夏目漱石「こころ」3-99
夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。
オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2:烟(けむり)
2:撲たれた(うたれた)
8:漸やく(ようやく)
9:寛ろいだ(くつろいだ)
10:潤(うるおい)
16:換わす(かわす)
17:即いて(ついて)
21:美くしい(うつくしい)
32:好(すき)
36:跪まずいて(ひざまずいて)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~u
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | mame | 5611 | A | 5.8 | 95.4% | 352.5 | 2076 | 98 | 39 | 2024/12/15 |
2 | やまちゃん | 4883 | B | 5.0 | 97.3% | 413.6 | 2077 | 57 | 39 | 2024/12/08 |
3 | ぶす | 4601 | C++ | 5.0 | 92.2% | 412.0 | 2069 | 173 | 39 | 2024/11/18 |
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問題文
(わたくしがかえったときは、けいのまくらもとにもうせんこうがたてられていました。)
私が帰った時は、Kの枕元にもう線香がたてられていました。
(へやへはいるとすぐほとけくさいけむりではなをうたれたわたくしは、)
室へ這入るとすぐ仏臭い烟で鼻を撲たれた私は、
(そのけむりのなかにすわっているおんなふたりをみとめました。)
その烟の中に坐っている女二人を認めました。
(わたくしがおじょうさんのかおをみたのは、さくやらいこのときがはじめてでした。)
私が御嬢さんの顔を見たのは、昨夜来この時が始めてでした。
(おじょうさんはないていました。)
御嬢さんは泣いていました。
(おくさんもめをあかくしていました。)
奥さんも眼を赤くしていました。
(じけんがおこってからそれまでなくことをわすれていたわたくしは、)
事件が起ってからそれまで泣く事を忘れていた私は、
(そのときようやくかなしいきぶんにさそわれることができたのです。)
その時漸やく悲しい気分に誘われる事が出来たのです。
(わたくしのむねはそのかなしさのために、どのくらいくつろいだかしれません。)
私の胸はその悲しさのために、どの位寛ろいだか知れません。
(くつうときょうふでぐいとにぎりしめられたわたくしのこころに、いってきのうるおいをあたえてくれたものは、)
苦痛と恐怖でぐいと握り締められた私の心に、一滴の潤を与えてくれたものは、
(そのときのかなしさでした。)
その時の悲しさでした。
(わたくしはだまってふたりのそばにすわっていました。)
私は黙って二人の傍に坐っていました。
(おくさんはわたくしにもせんこうをあげてやれといいます。)
奥さんは私にも線香を上げてやれと云います。
(わたくしはせんこうをあげてまただまってすわっていました。)
私は線香を上げて又黙って座っていました。
(おじょうさんはわたくしにはなんともいいません。)
御嬢さんは私には何とも云いません。
(たまにおくさんとひとくちふたくちことばをかわすことがありましたが、)
たまに奥さんと一口二口言葉を換わす事がありましたが、
(それはとうざのようじについてのみでした。)
それは当座の用事に即いてのみでした。
(おじょうさんにはけいのせいぜんについてかたるほどのよゆうがまだでてこなかったのです。)
御嬢さんにはKの生前に就いて語る程の余裕がまだ出て来なかったのです。
(わたくしはそれでもゆうべのものすごいありさまをみせずにすんでまだよかったと)
私はそれでも昨夜の物凄い有様を見せずに済んでまだ可かったと
(こころのうちでおもいました。)
心のうちで思いました。
(わかいうつくしいひとにおそろしいものをみせると、せっかくのうつくしさが、)
若い美くしい人に恐ろしいものを見せると、折角の美くしさが、
(そのためにはかいされてしまいそうでわたくしはこわかったのです。)
その為に破壊されてしまいそうで私は怖かったのです。
(わたくしのおそろしさがわたくしのかみのけのまったんまできたときですら、)
私の恐ろしさが私の髪の毛の末端まで来た時ですら、
(わたくしはそのかんがえをどがいにおいてこうどうすることはできませんでした。)
私はその考を度外に置いて行動する事は出来ませんでした。
(わたくしにはきれいなはなをつみもないのにみだりにむちうつとおなじようなふかいが)
私には綺麗な花を罪もないのに妄りに鞭うつとおなじような不快が
(そのうちにこもっていたのです。)
そのうちに籠っていたのです。
(くにもとからけいのちちとあにがでてきたとき、)
国本からKの父と兄が出て来た時、
(わたくしはけいのいこつをどこへうめるかについてじぶんのいけんをのべました。)
私はKの遺骨を何処へ埋めるかに就いて自分の意見を述べました。
(わたくしはかれのせいぜんにぞうしがやきんぺんをよくいっしょにさんぽしたことがあります。)
私は彼の生前に雑司ヶ谷近辺をよく一所に散歩した事があります。
(けいにはそこがたいへんきにいっていたのです。)
Kには其所が大変気に入っていたのです。
(それでわたくしはじょうだんはんぶんに、)
それで私は冗談半分に、
(そんなにすきならしんだらここへうめてやろうとやくそくしたおぼえがあるのです。)
そんなに好なら死んだら此所へ埋めて遣ろうと約束した覚があるのです。
(わたくしもいまそのやくそくどおりけいをぞうしがやへほうむったところで、)
私も今その約束通りKを雑司ヶ谷へ葬ったところで、
(どのくらいのくどくになるのかとはおもいました。)
どの位の功徳になるのかとは思いました。
(けれどもわたくしはわたくしのいきているかぎり、)
けれども私は私の生きている限り、
(けいのはかのまえにひざまずいてつきづきわたくしのこうかいをあらたにしたかったのです。)
Kの墓の前に跪まずいて月々私の後悔を新たにしたかったのです。
(いままでかまいつけなかったけいを、)
今まで構い付けなかったKを、
(わたくしがばんじせわをしてきたというぎりもあったのでしょう、)
私が万事世話をして来たという義理もあったのでしょう、
(けいのちちもあにもわたくしのいうことをきいてくれました。)
Kの父も兄も私の云う事を聞いてくれました。