シャンバラ

(かんじょうやねがいとか)

感情や願いとか

(そういうのじゃなくて)

そういうのじゃなくて

(りんごがちにおちるような)

林檎が地に落ちるような

(みたされたこたえ)

満たされた答え

(のうないでけっしたさいこうさいばんれい)

脳内で決した最高裁判例

(こーるどけーすだとのたまう)

コールドケースだと宣う

(じこうもすぎている)

時効も過ぎている

(こうかいはないのか)

後悔は無いのか

(ない)

無い

(せいめいというにはぼうとくてきだとおもう)

生命というには冒涜的だと思う

(むしろこんなけつらくすら)

むしろこんな欠落すら

(せいじょうなせっけいなんだろう)

正常な設計なんだろう

(もうしんじゃいたいなと)

もう死んじゃいたいな　と

(きゅうさいをねがうほど)

救済を願うほど

(ぎょうこうをうたうじんせいのてんてきでやりすごしている)

僥倖を謳う人生の点滴でやり過ごしている

(もうしんじゃいたいなと)

もう死んじゃいたいな　と

(そういってくびをつったやつはいない)

そう言って首を吊った奴はいない

(あるはずないしゃんばらにいまもすがっている)

ある筈ないシャンバラに今も縋っている

(いまもすがっている)

今も縋っている

(しにたいっていうならなんでもできんだろ)

「死にたいって言うなら何でも出来んだろ」

(あぁまたこのてあいか)

あぁ　またこの手合いか

(しんぞうよもうどうかぼくをみすてて)

心臓よ　もうどうか　僕を見捨てて

(やさしいふりはもうやめて)

優しいふりはもう止めて

(そのとおりです)

その通りです

(じごうじとくです)

自業自得です

(ぜんぶわたしのせいだった)

全部私のせいだった

(もうわかってます)

もう分かってます

(それでいいです)

それでいいです

(つみをつぐないますから)

罪を償いますから

(このよからだして)

この世から出して

(けんぜんにやんでく)

健全に病んでく

(そう)

そう

(にんげんというならもはんてきだとおもう)

人間というなら模範的だと思う

(むしろこんないでんしには)

むしろこんな遺伝子には

(ぜんもあくもないんだろう)

善も悪も無いんだろう

(もうしんじゃいたいとか)

もう死んじゃいたいとか

(どうなってもいいとか)

どうなってもいいとか

(てんさいをねがうぞうごんはいみをなさず)

天災を願う雑言は意味を成さず

(きょうにおちてゆく)

今日に堕ちてゆく

(ありふれたやまいなど)

ありふれた病など

(どうじょうもひあいもやるかちはない)

同情も悲哀もやる価値は無い

(みんなだってそうなんだ)

みんなだってそうなんだ

(おまえもおなじだ)

お前も同じだ

(もうしんじゃいたいなと)

もう死んじゃいたいなと

(きゅうさいをねがうほど)

救済を願うほど

(ふこうじまんとなれあいがきずなになってゆく)

不幸自慢と馴れ合いが絆になってゆく

(ほんとうにしにたいんだよ)

本当に死にたいんだよ

(きょうゆうされたのろいはほうわして)

共有された呪いは飽和して

(あるべきしんねんはきえ)

あるべき信念は消え

(くうどうになってゆく)

空洞になってゆく

(にちじょうになってゆく)

日常になってゆく