洒落怖《ねねちゃん》
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問題文
(しょうがくせいのころ、やけにこわいはなしをかたるこがどうきゅうせいにいませんでしたか?)
小学生の頃、やけに怖い話を語る子が同級生にいませんでしたか?
(これからかたらせていただくのはそんなおんなのこのはなし。)
これから語らせていただくのはそんな女の子の話。
(わたしのどうきゅうせいだったねねちゃんがかたったはなしです。)
私の同級生だったねねちゃんが語った話です。
(もう10ねんもまえのはなしなのでいたらぬところもありますがごようしゃを。)
もう10年も前の話なので至らぬところもありますがご容赦を。
(それではおききください。「ねねちゃん」)
それではお聞きください。「ねねちゃん」
(しょうがっこう5ねんせい。おさなごたちがさまざまなことにきょうみをもつたかんなじきです。)
小学校5年生。幼子達が様々な事に興味を持つ多感な時期です。
(このころにんきをはくしていたのはまさしく「こわいはなし」でした。)
この頃人気を博していたのはまさしく「怖い話」でした。
(みなであつまってじゅんぐり、もしくはきょしゅせいでこわいはなしをかたっていました。)
皆で集まって順繰り、もしくは挙手性で怖い話を語っていました。
(わたしはそういうはなしがすきではなく、むしろにがてでまわりにあわせてしかたなく)
私はそういう話が好きではなく、むしろ苦手で周りに合わせて仕方なく
(おびえながらはなしをきいていたのですが、どうしてもじぶんのばんがまわってきます。)
怯えながら話を聞いていたのですが、どうしても自分の番が回ってきます。
(そこでことばがつまり、どうしようかとなやんでいるときに)
そこで言葉が詰まり、どうしようかと悩んでいる時に
(たすけてくれたのがねねちゃんでした。)
助けてくれたのがねねちゃんでした。
(わたしはねねちゃんのことをあまりしりませんでした。)
私はねねちゃんの事をあまり知りませんでした。
(このときになるまでいんしょうなんてなかったほどです。)
この時になるまで印象なんて無かった程です。
(かのじょのこわいはなしはいっきゅうひんでした。)
彼女の怖い話は一級品でした。
(まるでほんとうにあったかのようにかたり、きまっておちはいわずにほほえみます。)
まるで本当にあったかのように語り、決まってオチは言わずに微笑みます。
(それがまた、みなのこうきしんときょうふしんをかきたてたのでしょう。)
それがまた、皆の好奇心と恐怖心を掻き立てたのでしょう。
(こわいはなしをいいあうあそびはいつのまにか)
怖い話を言い合う遊びはいつの間にか
(ねねちゃんのこわいはなしをきくあそびにかわっていました。)
ねねちゃんの怖い話を聞く遊びに変わっていました。
(えらくひえこんだあのひのほうかごもねねちゃんのはなしをきいていました。)
えらく冷え込んだあの日の放課後もねねちゃんの話を聞いていました。
(ねねちゃんのなまえはだれもしりません。)
ねねちゃんの名前は誰も知りません。
(かならずはなしはじめるときにねぇねぇ、というのでねねちゃんでした。)
必ず話始める時にねぇねぇ、と言うのでねねちゃんでした。
(「ねぇねぇ、しってる?まちはずれのあおやねのいえあるでしょ?)
「ねぇねぇ、知ってる?町外れの青屋根の家あるでしょ?
(あのいえでどんなこわいことがあったか。しってる?」)
あの家でどんな怖い事があったか。知ってる?」
(あおやねのいえ。ぶっしんついたときにははいおくになっていて、)
青屋根の家。物心ついた時には廃屋になっていて、
(こどもたちのなかではゆうめいなばしょでした。)
子供たちの中では有名な場所でした。
(みなそれぞれ、あのいえについてかってにこわいはなしをつくってはなすからです。)
皆それぞれ、あの家について勝手に怖い話を作って話すからです。
(しってるか、ととわれたわたしたちはくちぐちにいいます。)
知ってるか、と問われた私達は口々に言います。
(さつじんきのすんでいたいえとか、じゅぶつまみれのいえだとか。)
殺人鬼の住んでいた家とか、呪物まみれの家だとか。
(「ううん。ぜんぶちがうよ。きょうはね、あのいえのはなしだよ。」)
「ううん。全部違うよ。今日はね、あの家の話だよ。」
(このとしごろのこどもはひていされるとすくなからずいらだつものですが、)
この年頃の子供は否定されると少なからず苛立つものですが、
(そんなこともなく、みなねねちゃんのはなしにききいっていました。)
そんな事もなく、皆ねねちゃんの話に聞き入っていました。
(ねねちゃんはまた、ほんをよみきかせるようにかたりはじめました。)
ねねちゃんはまた、本を読み聞かせるように語り始めました。
(「むかしむかし、あおやねのいえにはやさしいおかあさんとおとうさん、)
「むかしむかし、青屋根の家には優しいお母さんとお父さん、
(それとちょっとわがままだけれどとてもかわいいおんなのこがすんでいました。)
それとちょっとわがままだけれどとても可愛い女の子が住んでいました。
(さんにんはまいにちえがおでしあわせそうにいきていました。)
三人は毎日笑顔で幸せそうに生きていました。
(あるくりすますいぶ、おんなのこがおとうさんにねだります。)
あるクリスマスイブ、女の子がお父さんにねだります。
(「わたし、さんたさんがほしいな。)
「私、サンタさんが欲しいな。
(さんたさんがいれば、いつでもなんでももらえるね。」)
サンタさんがいれば、いつでもなんでも貰えるね。」
(おとうさんはいいました。)
お父さんは言いました。
(「さんたさんはいそがしいからきみのものにはなれないよ、ほかにはなにがほしいかい?」)
「サンタさんは忙しいから君の物にはなれないよ、他には何が欲しいかい?」
(おんなのこはわがままをいいました。)
女の子はわがままを言いました。
(「じゃあぱぱがさんたさんになってよ」おとうさんはことわりました。)
「じゃあパパがサンタさんになってよ」お父さんは断りました。
(おんなのこは「おかあさんにたのんでみよう。」といいました。)
女の子は「お母さんに頼んでみよう。」と言いました。
(つぎのひ、おとうさんがりびんぐでみたのはくりすますつりーのあしもとでたおれる、)
次の日、お父さんがリビングで見たのはクリスマスツリーの足元で倒れる、
(まっかにそまったおかあさんのなきがらでした。)
真っ赤に染まったお母さんの亡骸でした。
(おんなのこはいいました。)
女の子は言いました。
(「さんたさんはおとこのひとだから、おかあさんはさんたさんになれなかったよ。)
「サンタさんは男の人だから、お母さんはサンタさんになれなかったよ。
(おとうさん、さんたさんになってよ」それからさんにんをみたひとはいません。)
お父さん、サンタさんになってよ」それから三人を見た人はいません。
(おんなのこはいまも、あのいえでさんたさんをまっています。おしまい。」)
女の子は今も、あの家でサンタさんを待っています。おしまい。」
(はなしがおわっても、だれもなにもいいませんでした。)
話が終わっても、誰も何も言いませんでした。
(いつもねねちゃんがかたるはなしはしんれいけいのはなしです。)
いつもねねちゃんが語る話は心霊系の話です。
(きょうかたったのはきくもむざんなさつじんじけん、みなおそろしくて、)
今日語ったのは聞くも無惨な殺人事件、皆恐ろしくて、
(わからなくてこわかったのです。ねねちゃんはききました。)
分からなくて怖かったのです。ねねちゃんは聞きました。
(「ねぇねぇ、こわかった?」いつもこうききます。)
「ねぇねぇ、怖かった?」いつもこう聞きます。
(くらすのまとめやくのaととりまきのbはいばってこわくない、)
クラスのまとめ役のAと取り巻きのBは威張って怖くない、
(なんていっていましたがあしがふるえているのがみえました。)
なんて言っていましたが足が震えているのが見えました。
(「じゃあ、こわくなかったひとはあおやねまえでしゅうごうね。」)
「じゃあ、怖くなかった人は青屋根前で集合ね。」
(そういってねねちゃんはかえっていってしまいました。)
そう言ってねねちゃんは帰って行ってしまいました。
(あおやねのいえのまえにいってみると、いたのはせいふくのままのa、)
青屋根の家の前に行ってみると、いたのは制服のままのA、
(せんすのわるいふくをきたb、ぱじゃまのわたし、あかいふくのねねちゃんよんにんだけでした。)
センスの悪い服を着たB、パジャマの私、赤い服のねねちゃん四人だけでした。
(「じゃあ、はいろうか」)
「じゃあ、入ろうか」
(にこにことしながらそういうねねちゃんをみて、ぼくはじゃっかんあんしんして、)
ニコニコとしながらそう言うねねちゃんを見て、僕は若干安心して、
(かのじょがあけたどあにつづきました。)
彼女が開けたドアに続きました。
(ねねちゃんはみしったまどりかのようにせつめいしながらたんけんしました。)
ねねちゃんは見知った間取りかのように説明しながら探検しました。
(ここはといれ、こっちはしんしつ、こっちはよくしつ。)
ここはトイレ、こっちは寝室、こっちは浴室。
(わたしのかんそうとしては、すこしふるびただけのただのいえだなぁ、といったところです。)
私の感想としては、少し古びただけのただの家だなぁ、と言ったところです。
(aとbはおそろしくてひとこともたせなかったようです。)
AとBは恐ろしくて一言も発せなかったようです。
(そしてたどりついたのが「ここがあのばしょだよ。」)
そして辿り着いたのが「ここがあの場所だよ。」
(そこには、まっかにそまったさんにんのしたいがありました。)
そこには、真っ赤に染まった三人の死体がありました。
(きづけばいきをきらしてはしりだし、げんかんまえまでにげました。)
気付けば息を切らして走り出し、玄関前まで逃げました。
(aとbもつづいてでていきました。)
AとBも続いて出て行きました。
(ねねちゃんはげんかんからでずにためいきをつき、すこしざんねんそうにてをふりました。)
ねねちゃんは玄関から出ずに溜息をつき、少し残念そうに手を振りました。
(ふとあのしたいをおもいだします。)
ふとあの死体を思い出します。
(みっつのしたいのうち、ふたつははっこつかしていましたが、)
三つの死体のうち、二つは白骨化していましたが、
(もうひとつはどうもさきほどまでいきていたかのようにみせました。)
もう一つはどうも先程まで生きていたかのように見せました。
(きのせいか、ちもまだでていたようにみえていました。)
気のせいか、血もまだ出ていたように見えていました。
(こわかったので、かんがえるのをやめました。)
怖かったので、考えるのをやめました。
(つぎのひからねねちゃんをみなくなりました。)
次の日からねねちゃんを見なくなりました。
(せんせいにきいても、そんなせいと、いたっけなぁ、というばかり。)
先生に訊いても、そんな生徒、いたっけなぁ、と言うばかり。
(あのひみたしたいにかんしてはすぐにつうほうしてあおやねのいえはとりこわされました。)
あの日見た死体に関してはすぐに通報して青屋根の家は取り壊されました。
(せんじつ、ひさしぶりにどうそうかいをしたときに、なんとねねちゃんがいたのです。)
先日、久しぶりに同窓会をした時に、なんとねねちゃんがいたのです。
(おそろしくてにげてしまいました。)
恐ろしくて逃げてしまいました。
(それは、こわいおもいをしたからというのもありますが、それいじょうに。)
それは、怖い思いをしたからというのもありますが、それ以上に。
(あのころからすこしもかわっていないすがたなのでした。)
あの頃から少しも変わっていない姿なのでした。
(いまわたしはいえからでていません。)
今私は家から出ていません。
(とびらのまえをのぞくとねねちゃんがたっているのです。)
扉の前を覗くとねねちゃんが立っているのです。
(みなさん、こわいはなしをよくしっているゆうじんにはきをつけて。)
皆さん、怖い話をよく知っている友人には気を付けて。
(そのそんざいじたいがこわいはなしなのかもしれないのですから。)
その存在自体が怖い話なのかもしれないのですから。