やばい恋　/ 中島みゆき

(とじかけたどあからとりがとびこんだわ)

閉じかけたドアから　鳥が飛び込んだわ

(よるのえれべーたーはわたしひとりだった)

夜のエレベーターは　私一人だった

(ないふだとおもったわありうるわこのこい)

ナイフだと思ったわ　ありうるわ　この恋

(ほおをかすめてとんだちいさなかげ)

頬をかすめて飛んだ　小さな影

(ひじょうべるがなりつづけているこころのなかではじめから)

非常ベルが鳴り続けている　心の中で　はじめから

(いまさらどこでどんなひとさがせばいいの)

いまさら　どこで　どんな人　探せばいいの

(となりにいてといいたかったわたしをみてといいたかった)

隣にいてと　言いたかった　　私を見てと　言いたかった

(めめしいことをおさえきれずくちにだしたらおわりね)

女々しい　ことを　抑えきれず　口に出したら　終りね

(さめたようなおんなしかすきになんかならない)

冷めたような女しか　好きになんかならない

(あのひとにまじになってゆくやばいこい)

あの人にマジになってゆく　やばい恋

(こわければふれるのねつぎのふろあぼたん)

恐ければ触れるのね　次のフロアボタン

(あのひとはわたしからおりるのをまってる)

あの人は　私から降りるのを　待ってる

(さよならというふだをさいごまでださずに)

サヨナラという札を最後まで　出さずに

(なんとなくおわるのをねらっている)

なんとなく終わるのを　狙っている

(ひかりながらのぼってゆくがらすのえれべーたーのそとで)

光りながら　登ってゆく　ガラスのエレベーターの外で

(まちあかりとおざかるあのひとににてるわ)

街灯り　遠ざかる　あの人に似てるわ

(ふられるまえにふりたかったとられるまえにすてたかった)

ふられる　前に　ふりたかった　盗られる　前に　捨てたかった

(いつまでなんてといつめたらそのひかぎりでおわりね)

いつまで　なんて　問い詰めたら　その日限りで　終りね

(たのみこんでいてもらうおとこなんていらない)

頼み込んでいてもらう　男なんていらない

(そんなふうにいえなくってなくやばいこい)

そんな風に　言えなくって　泣く　やばい恋

(ふられるまえにふりたかったとられるまえにすてたかった)

ふられる　前に　ふりたかった　盗られる　前に　捨てたかった

(いつまでなんてといつめたらそのひかぎりでおわりね)

いつまで　なんて　問い詰めたら　その日限りで　終りね

(さめたようなおんなしかすきになんかならない)

冷めたような女しか　好きになんかならない

(あのひとにまじになってゆくやばいこい)

あの人に　マジになってゆく　　やばい恋