夏目漱石「こころ」3-87
夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。
オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
5:家の内(いえのなか)
15:終って(しまって)
29:仰ゃった(おっしゃった)
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順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ヤス | 7785 | 神 | 8.1 | 95.2% | 208.2 | 1706 | 85 | 29 | 2024/10/21 |
2 | BEASTななせ | 6731 | S+ | 7.0 | 96.0% | 251.2 | 1764 | 73 | 29 | 2024/10/29 |
3 | デコポン | 6563 | S+ | 6.7 | 96.8% | 249.1 | 1690 | 55 | 29 | 2024/10/01 |
4 | すもさん | 5971 | A+ | 6.2 | 95.6% | 284.5 | 1780 | 81 | 29 | 2024/10/07 |
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問題文
(いっしゅうかんののちわたくしはとうとうたえきれなくなってけびょうをつかいました。)
一週間の後私はとうとう堪え切れなくなって仮病を遣いました。
(おくさんからもおじょうさんからも、けいじしんからも、おきろというさいそくをうけたわたくしは、)
奥さんからも御嬢さんからも、K自身からも、起きろという催促を受けた私は、
(なまへんじをしただけで、じゅうじごろまでふとんをかぶってねていました。)
生返事をしただけで、十時頃まで蒲団を被って寐ていました。
(わたくしはけいもおじょうさんもいなくなって、)
私はKも御嬢さんもいなくなって、
(いえのなかがひっそりしずまったころをみはからってねどこをでました。)
家の内がひっそり静まった頃を見計らって寐床を出ました。
(わたくしのかおをみたおくさんは、すぐどこがわるいかとたずねました。)
私の顔を見た奥さんは、すぐ何処が悪いかと尋ねました。
(たべものはまくらもとへはこんでやるから、)
食物は枕元へ運んでやるから、
(もっとねていたらよかろうとちゅうこくしてもくれました。)
もっと寐ていたら可かろうと忠告してもくれました。
(からだにいじょうのないわたくしは、とてもねるきにはなれません。)
身体に異状のない私は、とても寐る気にはなれません。
(かおをあらっていつものとおりちゃのまでめしをくいました。)
顔を洗って何時もの通り茶の間で飯を食いました。
(そのときおくさんはながひばちのむこうがわからきゅうじをしてくれたのです。)
その時奥さんは長火鉢の向側から給仕をしてくれたのです。
(わたくしはあさめしともひるめしともかたづかないちゃわんをてにもったまま、)
私は朝飯とも午飯とも片付かない茶碗を手に持ったまま、
(どんなふうにもんだいをきりだしたものだろうかと、そればかりにくったくしていたから、)
どんな風に問題を切り出したものだろうかと、そればかりに屈託していたから、
(がいかんからはじっさいきぶんのよくないびょうにんらしくみえただろうとおもいます。)
外観からは実際気分の好くない病人らしく見えただろうと思います。
(わたくしはめしをしまってたばこをふかしだしました。)
私は飯を終って煙草を吹かし出しました。
(わたくしがたたないのでおくさんもひばちのそばをはなれるわけにいきません。)
私が立たないので奥さんも火鉢の傍を離れる訳に行きません。
(げじょをよんでぜんをさげさせたうえ、てつびんにみずをさしたり、)
下女を呼んで膳を下げさせた上、鉄瓶に水を注したり、
(ひばちのふちをふいたりして、わたくしにちょうしをあわせています。)
火鉢の縁を拭いたりして、私に調子を合わせています。
(わたくしはおくさんにとくべつなようじでもあるのかとといました。)
私は奥さんに特別な用事でもあるのかと問いました。
(おくさんはいいえとこたえましたが、こんどはむこうでなぜですとききかえしてきました。)
奥さんはいいえと答えましたが、今度は向うで何故ですと聞き返して来ました。
(わたくしはじつはすこしはなしたいことがあるのだといいました。)
私は実は少し話したい事があるのだと云いました。
(おくさんはなんですかといって、わたくしのかおをみました。)
奥さんは何ですかと云って、私の顔を見ました。
(おくさんのちょうしはまるでわたくしのきぶんにはいりこめないようなかるいものでしたから、)
奥さんの調子はまるで私の気分に這入り込めないような軽いものでしたから、
(わたくしはつぎにだすべきもんくもすこししぶりました。)
私は次に出すべき文句も少し渋りました。
(わたくしはしかたなしにことばのうえで、いいかげんにうろつきまわったすえ、)
私は仕方なしに言葉の上で、好い加減にうろつき廻った末、
(けいがちかごろなにかいいはしなかったかとおくさんにきいてみました。)
Kが近頃何か云いはしなかったかと奥さんに聞いて見ました。
(おくさんはおもいもよらないというふうをして、「なにを?」とまたはんもんしてきました。)
奥さんは思いもよらないという風をして、『何を?』とまた反問して来ました。
(そうしてわたくしのこたえるまえに、)
そうして私の答える前に、
(「あなたにはなにかおっしゃったんですか」とかえってむこうできくのです。)
『貴方には何か仰ゃったんですか』と却って向で聞くのです。