あのね

(さいごのよるはべつべつにねた)

最後の夜は別々に寝た

(きこえないこえですきだといった)

聞こえない声で好きだと言った

(まだできることはあるか)

まだできることはあるか

(かんがえていたらねてしまっていた)

考えていたら寝てしまっていた

(きみのいなくなったへやは)

君の居なくなった部屋は

(なにかこえがきこえてくるのさ)

何か声が聞こえて来るのさ

(きみのたのしそうにはなすこえが)

君の楽しそうに話す声が

(ぼくのいままでのにちじょうをこがせる)

僕の今までの日常を焦がせる

(へやにもどったらきみがいて)

部屋に戻ったら君がいて

(きょうなにたべるとかそんなくだらん)

今日何食べるとかそんなくだらん

(はなしをするそうぞうばかりしている)

話をする想像ばかりしている

(あのね)

あのね

(きみのとなりでみるけしきも)

君の隣で見る景色も

(きみのつくるりょうりも)

君の作る料理も

(きみとねむるふとんのなかも)

君と眠る布団の中も

(ぼくしかしらないものでもあってほしかった)

僕しか知らないものでもあって欲しかった

(このまますごしていたら)

このまま過ごしていたら

(いつかきみのにちじょうになれるとか)

いつか君の日常になれるとか

(いきばのなくなったきたいを)

行き場の無くなった期待を

(しょうがないでかたづけられずにいる)

しょうがないで片付けられずにいる

(はるになったらふたりでくらそう)

春になったら二人で暮らそう

(いまよりひろくてきれいな)

今より広くて綺麗な

(こんろもふたくちあるようなばしょで)

コンロも２口あるような場所で

(きみのしたいことかなえたかったな)

君のしたいこと叶えたかったな

(とかいいながらもけっきょく)

とか言いながらも結局

(ぼくのひとりよがりだったんだろうな)

僕の独り善がりだったんだろうな

(さきにおきたぼくのものおとで)

先に起きた僕の物音で

(めをさましたきみがねぼけはんぶんに)

目を覚ました君が寝ぼけ半分に

(おはようってまたにどねする)

おはようってまた二度寝する

(あのころばかりおもいだしている)

あの頃ばかり思い出している

(あのね)

あのね

(きみのとなりでみるけしきも)

君の隣で見る景色も

(きみのつくるりょうりも)

君の作る料理も

(きみとねむるふとんのなかも)

君と眠る布団の中も

(ぼくしかしらないものであってほしかった)

僕しか知らないものであって欲しかった

(このまますごしていたら)

このまま過ごしていたら

(いつかきみのにちじょうになれるとか)

いつか君の日常になれるとか

(いきばのなくなったきたいを)

行き場の無くなった期待を

(しょうがないでかたづけられずにいる)

しょうがないで片付けられずにいる

(さいごのよるはべつべつにねた)

最後の夜は別々に寝た

(きこえないこえですきだといった)

聞こえない声で好きだと言った

(まだできることはあるか)

まだできることはあるか

(かんがえていたらねてしまっていた)

考えていたら寝てしまっていた

(きみがいなくなってすこし)

君がいなくなって少し

(ひろくなったてーぶるのうえの)

広くなったテーブルの上の

(ありがとうってかいたてがみとあいかぎを)

ありがとうって書いた手紙と合鍵を

(かたづけられずにいる)

片付けられずにいる