先輩

(ふたつうえのよゆうってやつですか)

二つ上の余裕ってやつですか

(ねぇ)

ねぇ

(ひまつぶしってことですか)

暇つぶしってことですか

(あのひぼくにちらつかせた)

あの日僕にチラつかせた

(あまったるいえさはまだですか)

甘ったるい餌はまだですか

(ゆれるぴあす)

揺れるピアス

(ためすぼくのほんのう)

試す僕の本能

(やめとけしかいふりょうの)

「やめとけ」視界不良の

(こいもよう)

恋模様

(すらり、しろいゆびさきなぞった)

すらり、白い指先なぞった

(ぼくのりんかくまだおぼえてますか。)

僕の輪郭まだ覚えてますか。

(まばたきのそくど)

瞬きの速度

(ほほえむしぐさまで)

微笑む仕草まで

(ぼくのしらないあじやかおりを)

僕の知らない味や香りを

(だれにおそわったの)

誰に教わったの

(あまくちなれもんのさわーがにあうせんぱい)

甘口な檸檬のサワーが似合う先輩

(またなまいきなくちをきいて)

また生意気な口をきいて

(きみのあかいくちべにをとかす)

君の赤い口紅を溶かす

(このままふれるてをとめないで)

このまま触れる手を止めないで

(もえたぎるようなよる、)

燃えたぎるような夜、

(はなざかり)

花盛り

(またなまいきなくちをきいて)

また生意気な口をきいて

(どうせほかのだれかをおもって)

どうせ他の誰かを想って

(てのひらでころがされるひびを)

手のひらで転がされる日々を

(まちわびてしっぽふるありさま)

待ち侘びて尻尾振る有り様

(そのくちべにをとかしてあげるよ、)

その口紅を溶かしてあげるよ、

(せんぱい。)

先輩。

(やけにのどのかわいたよるでした)

やけに喉の渇いた夜でした

(もういきもできないほどでした)

もう息も出来ないほどでした

(よいもまわらせずかえったくせに)

酔いも回らせず帰ったくせに

(わたしおぼえてない)

「私覚えてない」

(ってまじですか)

って本気ですか

(めくるめくきおくとあかいかんじょう)

目眩く記憶と赤い感情

(てをのばしみあげたさきのろうじょう)

手を伸ばし見上げた先の楼上

(そのことば、しぐさ、かおりがまた)

その言葉、仕草、香りがまた

(へやのせいたいけいをかきみだす)

部屋の生態系を搔き乱す

(よる、からまるかみに)

夜、絡まる髪に

(ささいなくちぐせに)

些細な口癖に

(ぼくではないだれかののこりが)

僕ではない誰かの残り香

(なにもつげないで)

何も告げないで

(いたずらにほほえむさまがにあうせんぱい)

悪戯に微笑む様に合う先輩

(だれにもうばわれないでいて)

誰にも奪われないでいて

(またなまいきなくちをきいて)

また生意気な口をきいて

(きみのあかいくちべにをとかす)

君の赤い口紅を溶かす

(そのままさそうめをまたたいて)

そのまま誘う眼を瞬いて

(もえたぎるようなよる、)

燃えたぎる様な夜、

(はなざかり)

花盛り

(またなまいきなくちをきいて)

また生意気な口を聞いて

(きみのことばをひとつでみだれて)

君の言葉一つで乱れて

(てのひらでころがされるひびを)

手のひらで転がされる日々を

(まちわびてしっぽふるありさま)

待ち侘びて尻尾振る有り様

(そのくちべにをとかしてあげるよ、)

その口紅を溶かしてあげるよ、

(せんぱい。)

先輩。