夏目漱石「こころ」3ー92
夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。
オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
9:素ぱ抜かない(すっぱぬかない)
22:極っています(きまっています)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
| 順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ちゃった | 5932 | A+ | 5.9 | 99.6% | 252.0 | 1501 | 6 | 28 | 2025/11/06 |
| 2 | ko | 4134 | C | 4.8 | 87.5% | 309.8 | 1493 | 212 | 28 | 2025/10/12 |
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問題文
(よんじゅうなな)
四十七
(「わたくしはそのままにさんにちすごしました。)
「私はそのまま二三日過ごしました。
(そのにさんにちのあいだけいにたいするたえざるふあんがわたくしのむねをおもくしたのは)
その二三日の間Kに対する堪えざる不安が私の胸を重くしたのは
(いうまでもありません。)
云うまでもありません。
(わたくしはただでさえなんとかしなければ、かれにすまないとおもったのです。)
私はただでさえ何とかしなければ、彼に済まないと思ったのです。
(そのうえおくさんのちょうしや、おじょうさんのたいどが、)
その上奥さんの調子や、御嬢さんの態度が、
(しじゅうわたくしをつっつくようにしげきするのですから、わたくしはなおつらかったのです。)
始終私を突ッつくように刺戟するのですから、私は猶辛かったのです。
(どこかおとこらしいきしょうをそなえたおくさんは、)
何処か男らしい気性を具えた奥さんは、
(いつわたくしのことをしょくたくでけいにすっぱぬかないともかぎりません。)
何時私の事を食卓でKに素ぱ抜かないとも限りません。
(それいらいことにめだつようにおもえたわたくしにたいするおじょうさんのきょしどうさも、)
それ以来ことに目立つように思えた私に対する御嬢さんの挙止動作も、
(けいのこころをくもらすふしんのたねとならないとはだんげんできません。)
Kの心を曇らす不審の種とならないとは断言出来ません。
(わたくしはなんとかして、わたくしとこのかぞくとのあいだになりたったあたらしいかんけいを、)
私は何とかして、私とこの家族との間に成り立った新らしい関係を、
(けいにしらせなければならないいちにたちました。)
Kに知らせなければならない位置に立ちました。
(しかしりんりてきにじゃくてんをもっていると、じぶんでじぶんをみとめているわたくしには、)
然し倫理的に弱点をもっていると、自分で自分を認めている私には、
(それがまたしなんのことのようにかんぜられました。)
それがまた至難の事のように感ぜられました。
(わたくしはしかたがないから、)
私は仕方がないから、
(おくさんにたのんでけいにあらためてそういってもらおうかとかんがえました。)
奥さんに頼んでKに改ためてそう云って貰おうかと考えました。
(むろんわたくしのいないときにです。)
無論私のいない時にです。
(しかしありのままをつげられては、ちょくせつとかんせつのくべつがあるだけで、)
然しありのままを告げられては、直接と間接の区別があるだけで、
(めんぼくのないのにかわりはありません。)
面目のないのに変りはありません。
(といって、こしらえごとをはなしてもらおうとすれば、)
と云って、拵え事を話して貰おうとすれば、
(おくさんからそのりゆうをきつもんされるにきまっています。)
奥さんからその理由を詰問されるに極っています。
(もしおくさんにすべてのじじょうをうちあけてたのむとすれば、)
もし奥さんに総ての事情を打ち明けて頼むとすれば、
(わたくしはこのんでじぶんのじゃくてんを)
私は好んで自分の弱点を
(じぶんのあいじんとそのははおやのまえにさらしださなければなりません。)
自分の愛人とその母親の前に曝し出さなければなりません。
(まじめなわたくしには、それがわたくしのみらいのしんようにかんするとしかおもわれなかったのです。)
真面目な私には、それが私の未来の信用に関するとしか思われなかったのです。
(けっこんするまえからこいびとのしんようをうしなうのは、たといいちぶいちりんでも、)
結婚する前から恋人の信用を失うのは、たとい一分一厘でも、
(わたくしにはたえきれないふこうのようにみえました。)
私には堪え切れない不幸のように見えました。