夏に嫌われている

(ぼくはなつにきらわれている)

僕は夏に嫌われている

(だれともめをあわせることもなく)

誰とも目を合わせることもなく

(しずかにえきにたどりついて)

静かに駅にたどり着いて

(ひとをかわしほーむにおりていく)

人を交わしホームに降りていく

(それはかげろうかしんきろうかわからないけど)

それは陽炎か蜃気楼かわからないけど

(せかいはぼやけてみえる)

世界はぼやけて見える

(ぼくのこころをうばってく)

僕の心を奪ってく

(きみのまちはいまどんなですか)

君の街は今どんなですか

(ぼくはおんがくをかいている)

僕は音楽を書いている

(らぶそんぐでもなんでもいい)

ラブソングでもなんでもいい

(いまをわすれるなにかがほしかった)

今を忘れる何かが欲しかった

(はやくぜんぶおいだしたくて)

早く全部追い出したくて

(いきるのはなんねんたってもなれないな)

生きるのは何年経っても慣れないな

(てれびをつけてはけして)

テレビをつけては消して

(けっきょくしずかなへや)

結局静かな部屋

(ぼくはまたなつにきらわれている)

僕はまた夏に嫌われている

(ないものねがいじゃかわらないよね)

ないもの願いじゃ変わらないよね

(そらがすこしゆがんでみえている)

空が少し歪んで見えている

(なみだもおちるまえにかれていく)

涙も落ちる前に枯れていく

(きせつはかわってかわってかわって)

季節は変わって変わって変わって

(それでもまだまだおいつかないね)

それでもまだまだ追いつかないね

(じそくなんびゃっきろではしったって)

時速何百キロで走ったって

(にゅうどうぐもからはにげられないよね)

入道雲からは逃げられないよね

(ぼくはなつにきらわれている)

僕は夏に嫌われている

(ぼくからはなしたはずのきみのて)

僕から離したはずの君の手

(すぐにたぐりよせたくなっている)

すぐに手繰りよせたくなっている

(じぶんかってだとあきれてるよね)

自分勝手だとあきれてるよね

(それはかなしいとかくるしいとか)

それは悲しいとか苦しいとか

(そんなことばじゃあらわせないよ)

そんな言葉じゃ表せないよ

(ぼくのかたちくらいはのこってるかい)

僕の形くらいは残ってるかい

(つかれてはててるのになぜかねむれないよ)

疲れて果ててるのに何故か眠れないよ

(でんきをつけてはけして)

電気をつけては消して

(なんにちたったろう)

何日経ったろう

(はやくぜんぶおいだしてくて)

早く全部追い出してくて

(いきるのはなんねんたってもなれないな)

生きるのは何年経っても慣れないな

(てれびをつけてはけして)

テレビをつけては消して

(けっきょくしずかなへや)

結局静かな部屋

(おかしいでしょ)

おかしいでしょ

(ふたしかだからぼくにもわからないけど)

不確かだから僕にもわからないけど

(ぜんぶぼくのせいでしょ)

全部僕のせいでしょ

(だれかのせいにしてらくなら)

誰かのせいにして楽なら

(いまはてんごくだよ)

今は天国だよ

(ぼくはまたなつにきらわれている)

僕はまた夏に嫌われている

(あいにくぼくもなつはきらいだよ)

あいにく僕も夏は嫌いだよ

(いのちをかけるにはきょうは)

命をかけるには今日は

(ほんのすこしあつすぎる)

ほんの少し暑すぎる

(ぼくはまたなつにきらわれている)

僕はまた夏に嫌われている

(ないものねがいじゃかわらないよね)

ないもの願いじゃ変わらないよね

(そらがすこしゆがんでみえている)

空が少し歪んで見えている

(なみだもおちるまえにかれていく)

涙も落ちる前に枯れていく

(きせつはかわってかわってかわって)

季節は変わって変わって変わって

(それでもまだまだおいつかないね)

それでもまだまだ追いつかないね

(じそくなんびゃっきろではしったって)

時速何百キロで走ったって

(にゅうどうぐもからはにげられないよね)

入道雲からは逃げられないよね