花降らし

(はなびらがちゅうにういたまったひとあしのさんだる)

花びらが宙に浮いた　舞った一足のサンダル

(からだごとちゅうにういてとんでしまえたらわたしは)

身体ごと宙に浮いて　飛んでしまえたら私は

(はらはらはらひとりでおどってるだけただそれだけだ)

はらはらはら　一人で踊ってるだけ　ただそれだけだ

(はるさきのくうきがすんでいたから、あかいさんだるをはいて)

春先の空気が澄んでいたから、赤いサンダルを履いて

(でかけたさきのあのなみきことはあなたからきいていたさくらがならぶらしい)

出かけた先のあの並木ことはあなたから聞いていた　桜が並ぶらしい

(かおをふせるようにあるくひとがおおいからいやになって)

顔を伏せるように歩く人が多いから嫌になって

(そしたらとんでいたさくらがせつにゆかいにみえたから)

そしたら飛んでいた桜が切に愉快に見えたから

(このみちでおどってやろうとおもった)

この道で踊ってやろうと思った

(たったらた、らったったあしをはこぶ)

タッタラタ、ラッタッタ　足を運ぶ

(たったらた、らったったおとをならす)

タッタラタ、ラッタッタ　音を鳴らす

(たったらた、らったったはるをおどるのさ、さくらのしたで)

タッタラタ、ラッタッタ　春を踊るのさ、桜の下で

(はなびらがちゅうにういたまったひとあしのさんだる)

花びらが宙に浮いた　舞った一足のサンダル

(からだごとちゅうにういてとんでしまえたらわたしは)

身体ごと宙に浮いて　飛んでしまえたら私は

(はらはらはらひとりでおどってるだけただそれだけだ)

はらはらはら　一人で踊ってるだけ　ただそれだけだ

(なみきをぬけるほどあるくひとのさめたしせんもきにならなくなる)

並木を抜けるほど歩く人の　冷めた視線も気にならなくなる

(あしがもつれても、かみがほどけてもなにかたのしかった)

足がもつれても、髪が解けても何か楽しかった

(せをまげていきてるわたしじゃないみたいだ)

背を曲げて生きてる私じゃないみたいだ

(はなびらのおちかたにだってあなたとのおもいでがあふれる)

花びらの落ち方にだって　あなたとの思い出が溢れる

(うるさいくらいにわたしをおおうそれを、あなたにおしえないと)

うるさいくらいに私を覆うそれを、あなたに教えないと

(あなたのそうしきをみたなんてことのないあいろにー)

あなたの葬式を見た　なんてことのないアイロニー

(かたちだけなにかのべてとおりすぎゆくあぁ、わたしは)

形だけ何か述べて通り過ぎ行く　あぁ、私は

(はらはらはらひとりうつむいてるだけ、ただそれだけだ)

はらはらはら　一人俯いてるだけ、ただそれだけだ

(はなびらがちゅうにういたまったひとあしのさんだる)

花びらが宙に浮いた　舞った一足のサンダル

(あなたごとちゅうにきえていってしまえたらわたしは)

貴方ごと宙に消えて　行ってしまえたら私は

(はらはらはらひとりでおどってるだけしきじつをせに)

はらはらはら　一人で踊ってるだけ　式日を背に

(ひとりうつむいてるだけただそれだけだ)

一人俯いてるだけ　ただそれだけだ