夏目漱石「こころ」3-35
夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。
オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
3:陥いって(おちいって)
18:改たまった(あらたまった)
21;緩くら(ゆっくら)
26:来して(きたして)
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今回は少し長めです。
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | berry | 7746 | 神 | 7.9 | 97.6% | 263.2 | 2089 | 50 | 38 | 2024/09/27 |
2 | なおきち | 7236 | 王 | 7.4 | 97.7% | 285.1 | 2111 | 48 | 38 | 2024/10/24 |
3 | れもん | 5026 | B+ | 5.2 | 96.1% | 401.1 | 2099 | 83 | 38 | 2024/09/23 |
4 | やまちゃん | 4700 | C++ | 4.8 | 97.2% | 433.4 | 2097 | 60 | 38 | 2024/11/01 |
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問題文
(はなしているうちに、)
話しているうちに、
(わたくしはいろいろのちしきをおくさんからえたようなきがしました。)
私は色々の知識を奥さんから得たような気がしました。
(しかしそれがために、わたくしはきかいをいっしたとどうようのけっかにおちいってしまいました。)
然しそれがために、私は機会を逸したと同様の結果に陥いってしまいました。
(わたくしはじぶんについて、ついにいちごんもくちをひらくことができませんでした。)
私は自分に就いて、ついに一言も口を開く事が出来ませんでした。
(わたくしはいいかげんなところではなしをきりあげて、じぶんのへやへかえろうとしました。)
私は好い加減なところで話を切り上げて、自分の室へ帰ろうとしました。
(さっきまでそばにいて、あんまりだわとかなんとかいってわらったおじょうさんは、)
さっきまで傍にいて、あんまりだわとか何とか云って笑った御嬢さんは、
(いつのまにかむこうのすみにいって、せなかをこっちへむけていました。)
何時の間にか向うの隅に行って、脊中を此方へ向けていました。
(わたくしはたとうとしてふりかえったとき、そのうしろすがたをみたのです。)
私は立とうとして振り返った時、その後姿を見たのです。
(うしろすがただけでにんげんのこころがよめるはずはありません。)
後姿だけで人間の心が読める筈はありません。
(おじょうさんがこのもんだいについてどうかんがえているか、)
御嬢さんがこの問題についてどう考えているか、
(わたくしにはけんとうがつきませんでした。)
私には見当が付きませんでした。
(おじょうさんはとだなをまえにしてすわっていました。)
御嬢さんは戸棚を前にして坐っていました。
(そのとだなのいっしゃくばかりあいているすきまから、)
その戸棚の一尺ばかり開いている隙間から、
(おじょうさんはなにかひきだしてひざのうえへおいてながめているらしかったのです。)
御嬢さんは何か引き出して膝の上へ置いて眺めているらしかったのです。
(わたくしのめはそのすきまのはじに、おとといかったたんものをみつけだしました。)
私の眼はその隙間の端に、一昨日買った反物を見付け出しました。
(わたくしのきものもおじょうさんのもおなじとだなのすみにかさねてあったのです。)
私の着物も御嬢さんのも同じ戸棚の隅に重ねてあったのです。
(わたくしがなんともいわずにせきをたちかけると、)
私が何とも云わずに席を立ち掛けると、
(おくさんはきゅうにあらたまったちょうしになって、わたくしにどうおもうかときくのです。)
奥さんは急に改たまった調子になって、私にどう思うかと聞くのです。
(そのききかたはなにをどうおもうのかとはんもんしなければわからないほどふいでした。)
その聞き方は何をどう思うのかと反問しなければ解らない程不意でした。
(それがおじょうさんをはやくかたづけたほうがとくさくだろうかといういみだとはっきりしたとき、)
それが御嬢さんを早く片付けた方が得策だろうかという意味だと判然した時、
(わたくしはなるべくゆっくらなほうがいいだろうとこたえました。)
私はなるべく緩くらな方が可いだろうと答えました。
(おくさんはじぶんもそうおもうといいました。)
奥さんは自分もそう思うと言いました。
(おくさんとおじょうさんとわたくしのかんけいがこうなっているところへ、)
奥さんと御嬢さんと私の関係がこうなっているところへ、
(もうひとりおとこがいりこまなければならないことになりました。)
もう一人男が入り込まなければならない事になりました。
(そのおとこがこのかていのいちいんとなったけっかは、)
その男がこの家庭の一員となった結果は、
(わたくしのうんめいにひじょうなへんかをきたしています。)
私の運命に非常な変化を来しています。
(もしそのおとこがわたくしのせいかつのこうろをよこぎらなかったならば、)
もしその男が私の生活の行路を横切らなかったならば、
(おそらくこういうながいものをあなたにかきのこすひつようもおこらなかったでしょう。)
恐らくこういう長いものを貴方に書き残す必要も起らなかったでしょう。
(わたくしはてもなく、まのとおるまえにたって、)
私は手もなく、魔の通る前に立って、
(そのしゅんかんのかげにいっしょうをうすぐらくされてきがつかずにいたのとおなじことです。)
その瞬間の影に一生を薄暗くされて気が付かずにいたのと同じ事です。
(じはくすると、わたくしはじぶんでそのおとこをうちへひっぱってきたのです。)
自白すると、私は自分でその男を宅へ引張って来たのです。
(むろんおくさんのきょだくもひつようですから、)
無論奥さんの許諾も必要ですから、
(わたくしはさいしょなにもかもかくさずうちあけて、おくさんにたのんだのです。)
私は最初何もかも隠さず打ち明けて、奥さんに頼んだのです。
(ところがおくさんはよせといいました。)
ところが奥さんは止せと云いました。
(わたくしにはつれてこなければすまないじじょうがじゅうぶんあるのに、)
私には連れて来なければ済まない事情が充分あるのに、
(よせというおくさんのほうには、)
止せという奥さんの方には、
(すじのたったりくつはまるでなかったのです。)
筋の立った理窟はまるでなかったのです。
(だからわたくしはわたくしのいいとおもうところをしいてだんこうしてしまいました。)
だから私は私の善いと思うところを強いて断行してしまいました。