Grate Escapers

(ふと、みわたせば、)

ふと、見渡せば、

(そこここによこたわるのは)

そこここに横たわるのは

(もとめたじゆうのたいかたち。)

求めた自由の「対価」達。

(かけることばなどとどくはずもないが、)

かける言葉など届くはずもないが、

(つぶやく。)

呟く。

(「あなたたちのぶんもいきてあげるわ」)

「あなた達の分も生きてあげるわ」

(ふりあげたこのえだをふりおろす、)

振り上げたこの枝を振り下ろす、

(たびに。)

たびに。

(たやすくたおられるいのちをかさねて。)

容易く手折られる命を重ねて。

(ひとつ、またひとつと)

ひとつ、またひとつと

(かばねのかたちできざむのは、)

屍の形で刻むのは、

(わたしなりの、)

私なりの、

(あいのしょうさなの。)

愛の証左なの。

(ことばをすてて、)

言葉を捨てて、

(ただわらいかける。)

ただ笑いかける。

(そうしたなら、)

そうしたなら、

(ここからは、)

ここからは、

(きじょとわたしのはれぶたい。)

貴女と私の晴れ舞台。

(このてをにぎり、ともに、)

この手を握り、ともに、

(あゆむものがいるという、)

歩むものがいるという、

(このよろこびを、)

この悦びを、

(ひていなどさせない。)

否定などさせない。

(ちかいのことばをひとつ、)

誓いの言葉を一つ、

(えいえんのいりぐちへと。)

永遠の入り口へと。

(みちづれひとり、てをにぎって、)

道連れひとり、手を握って、

(どこまでもずっと・・・)

どこまでもずっと…

(ゆるされるつもりはないと、)

赦される心算はないと、

(ここでしめしたならば)

ここで示したならば

(にげるたのしさに、)

逃げる愉しさに、

(いまはたんでき。つき。つき。)

今は耽溺。月。月。

(ああ、あんなにとおく。)

ああ、あんなに遠く。

(そのめによみとった、)

その目に読み取った、

(しょくざいのいしを)

贖罪の意思を

(ほうびとばかりに、)

褒美とばかりに、

(ただ、ばかねとわらう。)

ただ、馬鹿ねと笑う。

(はばかることもなくしゅうじんかんしの)

憚ることもなく衆人環視の

(このなかで、)

この中で、

(ばかさかげん、)

馬鹿さ加減、

(みせつけてやろう。)

見せ付けてやろう。

(ことばをすてて、)

言葉を捨てて、

(ただうでをのばす)

ただ腕を伸ばす

(そうしたなら、)

そうしたなら、

(ここからは)

ここからは

(はじめてのきょうどうさぎょう)

<<初めての共同作業>>

(このてをにぎり、ともに、)

この手を握り、ともに、

(あゆむものがいるという)

歩むものがいるという

(このたかぶりを、)

この高揚を、

(ひていなどさせない。)

否定などさせない。

(ちかいのことばをひとつ、)

誓いの言葉を一つ、

(しゅゆしゅゆのできごとでも。)

須臾しゅゆの出来事でも。

(みちづれひとり、かたをだいて、)

道連れひとり、肩を抱いて、

(いつまでもずっと・・・)

いつまでもずっと…

(かえるつもりなどないと、)

還る心算などないと、

(ここでしめしたならば)

ここで示したならば

(とげるたのしさに、)

遂げる愉しさに、

(いまもかんげき。つき。つき。)

今も感激。月。月。

(ああ、あんなにあかく。)

ああ、あんなに紅く。

(そらよりもおちぬべきここちを、)

空よりも落ちぬべき心地を、

(させてね？)

させてね？

(さぁ、よるはこれから。)

さぁ、夜はこれから。

(ふと、みわたせば、)

ふと、見渡せば、

(そこここによこたわるのは)

そこここに横たわるのは

(もとめたじゆうのたいかたち。)

求めた自由の「対価」達。

(かけることばなどとどくはずもないが、)

かける言葉など届くはずもないが、

(つぶやく。)

呟く。

(あなたたちのぶんもいきてあげるわ)

「あなた達の分も生きてあげるわ」

(ちかいのことばをひとつ、)

誓いの言葉を一つ、

(でぐちなどいらない。)

出口など要らない。

(みちづれひとり、)

道連れひとり、

(ほおをよせて、)

頬を寄せて、

(どこまでもずっと・・・)

どこまでもずっと…

(ゆるされるつもりはないと、)

赦される心算はないと、

(ここでしめしたならば)

ここで示したならば

(つげるたのしさに、)

告げる愉しさに、

(いまやさんげき。つき。つき。)

今や惨劇。月。月。

(ああ、あんなにくらく。)

ああ、あんなに昏く。