サンクコスト

(そうきりはなすのはいっしゅん)

そう切り離すのは一瞬

(それでもきたいしてしまう)

それでも期待してしまう

(いつまでもひきずってしまう)

いつまでも引き摺ってしまう

(そのしんけいどくのあまさからはなれられない)

その神経毒の甘さから離れられない

(きるべきはあかかあおか)

切るべきは赤か青か？

(それともあしたにおしつけるのか)

それとも明日に押し付けるのか？

(いまだおもいとうなだれてうめくそれは)

未だ想いと項垂れて呻くそれは

(おもいでかただのかせか)

思い出かただの枷か

(くるっているっていう)

狂っているって言う

(あんたもひとのこといえないでしょう)

アンタも人のこと言えないでしょう？

(だれかにあたれとむけたじゅうこう)

誰かに当たれと向けた銃口

(いっしゅうまわってのうてんつらぬいてんだ)

一周回って脳天貫いてんだ

(はっはっはこりゃけっさく)

はっはっは　こりゃ傑作

(それもこんせいきさいだいの)

それも今世紀最大の

(みずからしかけたわなにはまったことすら)

自ら仕掛けた罠に嵌ったことすら

(だれかのせいにした)

誰かのせいにした

(へいべいべー)

へいべいべー

(らいやいや)

らいやいや

(あなたほんとううそつきなのね)

あなた本当嘘つきなのね

(かんけいないことばといっしょににこみこんだ)

関係ない言葉と一緒に煮込みこんだ

(うらみぶしのはいてんぽ)

恨み節のハイテンポ

(らいやいや)

らいやいや

(そしてひげきをきどってたのね)

そして悲劇を気取ってたのね

(まさにみっかめのよるにつられたむらびと)

まさに三日目の夜に吊られた村人

(ひきとめるさんくこすと)

引き留めるサンクコスト

(へいべいべー)

へいべいべー

(らいやいや)

らいやいや

(ひがいしゃのつらはとらないのね)

被害者の面は取らないのね

(きったきずをがくぶちにいれてたなにあげた)

切った傷を額縁に入れて棚に上げた

(むじかくのまりおねっと)

無自覚のマリオネット

(らいやいや)

らいやいや

(そしてあしたにはわすれるのね)

そして明日には忘れるのね

(まさにゆうしゃをきどったすけーぷごーと)

まさに勇者を気取ったスケープゴート

(しばりつけるさんくこすと)

縛り付けるサンクコスト

(そうわすれるのはいっしゅん)

そう忘れるのは一瞬

(それでもよるがくびをしめてくる)

それでも夜が首を絞めてくる

(あさひにこがされていくむねのいたみも)

朝日に焦がされていく胸の痛みも

(おもいだすのはさいごもなんかいめ)

「思い出すのは最後」も何回目？

(きりとられたのはあくか)

切り取られたのは悪か？

(さいごにわらうものがさいじょうか)

最後に嗤うものが最上か？

(いしをなげることのいみなんてわかってない)

石を投げることの意味なんてわかってない

(たいはんはかんじょうろんでしょ)

大半は感情論でしょ？

(くちだけなのだからしんじない)

「口だけなのだから信じない」

(どうせいなくなるならきたいしない)

「どうせいなくなるなら期待しない」

(しんでいないのならばかすりきず)

「死んでいないのならばかすり傷」

(ってそれほんきでおもってんの)

ってそれ、本気で思ってんの？

(かんがえるだけむだ)

「考えるだけ無駄」

(かんがえるだけむだ)

「考えるだけ無駄」

(かんがえるだけむだ)

「考えるだけ無駄」

(せんぼんのはりをのむくちやくそくに)

千本の針を呑む口約束に

(のまれるのはこっけいか)

吞まれるのは滑稽か？

(へいべいべー)

へいべいべー

(らいやいや)

らいやいや

(あなたほんとうすくえないのね)

あなた本当救えないのね

(なんにもしらないくせにくちはまわってる)

何にも知らない癖に口は回ってる

(つぎはぎだらけのぱぺっと)

継ぎ接ぎだらけのパペット

(らいやいや)

らいやいや

(それでもじぶんをせめないのね)

それでも自分を責めないのね

(まだゆめにみるどくにおぼれはくつみびと)

まだ夢に見る毒に溺れ吐く罪人

(いたみどめにさんくこすと)

痛み止めにサンクコスト

(へいべいべー)

へいべいべー

(らいやいや)

らいやいや

(けっきょくなんもわかってないのね)

結局なんもわかってないのね

(すてたひびをふみつけにして)

捨てた日々を踏みつけにして

(いただきにのぼるのはあんとわねっと)

頂に上るのはアントワネット

(らいやいや)

らいやいや

(そしてさいごはわらってるのね)

そして最後は笑ってるのね

(まさにしゅうえんをてにいれたじゅりえっと)

まさに終焉を手に入れたジュリエット

(のみこむのはさんくこすと)

飲み込むのはサンクコスト

(へいべいべー)

へいべいべー

(らいやいや)

らいやいや

(あなたほんとううそつきなのね)

あなた本当嘘つきなのね

(かんちがいにしおとこしょうかけてととのえた)

勘違いに塩と胡椒かけて整えた

(ぶゆうでんすらふぃくしょん)

武勇伝すらフィクション

(らいやいや)

らいやいや

(そしてきげきをきどってたのね)

そして喜劇を気取ってたのね

(ひきがねにゆびをかけたせつなのしょうどう)

引き金に指を掛けた刹那の衝動

(よぎったのはさんくこすと)

過ぎったのはサンクコスト

(へいべいべー)

へいべいべー

(らいやいや)

らいやいや

(かがいしゃのつらはとれないのね)

加害者の面は取れないのね

(しみついてとれもせずかくせもしない)

染みついて取れもせず隠せもしない

(ゆびさきにざいあくかんのくろ)

指先に罪悪感の黒

(らいやいや)

らいやいや

(そしてあしたにはわすれるのね)

そして明日には忘れるのね

(すくいをもとめのぞきこむかがみにえがお)

救いを求め覗き込む鏡に笑顔

(おもいだすはさんくこすと)

思い出すはサンクコスト