夏目漱石「こころ」3-77
夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。
オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
6:各自(てんでん)
31:為てしまいました(してしまいました)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
タイピングを作ったものの、そのまま放置してしまっていました。
皆様にはご混乱を招きました。申し訳ございません。
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | BEASTななせ | 7136 | 王 | 7.5 | 95.0% | 241.7 | 1820 | 95 | 31 | 2024/10/28 |
2 | mame | 5510 | A | 5.8 | 95.1% | 302.5 | 1757 | 90 | 31 | 2024/12/15 |
3 | やまちゃん | 4874 | B | 5.0 | 96.2% | 346.3 | 1756 | 68 | 31 | 2024/12/04 |
4 | はち | 4210 | C | 4.3 | 96.4% | 404.2 | 1767 | 65 | 31 | 2024/11/04 |
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問題文
(そのうちがっこうがまたはじまりました。)
その内学校がまた始まりました。
(わたくしたちはじかんのおなじひにはつれだってうちをでます。)
私達は時間の同じ日には連れ立って宅を出ます。
(つごうがよければかえるときにもやはりいっしょにかえりました。)
都合が可ければ帰る時にもやはり一所に帰りました。
(がいぶからみたけいとわたくしは、)
外部から見たKと私は、
(なにもまえとちがったところがないようにしたしくなったのです。)
何にも前と違ったところがないように親しくなったのです。
(けれどもはらのなかでは、てんでんにてんでんのことをかってにかんがえていたにちがいありません。)
けれども腹の中では、各自に各自の事を勝手に考えていたに違ありません。
(あるひわたくしはとつぜんおうらいでけいににくはくしました。)
ある日私は突然往来でKに肉薄しました。
(わたくしがだいいちにきいたのは、このあいだのじはくがわたくしだけにかぎられているか、)
私が第一に聞いたのは、この間の自白が私だけに限られているか、
(またはおくさんやおじょうさんにもつうじてあるのかのてんにあったのです。)
又は奥さんや御嬢さんにも通じてあるのかの点にあったのです。
(わたくしのこれからとるべきたいどは、)
私のこれから取るべき態度は、
(このといにたいするかれのこたえしだいできめなければならないと、わたくしはおもったのです。)
この問に対する彼の答次第で極めなければならないと、私は思ったのです。
(するとかれはほかのひとにはまだだれにもうちあけていないとめいげんしました。)
すると彼は外の人にはまだ誰にも打ち明けていないと明言しました。
(わたくしはじじょうがじぶんのすいさつどおりだったので、ないしんうれしがりました。)
私は事情が自分の推察通りだったので、内心嬉しがりました。
(わたくしはけいのわたくしよりおうちゃくなのをよくしっていました。)
私はKの私より横着なのを能く知っていました。
(かれのどきょうにもかなわないというじかくがったのです。)
彼の度胸にも敵わないという自覚があったのです。
(けれどもいっぽうではまたみょうにかれをしんじていました。)
けれども一方では又妙に彼を信じていました。
(がくしのことでようけをさんねんもあざむいていたかれですけれども、)
学資の事で養家を三年も欺むいていた彼ですけれども、
(かれのしんようはわたくしにたいしてすこしもそこなわれていなかったのです。)
彼の信用は私に対して少しも損われていなかったのです。
(わたくしはそれがためにかえってかれをしんじていたくらいです。)
私はそれがために却って彼を信じていた位です。
(だからいくらうたがいぶかいわたくしでも、)
だからいくら疑い深い私でも、
(めいはくなかれのこたえをはらのなかでひていするきはおこりようがなかったのです。)
明白な彼の答を腹の中で否定する気は起りようがなかったのです。
(わたくしはまたかれにむかって、かれのこいをどうとりあつかうつもりかとたずねました。)
私は又彼に向って、彼の恋をどう取り扱かう積りかと尋ねました。
(それがたんなるじはくにすぎないのか、)
それが単なる自白に過ぎないのか、
(またはそのじはくについで、じっさいてきのこうかをもおさめるきなのかととうたのです。)
又はその自白についで、実際的の効果をも収める気なのかと問うたのです。
(しかるにかれはそこになると、なにもこたえません。)
然るに彼は其所になると、何にも答えません。
(だまってしたをむいてあるきだします。)
黙って下を向いて歩き出します。
(わたくしはかれにかくしだてをしてくれるな、すべておもったとおりをはなしてくれとたのみました。)
私は彼に隠し立をしてくれるな、凡て思った通りを話してくれと頼みました。
(わたくしはかれにかくすひつようはないとはっきりだんげんしました。)
私は彼に隠す必要はないと判然断言しました。
(しかしわたくしのしろうとするてんには、いちごんのへんじもあたえないのです。)
然し私の知ろうとする点には、一言の返事も与えないのです。
(わたくしもおうらいだからわざわざたちどまってそこまでつきとめるわけにいきません。)
私も往来だからわざわざ立ち留まって底まで突き止める訳に行きません。
(ついそれなりにしてしまいました。)
ついそれなりに為てしまいました。