげられないんだろ)

ほら、きっとどこにも逃げられないんだろ

(ゆめになったこのせかいに)

夢になったこの世界に

(うまれちゃったのはこわかったね)

生まれちゃったのは、怖かったね。

(もうだいじょうぶおびえることないよ)

｢もう大丈夫 怯えることないよ。｣

(とさかなにはものをつきたてた)

…と、魚に刃物を突き立てた。

(しにかるしにかりてぃにごる)

シニカル　死に軽りティ→濁る

(ころがったまないたにあふれていく)

転がった まな板に溢れていく

(しにかりてぃがまたにごる)

死に軽りティがまた濁る

(ほらきっちんぺーぱーにくるまっては)

ほらキッチンペーパーに包まっては

(しにかるしにかりてぃにごる)

シニカル 死に軽りティ→濁る

(ちいさくさよならとかいうんだよ)

小さく｢さよなら。｣とか言うんだよ。

(ほのかにずっとくるしくて)

ほのかにずっと苦しくて

(でもどーにもできないね)

でもどーにもできないね。

(とほほ)

トホホ…

(しずまりかえったよ)

静まり返ったよ。

(おさかなのいたいがね)

おさかなの遺体がね

(いまこんろのなかでねむっているんだよ)

いまコンロの中で眠っているんだよ

(さぁぜんぶわすれようね)

さぁ、全部忘れようね。

(ゆめになってしまうほどたしかに)

夢になってしまうほど たしかに

(ぼくらはきょうでもうどこにもいないから)

僕らは今日でもうどこにもいないから

(あのこのところにいかなくちゃ)

あの子のところにいかなくちゃ。

(しにかるしにかりてぃにごる)

シニカル 死に軽りティ→濁る

(こげついたかわめからとろけてく)

焦げついた 皮目から とろけてく

(ねんどみたいなくちどけや)

粘土みたいな くちどけや

(つらなってはないていたえいえんもね)

つらなっては 泣いていた 永遠もね

(しにかるしにかりてぃにごり)

シニカル 死に軽りティ 濁り

(なくなってしまうのこわいでしょう)

なくなってしまうの 怖いでしょう。

(さんまはめだまもたべられる)

秋刀魚は 目玉も 食べられる

(しにかるしにかりてぃにごる)

シニカル　死に軽りティ→濁る

(でもぜいきんはらわなきゃでしょ)

でも税金払わなきゃ、でしょ？

(しにかりてぃがまたにごる)

死に軽りティがまた濁る

(ほらかえりのすーぱーがとくばいびだ)

ほら帰りのスーパーが 特売日だ！

(しにかるしにかりてぃにごる)

シニカル 死に軽りティ→濁る

(やきついてはなれなくなっても)

焼きついて離れなくなっても

(あしたはずーっとたのしくて)

明日はずーっと楽しくて

(もうどうにもならないねぇ)

もう、どうにもならないねぇ、

(とほほ)

トホホ…

(みっぺいしきのごみばこにさいごは)

密閉式のゴミ箱に最後は

(つめられちゃってぼくたちみんなで)

詰められちゃって僕たちみんなで

(こんなゆっくりしんじゃったんだね)

こんなゆっくり死んじゃったんだね。