台風でもくりゃいい / 稲葉浩志

(しゃんぺんをのんでさわいではいてきもちわるいからねむれない)

シャンペンを飲んで 騒いで吐いて 気持ち悪いから眠れない

(ねむれないからまちをあるいてみたねむくなるまであるきつづけた)

眠れないから 街を歩いてみた 眠くなるまで 歩きつづけた

(じどうはんばいきをこわしてにげたすいたいやつはいつもおいてない)

自動販売機を こわして逃げた 吸いたいやつは いつも 置いてない

(だれかがぼくをゆびさしわらったうつむいてぼくははしりさった)

だれかが僕を 指さし笑った うつむいて僕は 走りさった

(さうなでしはいにんにていねいにおいだされうちにかえればいおりがいない)

サウナで支配人に 丁寧に追いだされ 家に帰れば イオリがいない

(しろいふぇらーりにおもいきりおかまほられた)

白いフェラーリに おもいきり オカマほられた

(ちゃらちゃらしたやつにほられちゃった)

ちゃらちゃらしたやつに ほられちゃった

(かなしむひまなどないどれもこれもがささいで)

悲しむひまなどない どれもこれもがささいで

(じょうだんばかりでまたきえてゆくよ)

冗談ばかりで また 消えてゆくよ

(たいふうでもくりゃいいでっかいのでもきてくれりゃ)

台風でもくりゃいい でっかいのでもきてくれりゃ

(かのじょにあいにでかけてみたい)

彼女に会いに出かけてみたい

(やなことぜんぶちょうけしにしたい)

やな事全部 帳消しにしたい

(なにかがくるとしゃべってるめだちたがりやのにゅーすきゃすたー)

「何かが来る」としゃべってる 目立ちたがりやのニュースキャスター

(あいをくださいただでください)

愛をください ただでください

(あまりものでいいきふしてくれ)

余りものでいい 寄付してくれ

(たいふうでもくりゃいいでっかいのでもきてくれりゃ)

台風でもくりゃいい でっかいのでもきてくれりゃ

(もうちょっとはしあわせになれるでしょうか)

もうちょっとは幸せになれるでしょうか

(なくなさわぐなひくつにゃなるな)

泣くな騒ぐな 卑屈にゃなるな

(そしてぼくのまぐまはあつくなるよ)

そして僕のマグマは 熱くなるよ

(じかんはあまってないばいてんでいっちゃうよ)

時間は余ってない 倍テンでいっちゃうよ

(すべてはただすぎさってゆくよ)

すべてはただ 過ぎ去ってゆくよ

(ちりのようにふきとんでｇｏｎｅ)

塵のように吹き飛んで GONE...