夏目漱石「こころ」3-93
夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。
オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
6:窮境(きゅうきょう)
7:陥いった(おちいった)
26:驚(おどろき)
37:塞る(ふさがる)
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順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ヤス | 7342 | 光 | 7.7 | 95.3% | 246.5 | 1902 | 92 | 37 | 2024/10/22 |
2 | BEASTななせ | 7022 | 王 | 7.3 | 95.7% | 267.3 | 1965 | 88 | 37 | 2024/10/31 |
3 | デコポン | 6843 | S++ | 7.0 | 97.4% | 269.6 | 1895 | 50 | 37 | 2024/10/02 |
4 | すもさん | 6051 | A++ | 6.2 | 96.6% | 316.1 | 1982 | 69 | 37 | 2024/10/09 |
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問題文
(ようするにわたくしはしょうじきなみちをあるくつもりで、ついあしをすべらしたばかものでした。)
要するに私は正直な路を歩く積りで、つい足を滑らした馬鹿ものでした。
(もしくはこうかつなおとこでした。)
もしくは狡猾な男でした。
(そうしてそこにきのついているものは、)
そうして其所に気のついているものは、
(いまのところただてんとわたくしのこころだけだったのです。)
今のところただ天と私の心だけだったのです。
(しかしたちなおって、もういっぽまえへふみだそうとするには、)
然し立ち直って、もう一歩前へ踏み出そうとするには、
(いますべったことをぜひともしゅういのひとにしられなければならないきゅうきょうに)
今滑った事を是非とも周囲の人に知られなければならない窮境に
(おちいったのです。)
陥いったのです。
(わたくしはあくまですべったことをかくしたがりました。)
私は飽くまで滑った事を隠したがりました。
(どうじに、どうしてもまえへでずにはいられなかったのです。)
同時に、どうしても前へ出ずにはいられなかったのです。
(わたくしはこのあいだにはさまってまたたちすくみました。)
私はこの間に挟まってまた立ち竦みました。
(ごろくにちたったのち、おくさんはとつぜんわたくしにむかって、)
五六日経った後、奥さんは突然私に向って、
(けいにあのことをはなしたかときくのです。)
Kにあの事を話したかと聞くのです。
(わたくしはまだはなさないとこたえました。)
私はまだ話さないと答えました。
(するとなぜはなさないのかと、おくさんがわたくしをなじるのです。)
すると何故話さないのかと、奥さんが私を詰るのです。
(わたくしはこのといにかたくなりました。)
私はこの問の前に固くなりました。
(そのときおくさんがわたくしをおどろかしたことばを、わたくしはいまでもわすれずにおぼえています。)
そのとき奥さんが私を驚ろかした言葉を、私は今でも忘れずに覚えています。
(「どうりでわたしがはなしたらへんなかおをしていましたよ。)
『道理で妾が話したら変な顔をしていましたよ。
(あなたもよくないじゃありませんか、へいぜいあんなにしたしくしているあいだがらだのに、)
貴方もよくないじゃありませんか、平生あんなに親しくしている間柄だのに、
(だまってしらんかおをしているのは」)
黙って知らん顔をしているのは』
(わたくしはけいがそのときなにかいいはしなかったかとおくさんにききました。)
私はKがその時何か云いはしなかったかと奥さんに聞きました。
(おくさんはべつだんなんにもいわないとこたえました。)
奥さんは別段何にも云わないと答えました。
(しかしわたくしはすすんでもっとこまかいことをたずねずにはいられませんでした。)
然し私は進んでもっと細かい事を尋ねずにはいられませんでした。
(おくさんはもとよりなにもかくすわけがありません。)
奥さんは固より何も隠す訳がありません。
(たいしたはなしもないがといいながら、いちいちけいのようすをかたってきかせてくれました。)
大した話もないがと云いながら、一々Kの様子を語って聞かせてくれました。
(おくさんのいうところをそうごうしてかんがえてみると、けいはこのさいごのだげきを、)
奥さんの云うところを綜合して考えて見ると、Kはこの最後の打撃を、
(もっともおちついたおどろきをもってむかえたらしいのです。)
最も落付いた驚をもって迎えたらしいのです。
(けいはおじょうさんとわたくしとのあいだにむすばれたあたらしいかんけいについて、)
Kは御嬢さんと私との間に結ばれた新らしい関係に就いて、
(さいしょはそうですかとただひとくちいっただけだったそうです。)
最初はそうですかとただ一口云っただけだったそうです。
(しかしおくさんが、「あなたもよろこんでください」とのべたとき、)
然し奥さんが、『あなたも喜こんで下さい』と述べた時、
(かれははじめておくさんのかおをみてびしょうをもらしながら、)
彼ははじめて奥さんの顔を見て微笑を洩らしながら、
(「おめでとうございます」といったまませきをたったそうです。)
『御目出とう御座います』と云ったまま席を立ったそうです。
(そうしてちゃのまのしょうじをあけるまえに、またおくさんをふりかえって、)
そうして茶の間の障子を開ける前に、また奥さんを振り返って、
(「けっこんはいつですか」ときいたそうです。)
『結婚は何時ですか』と聞いたそうです。
(それから「なにかおいわいをあげたいが、わたしはかねがないからあげることができません」)
それから『何か御祝いを上げたいが、私は金がないから上げる事が出来ません』
(といったそうです。)
と云ったそうです。
(おくさんのまえにすわっていたわたくしは、)
奥さんの前に坐っていた私は、
(そのはなしをきいてむねがふさがるようなくるしさをおぼえました。)
その話を聞いて胸が塞るような苦しさを覚えました。