夏目漱石「こころ」3-49
夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。
オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
11:持って来よう(もってきよう)
15:取り繕ろって(とりつくろって)
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | berry | 7485 | 光 | 7.7 | 97.1% | 184.9 | 1426 | 42 | 29 | 2024/09/28 |
2 | デコポン | 6895 | S++ | 7.0 | 97.6% | 202.6 | 1432 | 35 | 29 | 2024/09/25 |
3 | BEASTななせ | 6658 | S+ | 7.0 | 94.9% | 209.2 | 1472 | 79 | 29 | 2024/09/25 |
4 | 饅頭餅美 | 5384 | B++ | 5.7 | 94.2% | 250.9 | 1439 | 88 | 29 | 2024/10/11 |
5 | やまちゃん | 4470 | C+ | 4.6 | 95.6% | 305.1 | 1429 | 65 | 29 | 2024/11/14 |
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問題文
(にじゅうご)
二十五
(「わたくしはかげへまわって、おくさんとおじょうさんに、)
「私は蔭へ廻って、奥さんと御嬢さんに、
(なるべくけいとはなしをするようにたのみました。)
なるべくKと話しをする様に頼みました。
(わたくしはかれのこれまでとおってきたむごんせいかつがかれにたたっているのだろうと)
私は彼のこれまで通って来た無言生活が彼に祟っているのだろうと
(しんじたからです。)
信じたからです。
(つかわないてつがくさるように、かれのこころにはさびがでていたとしか、)
使わない鉄が腐るように、彼の心には錆が出ていたとしか、
(わたくしにはおもわれなかったのです。)
私には思われなかったのです。
(おくさんはとりつきはのないひとだといってわらっていました。)
奥さんは取り付き把のない人だと云って笑っていました。
(おじょうさんはまたわざわざそのれいをあげてわたくしにせつめいしてきかせるのです。)
御嬢さんは又わざわざその例を挙げて私に説明して聞かせるのです。
(ひばちにひがあるかとたずねると、けいはないとこたえるそうです。)
火鉢に火があるかと尋ねると、Kは無いと答えるそうです。
(ではもってきようというと、いらないとことわるそうです。)
では持って来ようと云うと、要らないと断わるそうです。
(さむくはないかときくと、さむいけれどもいらないんだ)
寒くはないかと聞くと、寒いけれども要らないんだ
(といったぎりおうたいをしないのだそうです。)
と云ったぎり応対をしないのだそうです。
(わたくしはただくしょうしているわけにもいきません。)
私はただ苦笑している訳にも行きません。
(きのどくだから、なんとかいってそのばをとりつくろっておかなければ)
気の毒だから、何とか云ってその場を取り繕ろって置かなければ
(すまなくなります。)
済まなくなります。
(もっともそれははるのことですから、しいてひにあたるひつようもなかったのですが、)
尤もそれは春の事ですから、強いて火にあたる必要もなかったのですが、
(これではとりつきはがないといわれるのもむりはないとおもいました。)
これでは取り付き把がないと云われるのも無理はないと思いました。
(それでわたくしはなるべく、じぶんがちゅうしんになって、)
それで私はなるべく、自分が中心になって、
(おんなふたりとけいとのれんらくをはかるようにつとめました。)
女二人とKとの連絡をはかる様に力めました。
(けいとわたくしがはなしているところへうちのひとをよぶとか、)
Kと私が話している所へ家の人を呼ぶとか、
(またはうちのひととわたくしがひとつへやにおちあったところへ、けいをひっぱりだすとか、)
又は家の人と私が一つ室に落ち合った所へ、Kを引っ張り出すとか、
(どっちでもそのばあいにおうじたほうほうをとって、かれらをせっきんさせようとしたのです。)
何方でもその場合に応じた方法をとって、彼等を接近させようとしたのです。
(もちろんけいはそれをあまりこのみませんでした。)
勿論Kはそれをあまり好みませんでした。
(あるときはふとたってへやのそとへでました。)
ある時はふいと起って室の外へ出ました。
(またあるときはいくらよんでもなかなかでてきませんでした。)
又ある時はいくら呼んでも中々出て来ませんでした。
(けいはあんなむだばなしをしてどこがおもしろいというのです。)
Kはあんな無駄話をして何処が面白いと云うのです。
(わたくしはただわらっていました。)
私はただ笑っていました。
(しかしこころのうちでは、けいがそのためにわたくしをけいべつしていることがよくわかりました。)
然し心の中では、Kがそのために私を軽蔑している事が能く解りました。