夏目漱石「こころ」3-81
夏目漱石「こころ」3-81
下)先生と遺書
夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。
オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
14:立留ったまま(たちどまったまま)
19:眼遣(めづかい)
21:徐々と(そろそろと)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今回は短めです。
夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。
オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
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14:立留ったまま(たちどまったまま)
19:眼遣(めづかい)
21:徐々と(そろそろと)
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今回は短めです。
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問題文
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(こういうかこをふたりのあいだにとおりぬけてきているのですから、)
こういう過去を二人の間に通り抜けて来ているのですから、
(せいしんてきにこうじょうしんのないものはばかだということばは、)
精神的に向上心のないものは馬鹿だという言葉は、
(けいにとっていたいにちがいなかったのです。)
Kに取って痛いに違いなかったのです。
(しかしまえにもいったとおり、わたくしはこのいちごんで、)
然し前にも云った通り、私はこの一言で、
(かれがせっかくつみあげたかこをけちらしたつもりではありません。)
彼が折角積み上げた過去を蹴散らした積りではありません。
(てんにとどこうが、わたくしはかまいません。)
天に届こうが、私は構いません。
(わたくしはただけいがきゅうにせいかつのほうこうをてんかんして、)
私はただKが急に生活の方向を転換して、
(わたくしのりがいとしょうとつするのをおそれたのです。)
私の利害と衝突するのを恐れたのです。
(ようするにわたくしのことばはたんなるりこしんのはつげんでした。)
要するに私の言葉は単なる利己心の発現でした。
(「せいしんてきにこうじょうしんのないものは、ばかだ」)
『精神的に向上心のないものは、馬鹿だ』
(わたくしはにどおなじことばをくりかえしました。)
私は二度同じ言葉を繰り返しました。
(そうして、そのことばがけいのうえにどうえいきょうするかをみつめていました。)
そうして、その言葉がKの上にどう影響するかを見詰めていました。
(「ばかだ」とやがてけいがこたえました。「ぼくはばかだ」)
『馬鹿だ』とやがてKが答えました。『僕は馬鹿だ』
(けいはぴたりとそこへたちどまったままうごきません。)
Kはぴたりと其所へ立ち留ったまま動きません。
(かれはじめんのうえをみつめています。)
彼は地面の上を見詰めています。
(わたくしはおもわずぎょっとしました。)
私は思わずぎょっとしました。
(わたくしにはけいがそのせつなにいなおりごうとうのごとくかんぜられたのです。)
私にはKがその刹那に居直り強盗の如く感ぜられたのです。
(しかしそれにしてはかれのこえがいかにもちからにとぼしいということにきがつきました。)
然しそれにしては彼の声が如何にも力に乏しいという事に気が付きました。
(わたくしはかれのめづかいをさんこうにしたかったのですが、)
私は彼の眼遣を参考にしたかったのですが、
(かれはさいごまでわたくしのかおをみないのです。)
彼は最後まで私の顔を見ないのです。
など
(そうして、そろそろとまたあるきだしました。)
そうして、徐々と又歩き出しました。