怖い話《同じ顔》

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問題文

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(わたしはきょくりょく、どんなひとともわけへだてなくつきあうようこころがけていきてきました。)

私は極力、どんな人とも分け隔てなく付き合うよう心掛けて生きてきました。

(それはひとがすきでなかよくしたいというよりは、むだなとらぶるに)

それは人が好きで仲良くしたいというよりは、無駄なトラブルに

(まきこまれたくないというじこほしゅてきなかんがえからくるものだとじかくしています。)

巻き込まれたくないという自己保守的な考えからくるものだと自覚しています。

(これはそんなわたしがいまでもわすれられない、あるじんぶつにまつわるはなしです。)

これはそんな私が今でも忘れられない、ある人物にまつわる話です。

(ほいくえん、しょうがっこう、ちゅうがっこう、こうこうとおなじくしんがくしたaというどうきゅうせいがいました。)

保育園、小学校、中学校、高校と同じく進学したAという同級生がいました。

(いえもきんじょで、いわゆるおさななじみなのですが、それほどなかのよいかんけいではありません。)

家も近所で、いわゆる幼馴染なのですが、それ程仲の良い関係ではありません。

(aはいつもひとりでいました。)

Aはいつも一人でいました。

(じゅぎょうがおわってもつくえにすわったままうごかないでいるか、)

授業が終わっても机に座ったまま動かないでいるか、

(たまにどこかへいったとおもったらひとり、ろうかのまどからこうていをながめています。)

たまに何処かへ行ったと思ったら一人、廊下の窓から校庭を眺めています。

(べつにくらすでいじめにあっているわけでもなく、)

別にクラスでいじめにあっている訳でもなく、

(じぶんからせっきょくてきにたにんとこうりゅうしようとしないのです。)

自分から積極的に他人と交流しようとしないのです。

(あるとき、わたしはかえりみちでぐうぜんいっしょだったaにはなしかけたことがあります。)

ある時、私は帰り道で偶然一緒だったAに話しかけた事があります。

(「がっこうでいつもひとりだけど、さびしくないの?」)

「学校でいつも一人だけど、寂しくないの?」

(するとaはひとりだとさびしいとおもうそうなのですが、)

するとAは一人だと寂しいと思うそうなのですが、

(かといってだれかといっしょにいるとわずらわしくかんじてしまう。)

かといって誰かと一緒にいると煩わしく感じてしまう。

(なのでたにんにちかよらないようにしている、というのです。)

なので他人に近寄らないようにしている、と言うのです。

(わたしは「ひょっとしていま、わたしのことうざいとおもってる?」ときいてしまいました。)

私は「ひょっとして今、私の事ウザいと思ってる?」と聞いてしまいました。

(われながらいじわるいしつもんをしたなとおもったのですが、)

我ながら意地悪い質問をしたなと思ったのですが、

(ついほんねがでてしまったのです。)

つい本音が出てしまったのです。

(「いや、1たい1とかだとだいじょうぶ。」)

「いや、1対1とかだと大丈夫。」

など

(それらわたしとaはかえりみちのあいだだけではありますが、)

それら私とAは帰り道の間だけではありますが、

(わたしじしんもびっくりするくらいはなしをしました。)

私自身もビックリするくらい話をしました。

(aはとてもはなしやすかったです。)

Aはとても話しやすかったです。

(すききらいがめいかくでさばさばとしたいんしょうですが、かといってかいわにいやみがなく)

好き嫌いが明確でサバサバとした印象ですが、かといって会話に嫌味がなく

(ふかいないんしょうをあたえません。むしろすがすがしいくらいです。)

不快な印象を与えません。むしろ清々しいくらいです。

(きっとよりあたまがよく、しんがあるひとなのだなとかんじました。)

きっと自頭が良く、芯がある人なのだなと感じました。

(それからというもの、がっこうではあいかわらずひとりでいるaでしたが、)

それからというもの、学校では相変わらず一人でいるAでしたが、

(かえりみちでいっしょになったときはわたしとはなしをするあいだがらになりました。)

帰り道で一緒になった時は私と話をする間柄になりました。

(そんなaはこうこう2ねんのとき、いじめのたいしょうとなってしまいます。)

そんなAは高校2年の時、いじめの対象となってしまいます。

(ひとりでういたそんざいだと、どうしてもそういったひょうてきになりがちなものです。)

一人で浮いた存在だと、どうしてもそういった標的になりがちなものです。

(わたしをふくめ、ちゅうがくからいっしょだっためんつはaをかばっていましたが、)

私を含め、中学から一緒だった面子はAをかばっていましたが、

(はどめがきかずどんどんいじめはえすかれーとしてしまいました。)

歯止めが効かずどんどんいじめはエスカレートしてしまいました。

(とくにしゅはんかくのeのてぐちがいんしつで、)

特に主犯格のEの手口が陰湿で、

(たほうめんからちゅういするもまったくききいれるけはいがありません。)

多方面から注意するも全く聞き入れる気配がありません。

(かんじんのaにもはなしかけたりしたのですが、aは「だいじょうぶ」というばかりです。)

肝心のAにも話しかけたりしたのですが、Aは「大丈夫」というばかりです。

(ぜったい、だいじょうぶじゃないのに・・・。)

絶対、大丈夫じゃないのに・・・。

(せめてかえりみちでいっしょになればはなしができるとおもったのですが、)

せめて帰り道で一緒になれば話が出来ると思ったのですが、

(こうこうへしんがくしてからはaとがっこういがいであうこともなくなっていました。)

高校へ進学してからはAと学校以外で会う事もなくなっていました。

(そんなあるひ、とつぜんeとaががっこうへこなくなりました。)

そんなある日、突然EとAが学校へ来なくなりました。

(aはすうじつやすんだだけでまたとうこうしましたが、)

Aは数日休んだだけでまた登校しましたが、

(eはずっとけっせきをつづけ、ついにはてんこうしてしまいました。)

Eはずっと欠席を続け、ついには転校してしまいました。

(eのてんこうはとつぜんで、どうじにきみょうなうわさもひろがりました。)

Eの転校は突然で、同時に奇妙な噂も広がりました。

(「てんこうというのはうそで、eはせいしんがくるってにゅういんした。」)

「転校と言うのは嘘で、Eは精神が狂って入院した。」

(しかもそのげんいんというのが、aののろいだ、というのです。)

しかもその原因というのが、Aの呪いだ、というのです。

(じっさいにeはすがたをけしたわけですから、このはなしはまことしやかにつたわり、aははれものあつかい。)

実際にEは姿を消した訳ですから、この話は真しやかに伝わり、Aは腫物扱い。

(いじめはなくなりましたが、それいじょうにaはこりつしたようにかんじました。)

いじめはなくなりましたが、それ以上にAは孤立したように感じました。

(そのあと、ぐうぜんかえりみちでaをみかけたわたしははなしかけてみました。)

その後、偶然帰り道でAを見かけた私は話しかけてみました。

(aはむかしのころとまったくかわらず、わたしとはなしをしてくれます。)

Aは昔の頃と全く変わらず、私と話をしてくれます。

(そこできになっていた、eのことをたずねてみました。)

そこで気になっていた、Eの事を尋ねてみました。

(「aのことひょうてきにしていたeのことだけど、がっこうにこなくなったのは)

「Aの事標的にしていたEの事だけど、学校に来なくなったのは

(のろいだってみないってるけど・・・ほんとうなの?」)

呪いだって皆言ってるけど・・・本当なの?」

(「ほんとうだよ。」)

「本当だよ。」

(aはとうぜんといわんばかりに、さらりとこたえました。)

Aは当然と言わんばかりに、さらりと答えました。

(「あのひと、わたしのことすっごくだいすきだったみたいだから、)

「あの人、私の事すっごく大好きだったみたいだから、

(ぜんいんがわたしにみえるように、おなじかおにみえるのろいをかけたの。)

全員が私に見えるように、同じ顔に見える呪いをかけたの。

(そしたらあたまおかしくなっちゃったみたい。あはははは!!」)

そしたら頭おかしくなっちゃったみたい。あはははは!!」

(aはそういってわらっていましたが、めはまったくわらっておらず、)

Aはそう言って笑っていましたが、目は全く笑っておらず、

(わたしはぞっとしてしまいました。)

私はゾッとしてしまいました。

(aがいうのは、かけいてきにのろいやけがれといったまいなすなきをせおうちすじで、)

Aが言うのは、家系的に呪いや穢れといったマイナスな気を背負う血筋で、

(そういったちからがみについてしまったのだとか。)

そういった力が身についてしまったのだとか。

(とはいっても、そんなはなしはしんじることができません。)

とは言っても、そんな話は信じる事が出来ません。

(のろい?そんなものほんとうにあるのでしょうか?)

呪い?そんなもの本当にあるのでしょうか?

(「だからあなたも、もうわたしとかかわらないほうがいいよ。じゃあね、ばいばい。」)

「だからあなたも、もう私と関わらない方がいいよ。じゃあね、バイバイ。」

(そういってわかれぎわ、aはないていました。)

そう言って別れ際、Aは泣いていました。

(それからほどなくしてこうこうをそつぎょうしたのですが、)

それから程なくして高校を卒業したのですが、

(aはどうじにひっこししてどこかへいってしまいました。)

Aは同時に引越しして何処かへ行ってしまいました。

(aがすんでいたいえはとりこわされうりちとなりましたが、)

Aが住んでいた家は取り壊され売地となりましたが、

(ずっとかいてがつかないままです。)

ずっと買い手が付かないままです。

(わたしのおやいわく、かしありだからしばらくあきちだろうとのことです。)

私の親曰く、瑕疵ありだから暫く空き地だろうとの事です。

(わたしはさいごにaがないていたいみを、いまでもかんがえてしまいます。)

私は最後にAが泣いていた意味を、今でも考えてしまいます。

(ほんとうはみなとなかよくしたかったのに、それができないかんきょうだったのではないか。)

本当は皆と仲良くしたかったのに、それが出来ない環境だったのではないか。

(そうおもうと、いまもどこかでaがげんきにくらしてくれればと、いのるばかりです。)

そう思うと、今もどこかでAが元気に暮らしてくれればと、祈るばかりです。

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