背中

(にわさきでみずをまくそのせなかはきづけばちいさく)

庭先で水を撒く　その背中は気付けば小さく

(ときのながれにのこされたあのひのおもかげはとおく)

時の流れに残された　あの日の面影は遠く

(おさないころのきおくたどればいかないでと)

幼いころの記憶　辿れば行かないでと

(しがみついてはたしかめたぼくよりだいじなものがあるの)

しがみついては確かめた「僕より大事なものがあるの？」

(じぶんのしんじたみちをあるいてゆく)

自分の信じた道を歩いてゆく

(つよくいきるせなかふりかえらなかった)

強く生きる背中　振り返らなかった

(あなたをよぶこえとどかずにきえて)

あなたを呼ぶ声　届かずに消えて

(ぼくはこどくをしった)

僕は　孤独を知った

(あかいかみをつかまれてでていけとどなられれば)

赤い髪をつかまれて　出て行けと怒鳴られれば

(おれだってすきでこのいえにうまれてきたわけじゃないと)

俺だって好きでこの家に　生まれて来た訳じゃないと

(あしたがみえなくてすべてがくうきょにおもえた)

明日が見えなくて　全てが空虚に想えた

(ゆめなんかえがけないじぶんでさえもだれかのせいにしていた)

夢なんか描けない自分でさえも　誰かのせいにしていた

(あいがわからずにこころをとざして)

愛が分からずに心を閉ざして

(しんじることこわくてごまかしてばかりいた)

信じる事怖くて　ごまかしてばかりいた

(ことばにできないおもいがあふれて)

言葉に出来ない想いが溢れて

(ぼくはうたをうたった)

僕は　歌を唄った

(であいやわかれかさねきづけばおとなになって)

出逢いや別れ重ね　気付けば大人になって

(いまおおきなじんせいのぶんきてんにたっている)

今大きな人生の　分岐点に立っている

(わからなかったおもいいまならわかるきがするんだ)

分からなかった想い　今なら分かる気がするんだ

(あなたがどれほどおもいにもつをせおってあるいてきたのか)

あなたがどれほど　重い荷物を背負って歩いてきたのか

(よみがえるのはあのひのこもりうた)

蘇るのはあの日の子守唄

(やさしかったせなかきこえてきたうたごえ)

優しかった背中　聴こえてきた唄声

(ゆうやけにうつるふたつのかげぼうし)

夕焼けに映る　二つの影法師

(ひとつにかさなっていた)

一つに重なっていた

(ときはながれ)

時は流れ…

(あいかわらずうまくつたえられないまま)

相変わらずうまく伝えられないまま

(こうしてうたにしかできないけれど)

こうして唄にしか出来ないけれど

(あなたとあゆんだこのみちをぼくは)

あなたと歩んだこの道を僕は

(いまほこりにおもう)

今　誇りに想う

(にわさきでみずをまくそのせなかにそっとかたりかける)

庭先で水を撒く　その背中にそっと語りかける

(あなたのもとにうまれてこれて)

あなたの元に産まれてこれて

(こころからありがとう)

心から「ありがとう」