夏目漱石「こころ」3-40
夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。
オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
6:書翰(しょかん)
7:詰責(きつせき)
16:寛ろいで(くつろいで)
22:拱いでいる(こまねいでいる)
26:快よく(こころよく)
29:完う(まっとう)
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今回も少し長めです。
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | mame | 5430 | B++ | 5.7 | 95.0% | 268.5 | 1538 | 80 | 30 | 2024/12/14 |
2 | sada | 2961 | E+ | 3.0 | 96.1% | 502.5 | 1550 | 62 | 30 | 2025/01/10 |
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問題文
(にじゅういち)
二十一
(「けいのてがみをみたようふはたいへんおこりました。)
「Kの手紙を見た養父は大変怒りました。
(おやをだますようなふらちなものにがくしをおくることはできないという)
親を騙すような不埒なものに学資を送る事は出来ないという
(きびしいへんじをすぐよこしたのです。)
厳しい返事をすぐ寄こしたのです。
(けいはそれをわたくしにみせました。)
Kはそれを私に見せました。
(けいはまたそれとぜんごしてじっかからうけとったしょかんもみせました。)
Kは又それと前後して実家から受取った書翰も見せました。
(これにもまえにおとらないほどきびしいきつせきのことばがありました。)
これにも前に劣らない程厳しい詰責の言葉がありました。
(ようけさきへたいしてすまないというぎりがくわわっているからでもありましょうが、)
養家先へ対して済まないという義理が加わっているからでもありましょうが、
(こっちでもいっさいかまわないとかいてありました。)
此方でも一切構わないと書いてありました。
(けいがこのじけんのためにふくせきしてしまうか、)
Kがこの事件のために復籍してしまうか、
(それともほかにだきょうのみちをこうじて、いぜんようけにとどまるか、)
それとも他に妥協の道を講じて、以前養家に留まるか、
(そこはこれからおこるもんだいとして、さしあたりどうかしなければならないのは、)
そこはこれから起る問題として、差し当りどうかしなければならないのは、
(つきづきにひつようながくしでした。)
月々に必要な学資でした。
(わたくしはそのてんについてけいになにかかんがえがあるのかとたずねました。)
私はその点に就いてKに何か考があるのかと尋ねました。
(けいはよるがっこうのきょうしでもするつもりだとこたえました。)
Kは夜学校の教師でもする積りだと答えました。
(そのじぶんはいまにくらべると、ぞんがいよのなかがくつろいでいましたから、)
その時分は今に比べると、存外世の中が寛ろいでいましたから、
(ないしょくのくちはあなたがかんがえるほどふっていでもなかったのです。)
内職の口は貴方が考える程払底でもなかったのです。
(わたくしはけいがそれでじゅうぶんやっていけるだろうとかんがえました。)
私はKがそれで充分遣って行けるだろうと考えました。
(しかしわたくしにはわたくしのせきにんがあります。)
然し私には私の責任があります。
(けいがようけのきぼうにそむいて、じぶんのいきたいみちをいこうとしたとき、)
Kが養家の希望に背いて、自分の生きたい道を行こうとした時、
(さんせいしたものはわたくしです。)
賛成したものは私です。
(わたくしはそうかといっててをこまねいでいるわけにいきません。)
私はそうかと云って手を拱いでいる訳に行きません。
(わたくしはそのばでぶっしつてきのほじょをすぐもうしだしました。)
私はその場で物質的の補助をすぐ申し出しました。
(するとけいはいちもにもなくそれをはねつけました。)
するとKは一も二もなくそれを跳ね付けました。
(かれのせいかくからいって、)
彼の性格から云って、
(じかつのほうがともだちのほごのもとにたつよりはるかにこころよくおもわれたのでしょう。)
自活の方が友達の保護の下に立つより遥かに快よく思われたのでしょう。
(かれはだいがくへはいったいじょう、)
彼は大学へ這入った以上、
(じぶんひとりくらいどうかできなければおとこでないようなことをいいました。)
自分一人位どうか出来なければ男でないような事を云いました。
(わたくしはわたくしのせきにんをまっとうするために、けいのかんじょうをきずつけるにしのびませんでした。)
私は私の責任を完うするために、Kの感情を傷つけるに忍びませんでした。
(それでかれのおもうとおりにさせて、わたくしはてをひきました。)
それで彼の思う通りにさせて、私は手を引きました。