夏目漱石「こころ」3-52

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投稿者投稿者たけしいいね0お気に入り登録
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夏目漱石「こころ」3-52
下)先生と遺書
夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。

オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
10:嫌(きらい)
18:晩食(ばんめし)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
少し長めです。

こちらの地域の小中高では殆んどが終業式みたいです。
夏休みを存分に楽しんで下さいね(宿題や習い事で忙しいでしょうが)。

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問題文

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(おくさんははたしてるすでした。)

奥さんは果して留守でした。

(げじょもおくさんといっしょにでたのでした。)

下女も奥さんと一所に出たのでした。

(だからうちにのこっているのは、けいとおじょうさんだけだったのです。)

だから家に残っているのは、Kと御嬢さんだけだったのです。

(わたくしはちょっとくびをかたむけました。)

私は一寸首を傾けました。

(いままでながいあいだせわになっていたけれども、)

今まで長い間世話になっていたけれども、

(おくさんがおじょうさんとわたくしだけをおきざりにして、)

奥さんが御嬢さんと私だけを置き去りにして、

(うちをあけたためしはまだなかったのですから。)

宅を空けた例はまだなかったのですから。

(わたくしはなにかきゅうようでもできたのかとおじょうさんにききかえしました。)

私は何か急用でも出来たのかと御嬢さんに聞き返しました。

(おじょうさんはただわらっているのです。)

御嬢さんはただ笑っているのです。

(わたくしはこんなときにわらうおんながきらいでした。)

私はこんな時に笑う女が嫌でした。

(わかいおんなにきょうつうなてんだといえばそれまでかもしれませんが、)

若い女に共通な点だと云えばそれまでかも知れませんが、

(おじょうさんもくだらないことによくわらいたがるおんなでした。)

御嬢さんも下らない事に能く笑いたがる女でした。

(しかしおじょうさんはわたくしのかおいろをみて、すぐふだんのひょうじょうにかえりました。)

然し御嬢さんは私の顔色を見て、すぐ不断の表情に帰りました。

(きゅうようではないが、ちょっとようがあってでたのだとまじめにこたえました。)

急用ではないが、一寸用があって出たのだと真面目に答えました。

(げしゅくにんのわたくしにはそれいじょうといつめるけんりはありません。わたくしはちんもくしました。)

下宿人の私にはそれ以上問い詰める権利はありません。私は沈黙しました。

(わたくしがきものをあらためてせきにつくかつかないうちに、)

私が着物を改めて席に着くか着かないうちに、

(おくさんもげじょもかえってきました。)

奥さんも下女も帰って来ました。

(やがてばんめしのしょくたくでみんながかおをあわせるじこくがきました。)

やがて晩食の食卓でみんなが顔を合せる時刻が来ました。

(げしゅくしたとうざはばんじきゃくあつかいだったので、)

下宿した当座は万事客扱いだったので、

(しょくじのたびにげじょがぜんをはこんできてくれたのですが、)

食事のたびに下女が膳を運んで来てくれたのですが、

など

(それがいつのまにかくずれて、)

それが何時の間にか崩れて、

(めしどきにはむこうへよばれていくしゅうかんになっていたのです。)

飯時には向うへ呼ばれて行く習慣になっていたのです。

(けいがあたらしくひきうつったときも、)

Kが新らしく引き移った時も、

(わたくしがしゅちょうしてかれをわたくしとおなじようにとりあつかわせることにきめました。)

私が主張して彼を私と同じように取扱わせる事に極めました。

(そのかわりわたくしはうすいいたでつくったあしのたたみこめるきゃしゃなしょくたくを)

その代り私は薄い板で造った足の畳み込める華奢な食卓を

(おくさんにきふしました。)

奥さんに寄附しました。

(いまではどこのうちでもつかっているようですが、)

今では何処の宅でも使っているようですが、

(そのころそんなたくのしゅういにならんでめしをくうかぞくはほとんどなかったのです。)

その頃そんな卓の周囲に並んで飯を食う家族は殆んどなかったのです。

(わたくしはわざわざおちゃのみずのかぐやへいって、)

私はわざわざ御茶の水の家具屋へ行って、

(わたくしのくふうどおりにそれをつくりあげさせたのです。)

私の工夫通りにそれを造り上げさせたのです。

(わたくしはそのたくじょうでおくさんからそのひいつものじこくにさかなやがこなかったので、)

私はその卓上で奥さんからその日何時もの時刻に肴屋が来なかったので、

(わたくしたちにくわせるものをかいにまちへいかなければならなかった)

私達に食わせるものを買いに町へ行かなければならなかった

(というせつめいをきかされました。)

という説明を聞かされました。

(なるほどきゃくをおいているいじょう、それももっともなことだとわたくしがかんがえたとき、)

成程客を置いている以上、それも尤もな事だと私が考えた時、

(おじょうさんはわたくしのかおをみてまたわらいだしました。)

御嬢さんは私の顔を見て又笑い出しました。

(しかしこんどはおくさんにしかられてすぐやめました。)

然し今度は奥さんに叱られてすぐ已めました。

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