なみしぐさ　野田洋次郎

(なげやりにはれてゆくそらに)

投げやりに　晴れてゆく空に

(やさしくないねとこぼした)

「優しくないね」とこぼした

(ひとはときがすぎてくというけど)

人は「時が過ぎてく」と言うけど

(わたしのときはしずむだけ)

私の時は沈むだけ

(きみにあえるならこのうみのみずさえものみほすよ)

君に会えるなら　この海の水さえも　飲み干すよ

(きみがわらうこえがわたしのおくできこえたきがした)

君が笑う声が私の奥で　聞こえた気がした

(ぜったいなんてかんたんにくちにしてはいけないことを)

「絶対」なんて　簡単に口にしてはいけないことを

(しってはいるけどきみいがいのだれにつかえというの)

知ってはいるけど　君以外の誰に使えというの？

(ぜったいのいみをいつかきみにきかれたとしたら)

「絶対」の意味を　いつか君に聞かれたとしたら

(まよわずにいうよここにあるこのきもちのことだと)

迷わずに言うよ　ここにあるこの気持ちのことだと

(つぎはどんなふたりでうまれよう)

次はどんな二人で生まれよう

(こいびとなのかはたまたむにのともか)

恋人なのか、はたまた　無二の友か

(きみとならばどんなふたりも)

君とならば　どんな二人も

(いきてみたいだきしめてみたい)

生きてみたい　抱きしめてみたい

(わたしだけがしっているきみをわたしがしることないきみが)

私だけが知っている君を　私が知ることない君が

(いつかおいこしてしまうときちゃんとわらえますように)

いつか追い越してしまう時　ちゃんと笑えますように

(きみがこのさきでであうこいやぜつぼうやきせきを)

君がこの先で　出逢う恋や　絶望や奇跡を

(みまもることさえかないはしないのそれだけがくやしい)

見守ることさえ　叶いはしないの　それだけが悔しい

(くやしい)

悔しい

(ぜったいなんてかんたんにくちにしてはいけないことを)

「絶対」なんて　簡単に口にしてはいけないことを

(しってはいるけどきみいがいのだれにつかえというの)

知ってはいるけど　君以外の誰に使えというの？

(ぜったいをもしもたったひとつだけつかえるなら)

「絶対」をもしも　たった一つだけ使えるなら

(つぎもそのつぎもなんどでもみつけだしてみせるよ)

次も、その次も　何度でも見つけ出して見せるよ

(ぜったいのいみをいつかきみがしるときがきたら)

「絶対」の意味を　いつか君が知る時が来たら

(ことばひとつなくつぶれるくらいだきしめあうの)

言葉ひとつなく　潰れるくらい抱きしめ合うの

(えいえんなんかのめにはみえない)

永遠なんかの眼には見えない

(まばたきほどみじかいおわかれ)

瞬きほど　短いお別れ

(きみとならばどんなふたりも)

君とならば　どんな二人も

(いきてみたいだきしめてみたい)

生きてみたい　抱きしめてみたい