少年少女/加藤ミリヤ

(しょうじょがいたみしらぬまちに)

少女がいた　見知らぬ町に

(とてもみにくいかおをしたしょうじょだった)

とても醜い顔をした少女だった

(じぶんのかおをみるたびにないふできりさいてしまいたくなった)

自分の顔を見る度にナイフで切り裂いてしまいたくなった

(あのこ、みにくくてかわいそうだねえ)

「あのこ、醜くて可哀想だねえ」

(だれかがひそひそはやしたてる)

誰かがひそひそはやしたてる

(あのこ、しあわせにはなれんわぜったい)

「あの子、幸せにはなれんわ絶対」

(きこえたしょうじょはめをとじる)

聞こえた少女は瞳を閉じる

(しょうねんしょうじょはしっていけ)

少年少女　走って行け

(あせたらし、なみだながし、かがやく)

汗垂らし、涙ながし、輝く

(しょうねんしょうじょはしっていけ)

少年少女　走って行け

(こぶしにぎりしめかがやく)

拳握りしめ輝く

(ばとうされたしょうねんは)

罵倒された少年は

(ただむひょうじょうであたまをさげる)

ただ無表情であたまを下げる

(おまえなんかきえちまえ)

「お前なんか消えちまえ」

(かたいこぶしがつめたいほほをうつ)

固い拳が冷たい頬を打つ

(ちくしょう、おれはわるくない)

畜生、俺は悪くない

(せいぎがなにかもうわからない)

正義が何かもうわからない

(ちくしょう、わるいのはこのじだいにうまれたおれのうんだろう)

畜生、悪いのはこの時代に生まれた俺の運だろう

(しょうねんしょうじょはしっていけ)

少年少女　走って行け

(あせたらし、なみだながし、かがやく)

汗垂らし、涙ながし、輝く

(しょうねんしょうじょはしっていけ)

少年少女　走って行け

(こぶしにぎりしめかがやく)

拳握りしめ輝く

(かのじょはかんぺきそのものだった)

彼女は完璧そのものだった

(ほしいものはなんでもかえたし)

欲しいものは何でも買えたし

(あたまもよくてやさしくて)

頭も良くて優しくて

(うつくしいかのじょをみんながあこがれた)

美しい彼女をみんなが憧れた

(だけどかのじょはひとりぼっち)

だけど彼女はひとりぼっち

(だきしめてくれるひとはだれもいない)

抱きしめてくれる人は誰もいない

(いつもひとりつめたいべっどで)

いつもひとり冷たいベッドで

(ねむることをだれもしらない)

眠ることを誰も知らない

(しょうねんしょうじょはしっていけ)

少年少女　走って行け

(あせたらし、なみだながし、かがやく)

汗垂らし、涙ながし、輝く

(しょうねんしょうじょはしっていけ)

少年少女　走って行け

(こぶしにぎりしめかがやく)

拳握りしめ輝く