夏目漱石「こころ」3-106

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投稿者投稿者たけしいいね0お気に入り登録
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夏目漱石「こころ」3-106
下)先生と遺書
夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。

オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
11:罪滅し(つみほろぼし)
11:名づけなければ(なづけなければ)
35:気遣(きづかい)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 6051 A++ 6.2 96.8% 296.3 1853 60 38 2024/09/11
2 りつ 4311 C+ 4.5 94.7% 418.0 1908 106 38 2024/09/11

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問題文

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(ごじゅうよん)

五十四

(「そのうちさいのははがびょうきになりました。)

「その内妻の母が病気になりました。

(いしゃにみせるととうていなおらないというしんだんでした。)

医者に見せると到底癒らないという診断でした。

(わたくしはちからのおよぶかぎりこんせつにかんごしてやりました。)

私は力の及ぶかぎり懇切に看護してやりました。

(これはびょうにんじしんのためでもありますし、またあいするさいのためでもありましたが、)

これは病人自身の為でもありますし、又愛する妻の為でもありましたが、

(もっとおおきないみからいうと、ついににんげんのためでした。)

もっと大きな意味からいうと、ついに人間の為でした。

(わたくしはそれまでにもなにかしたくってたまらなかったのだけれども、)

私はそれまでにも何かしたくって堪らなかったのだけれども、

(なにもすることができないのでやむをえずふところでをしていたにちがいありません。)

何もする事が出来ないので已を得ず懐手をしていたに違ありません。

(せけんときりはなされたわたくしが、はじめてじぶんからてをだして、)

世間と切り離された私が、始めて自分から手を出して、

(いくぶんでもよいことをしたというじかくをえたのはこのときでした。)

幾分でも善い事をしたという自覚を得たのはこの時でした。

(わたくしはつみほろぼしとでもなづけなければならない、)

私は罪滅しとでも名づけなければならない、

(いっしゅのきぶんにしはいされていたのです。)

一種の気分に支配されていたのです。

(はははしにました。)

母は死にました。

(わたくしとさいはたったふたりぎりになりました。)

私と妻はたった二人ぎりになりました。

(さいはわたくしにむかって、)

妻は私に向って、

(これからよのなかでたよりにするものはひとりしかなくなったといいました。)

これから世の中で頼りにするものは一人しかなくなったと云いました。

(じぶんじしんさえたよりにすることのできないわたくしは、さいのかおをみておもわずなみだぐみました。)

自分自身さえ頼りにする事の出来ない私は、妻の顔を見て思わず涙ぐみました。

(そうしてさいをふこうなおんなだとおもいました。)

そうして妻を不幸な女だと思いました。

(またふこうなおんなだとくちへだしてもいいました。)

又不幸な女だと口へ出しても云いました。

(さいはなぜだとききます。)

妻は何故だと聞きます。

など

(さいにはわたくしのいみがわからないのです。)

妻には私の意味が解らないのです。

(わたくしもそれをせつめいしてやることができないのです。)

私もそれを説明してやる事が出来ないのです。

(さいはなきました。)

妻は泣きました。

(わたくしがふだんからひねくれたかんがえでかのじょをかんさつしているために、)

私が普段からひねくれた考で彼女を観察しているために、

(そんなこともいうようになるのだとうらみました。)

そんな事も云うようになるのだと恨みました。

(ははのなくなったあと、わたくしはできるだけさいをしんせつにとりあつかってやりました。)

母の亡くなった後、私は出来るだけ妻を親切に取り扱って遣りました。

(ただとうにんをあいしていたからばかりではありません。)

ただ当人を愛していたからばかりではありません。

(わたくしのしんせつにはこじんをはなれてもっとひろいはいけいがあったようです。)

私の親切には箇人を離れてもっと広い背景があったようです。

(ちょうどさいのははのかんごをしていたとおなじいみで、わたくしのこころはうごいたらしいのです。)

丁度妻の母の看護をしていたと同じ意味で、私の心は動いたらしいのです。

(さいはまんぞくらしくみえました。)

妻は満足らしく見えました。

(けれどもそのまんぞくのうちには、)

けれどもその満足のうちには、

(わたくしをりかいしえないためにおこるぼんやりしたきはくなてんが)

私を理解し得ないために起るぼんやりした稀薄な点が

(どこかにふくまれているようでした。)

何処かに含まれているようでした。

(しかしさいがわたくしをりかいしえたところで、)

然し妻が私を理解し得たところで、

(このものたりなさはますともへるきづかいはなかったのです。)

この物足りなさは増すとも減る気遣はなかったのです。

(おんなにはおおきなじんどうのたちばからくるあいじょうよりも、)

女には大きな人道の立場から来る愛情よりも、

(たしょうぎりをはずれてもじぶんだけにしゅうちゅうされるしんせつをうれしがるせいしつが、)

多少義理をはずれても自分だけに集注される親切を嬉しがる性質が、

(おとこよりもつよいようにおもわれますから。)

男よりも強いように思われますから。

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