夏目漱石「こころ」3-11

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投稿者投稿者たけしいいね0お気に入り登録
プレイ回数662難易度(4.2) 2019打 長文 かな 長文モード推奨
夏目漱石「こころ」3-11
下)先生と遺書
夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。

次:https://typing.twi1.me/game/377975

オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2:御互(おたがい)
3:存生中(ぞんしょうちゅう)
12:無頓着(むとんじゃく)
12:重な(おもな)
13:小供(こども)
37:申し込(もうしこみ)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 なおきち 7656 7.8 97.5% 256.5 2014 50 39 2024/10/17
2 ヤス 7196 7.6 94.4% 263.6 2015 118 39 2024/10/29
3 berry 7161 7.3 97.2% 270.9 1997 57 39 2024/09/23
4 やまちゃん 4295 C+ 4.4 96.3% 447.9 2000 76 39 2024/10/21

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問題文

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(そのとうにんというのはおじのむすめすなわちわたくしのいとこにあたるおんなでした。)

その当人というのは叔父の娘即ち私の従妹に当る女でした。

(そのおんなをもらってくれれば、おたがいのためにべんぎである、)

その女を貰ってくれれば、御互のために便宜である、

(ちちもぞんしょうちゅうそんなことをはなしていた、とおじがいうのです。)

父も存生中そんな事を話していた、と叔父が云うのです。

(わたくしもそうすればべんぎだとはおもいました。)

私もそうすれば便宜だとは思いました。

(ちちがおじにそういうふうなはなしをしたというのもありうべきこととかんがえました。)

父が叔父にそういう風な話をしたというのも有り得べき事と考えました。

(しかしそれはわたくしがおじにいわれて、はじめてきがついたので、)

然しそれは私が叔父に云われて、始めて気が付いたので、

(いわれないまえから、さとっていたことがらではないのです。)

云われない前から、覚っていた事柄ではないのです。

(だからわたくしはおどろきました。)

だから私は驚ろきました。

(おどろいたけれども、)

驚ろいたけれども、

(おじのきぼうにむりのないところも、それがためによくわかりました。)

叔父の希望に無理のないところも、それがために能く解りました。

(わたくしはうかつなのでしょうか。)

私は迂闊なのでしょうか。

(あるいはそうなのかもしれませんが、)

或はそうなのかも知れませんが、

(おそらくそのいとこにむとんじゃくであったのが、おもなげんいんになっているのでしょう。)

恐らくその従妹に無頓着であったのが、重な源因になっているのでしょう。

(わたくしはこどものうちからしにいるおじのうちへしじゅうあそびにいきました。)

私は小供のうちから市にいる叔父の家へ始終遊びに行きました。

(ただいくばかりでなく、よくそこにとまりました。)

ただ行くばかりでなく、能く其所に泊りました。

(そうしてこのいとことはそのじぶんからしたしかったのです。)

そうしてこの従妹とはその時分から親しかったのです。

(あなたもごしょうちでしょう。きょうだいのあいだにこいのせいりつしたためしのないのを。)

あなたも御承知でしょう。兄弟の間に恋の成立した例のないのを。

(わたくしはこのこうにんされたじじつをかってにふえんしているかもしれないが、)

私はこの公認された事実を勝手に敷衍しているかも知れないが、

(しじゅうせっしょくしてしたしくなりすぎたなんにょのあいだには、)

始終接触して親しくなり過ぎた男女の間には、

(こいにひつようなしげきのおこるせいしんなかんじがうしなわれてしまうようにかんがえています。)

恋に必要な刺戟の起る清新な感じが失われてしまうように考えています。

など

(こうをかぎえるのは、こうをたきだしたしゅんかんにかぎるごとく、)

香をかぎ得るのは、香を焚き出した瞬間に限る如く、

(さけをあじわうのは、さけをのみはじめたせつなにあるごとく、)

酒を味わうのは、酒を飲み始めた刹那にある如く、

(こいのしょうどうにもこういうきわどいいってんが、)

恋の衝動にもこういう際どい一点が、

(じかんのうえにそんざいしているとしかおもわれないのです。)

時間の上に存在しているとしか思われないのです。

(いちどへいきでそこをとおりぬけたら、)

一度平気で其所を通り抜けたら、

(なれればなれるほど、したしみがますだけで、)

馴れれば馴れる程、親しみが増すだけで、

(こいのしんけいはだんだんまひしてくるだけです。)

恋の神経はだんだん麻痺して来るだけです。

(わたくしはどうかんがえなおしても、このいとこをつまにするきにはなれませんでした。)

私はどう考え直しても、この従妹を妻にする気にはなれませんでした。

(おじはもしわたくしがしゅちょうするなら、)

叔父はもし私が主張するなら、

(わたくしのそつぎょうまでけっこんをのばしてもいいといいました。)

私の卒業まで結婚を延ばしても可いと云いました。

(けれどもぜんはいそげということわざもあるから、)

けれども善は急げという諺もあるから、

(できるならいまのうちにしゅうげんのさかずきだけはすませておきたいともいいました。)

出来るなら今のうちに祝言の盃だけは済ませて置きたいとも云いました。

(とうにんにのぞみのないわたくしにはどっちにしたっておなじことです。)

当人に望のない私には何方にしたって同じ事です。

(わたくしはまたことわりました。)

私は又断りました。

(おじはいやなかおをしました。)

叔父は厭な顔をしました。

(いとこはなきました。わたくしにそわれないからかなしいのではありません。)

従妹は泣きました。私に添われないから悲しいのではありません。

(けっこんのもうしこみをきょぜつされたのが、おんなとしてつらかったからです。)

結婚の申し込を拒絶されたのが、女として辛かったからです。

(わたくしがいとこをあいしていないごとく、いとこもわたくしをあいしていないことは、)

私が従妹を愛していない如く、従妹も私を愛していない事は、

(わたくしによくしれていました。わたくしはまたとうきょうへでました。)

私によく知れていました。私はまた東京へ出ました。

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