「選択公理⇒ツォルンの補題」の証明
松坂和夫(2022), 『集合・位相入門』, 岩波書店, p.108-111
記号はできる限り避け、日本語で表現するよう努めました。
ギリシャ文字は問題文にそのまま表示されますが、日本語で読み方を入力します。
また、ドイツ文字や花文字は表示できないため、集合族は[]をつけて表示されますが、これは英字でタイピングします。
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | もん | 3782 | D++ | 4.0 | 92.8% | 1024.8 | 4199 | 323 | 93 | 2024/09/27 |
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問題文
(つぉるんのほだいきのうてきなじゅんじょしゅうごうはすくなくともひとつきょくだいげんをもつ.)
ツォルンの補題 帰納的な順序集合は少なくとも一つ極大元を持つ.
(ほだい1aをきのうてきなじゅんじょしゅうごうとし,ふぁいはaからaへのしゃぞうで,)
補題1 Aを帰納的な順序集合とし, φはAからAへの写像で,
(aのすべてのげんxにたいしふぁいxがxいじょうになるものとする.)
Aのすべての元xに対しφ(x)がx以上になるものとする.
(そのとき,ふぁいaがaとなるようなaのげんaがすくなくともひとつそんざいする.)
そのとき, φ(a)がaとなるようなAの元aが少なくとも一つ存在する.
(しょうめいaのひとつのげんx0をにんいにこていしておき,)
証明 Aの一つの元x0を任意に固定しておき,
(aのぶぶんしゅうごうwで,つぎのじょうけん1から4をみたすものをかんがえる.)
Aの部分集合Wで, 次の条件1から4を満たすものを考える.
(1wはaのぶぶんしゅうごうとしてせいれつしゅうごうである.)
1 WはAの部分集合として整列集合である.
(2wのさいしょうげんがそんざいし,そのあたいはx0.)
2 Wの最小元が存在し, その値はx0.
(3wのげんxがwのなかにちょくぜんのげんをもつとき,それをふぁいでとばすとxになる.)
3 Wの元xがWの中に直前の元をもつとき, それをφで飛ばすとxになる.
(4wのxでないげんx0がwのなかにちょくぜんのげんをもたなければ,)
4 Wのxでない元x0がWの中に直前の元をもたなければ,
(wのxによるせっぺんのaにおけるじょうげんがxといっちする.)
Wのxによる切片のAにおける上限がxと一致する.
(いじょうのよんじょうけんをみたすようなaのぶぶんしゅうごうは,じっさいそんざいする.)
以上の四条件を満たすようなAの部分集合は, 実際存在する.
(たとえば,x0のみからなるしゅうごうはあきらかにこれらのじょうけんをみたすからである.)
例えば, x0のみから成る集合は明らかにこれらの条件を満たすからである.
(そこで,じょうけん1から4をみたすようなaのぶぶんしゅうごうのぜんたいをwとする.)
そこで, 条件1から4を満たすようなAの部分集合の全体を[W]とする.
(いまちゅういしたことによって、wはくうではない.)
いま注意したことによって, [W]は空ではない.
(つぎに、wとw’をwのげんとすれば、wとw’はいっちするか、)
次に、WとW'を[W]の元とすれば, WとW'は一致するか,
(またはそのいずれかいっぽうがたほうのせっぺんといっちすることをしめそう。)
またはそのいずれか一方が他方の切片と一致することを示そう。
(wのげんwとw’はせいれつしゅうごうであるから、)
[W]の元WとW'は整列集合であるから、
(wとw’はじゅんじょどうけいであるか、)
WとW'は順序同型であるか、
(またはそのいずれかいっぽうがたほうのせっぺんにじゅんじょどうけいである。)
またはそのいずれか一方が他方の切片に順序同型である。
(いずれのばあいもどうようであるから,)
いずれの場合も同様であるから,
(たとえばwがw’のb’によるせっぺんにじゅんじょどうけいであるとし,)
たとえばWがW'のb'による切片に順序同型であるとし,
(wからw’のb’によるせっぺんへのじゅんじょどうけいしゃぞうをfとする.)
WからW'のb'による切片への順序同型写像をfとする.
(このとき,じつはwのにんいのげんxにたいしてfxはxとなり,)
このとき, 実はWの任意の元xに対してf(x)はxとなり,
(したがってwはw’のb’によるせっぺんといっちすることが,)
したがってWはW'のb'による切片と一致することが,
(つぎのようにちょうげんきのうほうによってしめされるのである.)
次のように超限帰納法によって示されるのである.
(まずx0はwのさいしょうげん,w’のさいしょうげん,)
まずx0はWの最小元, W'の最小元,
(w’のb’によるせっぺんのさいしょうげんとひとしくなるから,)
W'のb'による切片の最小元と等しくなるから,
(fx0がx0になることはあきらかである.)
f(x0)がx0になることは明らかである.
(つぎに,xをwのx0いがいのにんいのげんとし,)
次に, xをWのx0以外の任意の元とし,
(xよりちいさいwのすべてのげんyにたいしてfyがyになるとかていする.)
xより小さいWのすべての元yに対してf(y)がyになると仮定する.
(そのとき,もしxがwのなかにちょくぜんのげんx*をもつならば,)
そのとき, もしxがWの中に直前の元x*をもつならば,
(fがじゅんじょどうけいしゃぞうであることから,)
fが順序同型写像であることから,
(fx*はw’のb’によるせっぺんのなかで,したがってまたw’のなかで,)
f(x*)はW'のb'による切片の中で, したがってまたW'の中で,
(fxのちょくぜんのげんとなる.)
f(x)の直前の元となる.
(しかるにfx*はx*であるから,じょうけん3によって)
しかるにf(x*)はx*であるから, 条件3によって
(fxはふぁいfx*,ふぁいx*,xとひとしくなる.)
f(x)はφ(f(x*), φ(x*), xと等しくなる.
(また,xがwのなかにちょくぜんのげんをもたないばあいは,)
また, xがWの中に直前の元をもたない場合は,
(おなじくfがじゅんじょどうけいしゃぞうであるから,)
同じくfが順序同型写像であるから,
(fxもw’のb’によるせっぺんのなかに,)
f(x)もW'のb'による切片の中に,
(したがってまたw’のなかにちょくぜんのげんをもたない.)
したがってまたW'の中に直前の元をもたない.
(かつ,fによるwのxによるせっぺんのぞうはあきらかに)
かつ, fによるWのxによる切片の像は明らかに
(w’のb’によるせっぺんのfxによるせっぺん,)
W'のb'による切片のf(x)による切片,
(つまりw’のfxによるせっぺんとなるが,)
つまりW'のf(x)による切片となるが,
(wのxによるせっぺんのにんいのげんyにたいしてfyはyであるから,)
Wのxによる切片の任意の元yに対してf(y)はyであるから,
(wのxによるせっぺんはw’のfxによるせっぺんとひとしくなる.)
Wのxによる切片はW'のf(x)による切片と等しくなる.
(したがってじょうけん4により,)
したがって条件4により,
(fxはw’のfxによるせっぺんのaにおけるじょうげん,)
f(x)はW'のf(x)による切片のAにおける上限,
(wのxによるせっぺんのaにおけるじょうげん,つまりxにひとしくなる.)
Wのxによる切片のAにおける上限, つまりxに等しくなる.
(いじょうで,wにぞくするにんいのふたつのしゅうごうはいっちするか)
以上で, [W]に属する任意の二つの集合は一致するか
(またはいっぽうがたほうのせっぺんであることがしめされた.)
または一方が他方の切片であることが示された.
(したがって,wのわしゅうごうをw0とおけば,w0もせいれつしゅうごうとなる.)
したがって, [W]の和集合をW0とおけば, W0も整列集合となる.
(さらに,wのにんいのげんはw0といっちするかまたはw0のせっぺんである.)
さらに, [W]の任意の元はW0と一致するかまたはW0の切片である.
(このことにちゅういすれば,w0もじょうけん2から4をみたすことが)
このことに注意すれば, W0も条件2から4を満たすことが
(よういにけんしょうされる.)
容易に検証される.
(ゆえにw0もwのげんとなる.)
ゆえにW0も[W]の元となる.
(これはほうがんかんけいのいみでwのさいだいげんである.)
これは包含関係の意味で[W]の最大元である.
(aはきのうてきで,w0はaのせいれつぶぶんしゅうごうであるから,)
Aは帰納的で, W0はAの整列部分集合であるから,
(ていぎによりw0のaにおけるじょうげんaがそんざいする.)
定義によりW0のAにおける上限aが存在する.
(このaはw0のげんでなければならない.)
このaはW0の元でなければならない.
(じっさい,もしaがw0のげんでないならば,)
実際, もしaがW0の元でないならば,
(w0にaをくわえたしゅうごうw0’もまたじょうけん1から4をまんぞくすることが)
W0にaを加えた集合W0'もまた条件1から4を満足することが
(w0’がせいれつしゅうごうで,そのaによるせっぺんがw0といっちすること)
W0'が整列集合で, そのaによる切片がW0と一致すること
(などにちゅういすればただちにみられる.)
などに注意すれば直ちにみられる.
(しかし,これはw0がwのさいだいげんであることにはんする.)
しかし, これはW0が[W]の最大元であることに反する.
(したがってaはw0にぞくする.)
したがってaはW0に属する.
(よってaはw0のさいだいげんである.)
よってaはW0の最大元である.
(このaにたいしてふぁいaがaとひとしくなることをしめそう.)
このaに対してφ(a)がaと等しくなることを示そう.
(もしふぁいaがaとことなれば,ふぁいaはaよりおおきくなければならないが,)
もしφ(a)がaと異なれば, φ(a)はaより大きくなければならないが,
(そのばあいはaがw0のさいだいげんであるからふぁいaがw0にぞくさないことになる.)
その場合はaがW0の最大元であるからφ(a)がW0に属さないことになる.
(そしてこんどは,w0にふぁいaをくわえたしゅうごうがじょうけん1から4をみたすことが,)
そして今度は, W0にφ(a)を加えた集合が条件1から4を満たすことが,
(うえとどうようにしてただちにしられる.)
上と同様にして直ちに知られる.
(これもw0のさいだいせいにはんする.)
これもW0の最大性に反する.
(よってふぁいaはaとひとしくなければならない.)
よってφ(a)はaと等しくなければならない.
(ほだい1のしょうめいおわり.)
補題1の証明終わり.
(ほだい2aをきょくだいげんをもたないじゅんじょしゅうごうとすれば,)
補題2 Aを極大元を持たない順序集合とすれば,
(aからaへのしゃぞうふぁいで,aのすべてのげんxにたいして)
AからAへの写像φで, Aのすべての元xに対して
(ふぁいxがxよりおおきくなるものがそんざいする.)
φ(x)がxより大きくなるものが存在する.
(しょうめいaのすべてのくうでないぶぶんしゅうごうからなるしゅうごうけいをmとする.)
証明 Aのすべての空でない部分集合から成る集合系を[M]とする.
(せんたくこうりによって,mでていぎされたしゃぞうふぁいで,)
選択公理によって, [M]で定義された写像Φで,
(mのすべてのげんmにたいし)
[M]のすべての元Mに対し
(ふぁいmがmのげんであるようなものがそんざいする.)
Φ(M)がMの元であるようなものが存在する.
(いま,aはきょくだいげんをもたないとかていされているから,)
いま, Aは極大元をもたないと仮定されているから,
(aのげんxにたいして,xよりおおきいaのげんyからなるしゅうごうをmxとおけば,)
Aの元xに対して, xより大きいAの元yからなる集合をMxとおけば,
(aのどのげんxにたいしてもmxはくうしゅうごうでない,)
Aのどの元xに対してもMxは空集合でない,
(すなわちmxはmにふくまれる.)
すなわちMxは[M]に含まれる.
(そこで,aのにんいのげんxにたいし,ふぁいxをふぁいmxとして,)
そこで, Aの任意の元xに対し, φ(x)をΦ(Mx)として,
(aからaへのしゃぞうふぁいをていぎすれば,ふぁいxはmxのげんであるから,)
AからAへの写像φを定義すれば, φ(x)はMxの元であるから,
(ふぁいxはxよりおおきくなる.)
φ(x)はxより大きくなる.
(ほだい2のしょうめいおわり.)
補題2の証明終わり.
(つぉるんのほだいのしょうめい)
ツォルンの補題の証明
(ほだい1とほだい2からえられることはあきらかであろう.)
補題1と補題2から得られることは明らかであろう.
(つぉるんのほだいのしょうめいおわり.)
ツォルンの補題の証明終わり.