洒落怖《お菓子売りの婆さん》

背景
投稿者投稿者やゆいいね0お気に入り登録
プレイ回数7難易度(5.0) 4721打 長文

※このタイピングは、ランキング登録を受け付けていません。

関連タイピング

問題文

ふりがな非表示 ふりがな表示

(しょうがくせいのころ、つうがくろでいつもてづくりのおかしをうってるおばさんがいた。)

小学生の頃、通学路でいつも手作りのお菓子を売ってるおばさんがいた。

(いつもおなじぼろぼろのはんてんをきていて、かみはぼさぼさのながいしらが。)

いつも同じボロボロの半纏を着ていて、髪はボサボサの長い白髪。

(こどもたちはそのひとのことを「やまんば」とよび、)

子供達はその人の事を「山姥」と呼び、

(おやにもちかづかないようにいわれていたのでかかわらないようにしていた。)

親にも近づかないように言われていたので関わらないようにしていた。

(あるひ、やまんばがいつものようにあきちにれじゃーしーとをひろげて)

ある日、山姥がいつものように空き地にレジャーシートを広げて

(かしをうっていた。)

菓子を売っていた。

(いつもならするーするおれだが、そのひはからふるできれいなおかしがめにとまり、)

いつもならスルーする俺だが、その日はカラフルで綺麗なお菓子が目に留まり、

(ついついちかづいてしまった。)

ついつい近づいてしまった。

(やまんばはおれがちかよると、ひくいこえで「ゆっくりみていきなよ」といった。)

山姥は俺が近寄ると、低い声で「ゆっくり見ていきなよ」と言った。

(やまんばのふうぼうからうっているおかしもたいしたものじゃないだろうとおもっていたが、)

山姥の風貌から売っているお菓子も大したものじゃないだろうと思っていたが、

(おれはれじゃーしーとにならべられたおかしをみておどろいた。)

俺はレジャーシートに並べられたお菓子を見て驚いた。

(こうしもようのくっきーにふるーつがはいったぱうんどけーき、)

格子模様のクッキーにフルーツが入ったパウンドケーキ、

(からふるなめれんげかしなどがきれいにらっぴんぐされてならんでいた。)

カラフルなメレンゲ菓子などが綺麗にラッピングされて並んでいた。

(このきたないばあさんがこんなきれいなかしをつくっているのか?とあたまがこんらんした。)

この汚いばあさんがこんな綺麗な菓子を作っているのか?と頭が混乱した。

(やまんばはおかしにきょうみをもったおれに)

山姥はお菓子に興味を持った俺に

(「これは10えん、これは5えん・・・」というようにねだんのせつめいをしてくれた。)

「これは10円、これは5円・・・」というように値段の説明をしてくれた。

(そのいずれもやすく、おれでもかえるかかくだった。)

そのいずれも安く、俺でも買える価格だった。

(「じゃあ、これちょうだい」)

「じゃあ、これちょうだい」

(おれはなふだのうらにいれていた10えんだまでくっきーをかった。)

俺は名札の裏に入れていた10円玉でクッキーを買った。

(やまんばははのないくちをにっとひらいてわらった。)

山姥は歯のない口を二ッと開いて笑った。

など

(そして「ありがとうね、ありがとうね」といい、)

そして「ありがとうね、ありがとうね」と言い、

(おまけにびんにはいったこんぺいとうと、かっぷけーきのようなものをくれた。)

おまけに瓶に入った金平糖と、カップケーキのようなものをくれた。

(きたくご、おれはおやにさとられないようにひとりでこっそりかったくっきーをたべた。)

帰宅後、俺は親に悟られないように一人でこっそり買ったクッキーを食べた。

(くっきーはまずくないけどりぴがいするほどうまくもない、ふつうのあじだった。)

クッキーはマズくないけどリピ買いするほど美味くもない、普通の味だった。

(かっぷけーきはたべようとらっぷをはずしたらかびがはえていたのですてた。)

カップケーキは食べようとラップを外したらカビが生えていたので捨てた。

(できこころでよってみたけど、もうやまんばのおかしをかうことはないな、とおもった。)

出来心で寄ってみたけど、もう山姥のお菓子を買う事はないな、と思った。

(よくじつのがっこうがえりもやまんばはおなじばしょにいた。)

翌日の学校帰りも山姥は同じ場所にいた。

(おれはやまんばのまえをとおるとき、なんとなくすどおりしずらかったため、)

俺は山姥の前を通る時、何となく素通りしずらかった為、

(「きのうかったくっきーおいしかったよ」とこえをかけた。)

「昨日買ったクッキー美味しかったよ」と声を掛けた。

(やまんばはおれがおかしをかったこどもだとわかると)

山姥は俺がお菓子を買った子供だと分かると

(「きのうはありがとうね、きょうはこれをあげるよ。おかねはいらないからね」)

「昨日はありがとうね、今日はこれをあげるよ。お金はいらないからね」

(といってちゃいろいかみぶくろをわたしてきた。)

と言って茶色い紙袋を渡してきた。

(なんとなくきがひけてことわったがおしつけられてしまい、けっきょくもちかえった。)

何となく気が引けて断ったが押し付けられてしまい、結局持ち帰った。

(かみぶくろのなかにはくっきー5まいとらっぷにつつまれたかすてら、)

紙袋の中にはクッキー5枚とラップに包まれたカステラ、

(まふぃんのようなやきがし、それとてがみがはいっていた。)

マフィンのような焼き菓子、それと手紙が入っていた。

(てがみはたっぴつすぎてよむのにくろうしたが、ぜんぶかたかなで)

手紙は達筆すぎて読むのに苦労したが、全部カタカナで

(「まるまるさん、おかしをかってくれてありがとうございました。)

「○○サン、オカシヲカッテクレテアリガトウゴザイマシタ。

(あなたのおかげでばつばつがすくわれることでしょう。)

アナタノオカゲデ××ガスクワレルコトデショウ。

(おめでたいことです。ありがとう」)

オメデタイコトデス。アリガトウ」

(とかかれていた。)

と書かれていた。

(なぜおれのなまえがわかったのかとぞっとしたが、おそらくなふだをみたのだろう。)

何故俺の名前が分かったのかとゾッとしたが、恐らく名札を見たのだろう。

(そしてばつばつのぶぶんはなんどよんでもなんとかいてあるのかわからなかった。)

そして××の部分は何度読んでもなんと書いてあるのか分からなかった。

(それからおれはやまんばにあうのがこわくなり、)

それから俺は山姥に会うのが怖くなり、

(わざととおまわりをしてやまんばのいるあきちのまえをとおらないようにした。)

わざと遠回りをして山姥のいる空き地の前を通らないようにした。

(あのひもらったおかしはけっきょくてをつけていない、たべるきがおこらなかったのだ。)

あの日貰ったお菓子は結局手を付けていない、食べる気が起こらなかったのだ。

(あるひ、きたくするとははおやに「ねぇ、これなに?」となにかをつきだされた。)

ある日、帰宅すると母親に「ねぇ、これ何?」と何かを突き出された。

(それはしろいかみにふでぺんでかかれたてがみだったのだが、)

それは白い紙に筆ペンで書かれた手紙だったのだが、

(「まるまるさん、またいつでもきてください。ばつばつはずっとずっとまっていますよ。)

「○○サン、マタイツデモキテクダサイ。××ハズットズットマッテイマスヨ。

(すくいはまだおわっておりません。かならずやまたきてください」)

スクイハマダオワッテオリマセン。カナラズヤマタキテクダサイ」

(とかかれていた。やまんばにもらったてがみとおなじひっせきだった。)

と書かれていた。山姥に貰った手紙と同じ筆跡だった。

(ははいわく、いえのぽすとにつっこんであったのだという。)

母曰く、家のポストに突っ込んであったのだと言う。

(やまんばにいえがばれている。)

山姥に家がバレている。

(おれはこわくなってそのばでおおなきし、ははにすべてうちあけた。)

俺は怖くなってその場で大泣きし、母に全て打ち明けた。

(はははいかりはしなかったがあきれたようなかおをして、)

母は怒りはしなかったが呆れたような顔をして、

(「なんでよりによってあんなところでかいものするのよ」とあたまをかかえていた。)

「何でよりによってあんな所で買い物するのよ」と頭を抱えていた。

(けっきょく、ははががっこうかけいさつになにかいってくれたようで、)

結局、母が学校か警察に何か言ってくれたようで、

(そのあとてがみがくることはなくやまんばもみせをださなくなった。)

その後手紙が来ることはなく山姥も店を出さなくなった。

(がっこうではきんきゅうしゅうかいがひらかれ、)

学校では緊急集会が開かれ、

(あやしいひとからものをかうのはやめるようにときつくいわれた。)

怪しい人から物を買うのはやめるようにときつく言われた。

(それからいちねんご。)

それから一年後。

(おれはやまんばがいたこともそんなじけんがあったこともわすれてたのしいまいにちをすごしていた。)

俺は山姥がいた事もそんな事件があった事も忘れて楽しい毎日を過ごしていた。

(しかしあるひ、あきちのまえをとおったときにきゅうにやまんばのことをおもいだした。)

しかしある日、空き地の前を通った時に急に山姥の事を思い出した。

((けっきょくあのひとはなんだったんだろう。)

(結局あの人はなんだったんだろう。

(ただあたまがおかしくなっただけのおばあさんだったのかな))

ただ頭がおかしくなっただけのおばあさんだったのかな)

(あのてがみがきょうれつすぎてわるものあつかいしてしまったが、よくよくかんがえてみたら)

あの手紙が強烈すぎて悪者扱いしてしまったが、よくよく考えてみたら

(ただおかしづくりがすきでさびしがりやのろうじんだったのかもしれない。)

ただお菓子作りが好きで寂しがり屋の老人だったのかもしれない。

(そうおもうとなんだかかわいそうなきがした。)

そう思うと何だか可哀想な気がした。

(ふとしせんをかんじてふりむくと、そこにやまんばがいた。)

ふと視線を感じて振り向くと、そこに山姥がいた。

(おどろいてしりもちをつくと、やまんばがゆっくりとあゆみよってきた。)

驚いて尻餅をつくと、山姥がゆっくりと歩み寄ってきた。

(そしてぐわっとかおをちかづけ、はのないくちをあいた、)

そしてぐわっと顔を近づけ、歯の無い口を開いた、

(「ばつばつはあんたのせいでしんだよ」)

「××はあんたのせいで死んだよ」

(おれはきをうしなったのだろうか、きがつくとあきちのまんなかでねていた。)

俺は気を失ったのだろうか、気が付くと空き地の真ん中で寝ていた。

(やまんばはもういなかった。)

山姥はもういなかった。

((やっぱりやばいばあさんだった、かわいそうだとおもったのがまちがいだった))

(やっぱりやばい婆さんだった、可哀想だと思ったのが間違いだった)

(おれはたちあがってかえろうとし、あることにきづいた。)

俺は立ち上がって帰ろうとし、ある事に気付いた。

(ずぼんのぽけっとにくしゃくしゃにまるめられたかみがはいっていた。)

ズボンのポケットにくしゃくしゃに丸められた紙が入っていた。

(ひらくとそこにはらんざつなもじで)

開くとそこには乱雑な文字で

(「まるまるさん、うらぎりもの。ゆるせない。)

「〇〇サン、ウラギリモノ。ユルセナイ。

(たいせつなたいせつなばつばつはぎせいになりにどともどらない。)

タイセツナタイセツナ××ハギセイニナリニドトモドラナイ。

(うらぎりものはゆるさない」とかかれていた。)

ウラギリモノハユルサナイ」と書かれていた。

(おれはそのかみをびりびりにやぶいてそのばにすててとうそうした。)

俺はその紙をビリビリに破いてその場に捨てて逃走した。

(やまんばがじたくでなくなっていたとしらされてたのはそのよくじつのことだった。)

山姥が自宅で亡くなっていたと知らされてたのはその翌日の事だった。

(どうもしごすうじつけいかしていたらしい。)

どうも死後数日経過していたらしい。

(たしかにやまんばのすがたをみたし、てがみまでもらったのに・・・)

確かに山姥の姿を見たし、手紙まで貰ったのに・・・

(あれはれいだったのだろうか。)

あれは霊だったのだろうか。

(これはすうねんたってからしったことだが、やまんばがいたいでみつかったとき、)

これは数年経ってから知った事だが、山姥が遺体で見つかった時、

(やまうばのいえにもうひとついたいがあったらしい。)

山姥の家にもうひとつ遺体があったらしい。

(それはちてきしょうがいをかかえてずっといえにゆうへいされていたやまんばのむすこだったそうだ。)

それは知的障害を抱えてずっと家に幽閉されていた山姥の息子だったそうだ。

(なまえはきいていないが、ばつばつというのはもしかしたら)

名前は聞いていないが、××というのはもしかしたら

(そのむすこのなまえだったのかもしれない、とおもった。)

その息子の名前だったのかもしれない、と思った。

(やまんばのいえはとりこわされ、いまはあたらしいいえがたっている。)

山姥の家は取り壊され、今は新しい家が建っている。

(あのあきちはいまもあきちのままである。)

あの空き地は今も空き地のままである。

問題文を全て表示 一部のみ表示 誤字・脱字等の報告

やゆのタイピング

オススメの新着タイピング

タイピング練習講座 ローマ字入力表 アプリケーションの使い方 よくある質問

人気ランキング

注目キーワード