さよならとメーデー

(どらまちっくなよるだ)

ドラマチックな夜だ。

(ばんごはんをのこした)

晩ご飯を残した。

(でざーとのためだよ)

デザートのためだよ。

(ちょっとこっちおいでよ)

ちょっとこっちおいでよ。

(ついでにもってきてよ)

ついでに持ってきてよ。

(わたしはちょこあじがいいな)

私は、チョコ味がいいな。

(むかしのはなしにはなをさかせたんだ)

昔の話に、花を咲かせたんだ。

(うえからのぞくまつげがすきだったよ)

上から覗く睫毛が好きだったよ。

(わたしのあいすきみよりはやく)

私のアイス、君より早く。

(ないているわたしのほうがきみよりあつい)

泣いている私の方が、君より熱い。

(さよならだめーでー)

さよならだ。メーデー。

(はらしためとめでかたって)

腫らした瞳と瞳で、語って。

(しゃへいしためーでー)

遮蔽したメーデー。

(しらないふりしてわらってしまおうぜ)

知らないフリして、笑ってしまおうぜ。

(ろまんちっくなうただ)

ロマンチックな唄だ。

(おとがよくはずれるね)

音がよく外れるね。

(でもなんかすきだよ)

でも、なんか好きだよ。

(きっとこいじゃなかった)

きっと恋じゃなかった。

(あこがれのなれのはて)

憧れの成れの果て。

(そうおもわなきゃくるしいよ)

そう思わなきゃ苦しいよ。

(むかしのはなしにはなをさかせたって)

昔の話に、花を咲かせたって

(みてみたいものがずれていたひとつだけ)

視てみたいものがズレていた。一つだけ。

(わたしのあいすよければあげる)

私のアイス、よければあげる。

(きみのしたにのこるあじうばってしまえ)

君の舌に残る味、奪ってしまえ。

(さよならだめーでー)

さよならだ。メーデー。

(このあじいがいはわすれて)

この味以外は、忘れて。

(かくすべきめーでー)

隠すべきメーデー。

(たべるたびおもいだしてくれますか)

食べる度、思い出してくれますか。

(ぬれたかみであるいたまだぬるかった)

濡れた紙で歩いた。未だ温かった。

(なみだよりさきにかわいてしまう)

涙より先に乾いてしまう。

(じゃんけんをしようまけたほうがいおう)

じゃんけんをしよう。負けた方が言おう。

(かったほうからさよならをしよう)

勝った方から、さよならをしよう。

(さよならをしよう)

さよならをしよう。

(おわかれだめーでー)

お別れだ。メーデー。

(だきすべきめーでー)

唾棄すべきメーデー。

(きょうだけはなんてあしたも)

「今日だけは」なんて、明日も。

(きみとあるいたよるのみち)

君と歩いた夜の道。

(へんなこえまねがやけにうまくて)

変な声真似がやけに上手くて。

(わらいかたがげひんだという)

笑い方が下品だと言う。

(そういうきみもそうじゃない)

そう言う君もそうじゃない。

(いっしょにかりてさいごまでみなかった)

一緒に借りて、最後まで見なかった。

(えいがもいつかてれびでやるよ)

映画もいつかテレビでやるよ。

(だれとみてもうらみっこなしね)

誰と観ても恨みっこなしね。

(さよならとめーでー)

さよならとメーデー。