先生 前編 -4-

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師匠シリーズ
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問題文

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(あたまがくらくらしたのと、びびったのとでもりのおくへいってみたいきもちは)

頭がくらくらしたのと、ビビッたのとで森の奥へ行ってみたい気持ちは

(ひっこみ、いちもくさんにしげちゃんたちのあとをおいかけた。)

引っ込み、一目散にシゲちゃんたちの後を追いかけた。

(それからみっかくらいぼくらはひたすらかわでおよぎまわっていた。)

それから三日くらい僕らはひたすら川で泳ぎ回っていた。

(とにかくあつかったからだ。かわはうみよりもからだがうかなくて、)

とにかく暑かったからだ。川は海よりも体が浮かなくて、

(しかもながれがあるのできしにあがったときにどっとつかれるかんじ。)

しかも流れがあるので岸に上がった時にドッと疲れる感じ。

(そのかわにはちいさなはしがかかっていて、そのうえからとびこむのが)

その川には小さな橋が架かっていて、その上から飛び込むのが

(ぼくたちこどものかっこうのどきょうだめしになっていた。)

僕たち子どもの格好の度胸試しになっていた。

(ぼくもおよぐのはとくいだったし、かわぞこもふかかったので)

僕も泳ぐのは得意だったし、川底も深かったので

(しばらくちゅうちょしたあとみごとにあたまからどぶーんとやってやった。)

しばらく躊躇したあと見事に頭からドブーンとやってやった。

(ぷしゅーっとみずをふきながらほかのみんなとおなじようにすいめんにかおをだすと、)

プシューッと水を吹きながら他のみんなと同じように水面に顔を出すと、

(はしのらんかんのうえにぷろれすらーよろしくしげちゃんがたっているのがみえた。)

橋の欄干の上にプロレスラーよろしくシゲちゃんが立っているのが見えた。

(「みてろ」といってしげちゃんはみんなのしせんをあつめながらちゅうをまった。)

「見てろ」と言ってシゲちゃんはみんなの視線を集めながら宙を舞った。

(かんせいとひかりと、みずにとけていくたいおん。たいようのなかにぼくらのなつがあった。)

歓声と光と、水に溶けていく体温。太陽の中に僕らの夏があった。

(そうしているうちに、やがてぼくがひとりであそばなくてはいけないひがやってきた。)

そうしているうちに、やがて僕が一人で遊ばなくてはいけない日がやってきた。

(しげちゃんたちろくねんせいがみんなにはくみっかでりんかんがっこうにいくのだ。)

シゲちゃんたち六年生がみんな二泊三日で林間学校に行くのだ。

(ぼくもつれていってほしかったが、がっこうぎょうじなのでどうしてもだめらしい。)

僕も連れて行って欲しかったが、学校行事なのでどうしても駄目らしい。

(りゅっくさっくをせおってあさはやくにいえをでるしげちゃんをみおくって、)

リュックサックを背負って朝早くに家を出るシゲちゃんを見送って、

(きょうからのみっかかんをどうしようかとかんがえた。)

今日からの三日間をどうしようかと考えた。

(いえはのうかだったのでおじさんとおばさんとじいちゃんはあさごはんをたべたあと)

家は農家だったのでおじさんとおばさんとじいちゃんは朝ごはんを食べたあと

(けいとらにのってしごとにいってしまう。ばあちゃんがごとごとといえのしごとを)

軽トラに乗って仕事に行ってしまう。ばあちゃんがゴトゴトと家の仕事を

など

(するおとをききながらぼくはもってきていたしゅくだいをひさしぶりにひらいた。)

する音を聞きながら僕は持ってきていた宿題を久しぶりに開いた。

(ひろいたたみじきのへやでおおきなつくえのまんなかにほおづえをつく。なんぺーじかすすむと)

広い畳敷の部屋で大きな机の真ん中に頬杖をつく。何ページか進むと

(もうあきる。しゅくだいなんてなつやすみさいごのみっかくらいでやるものときまってる。)

もう飽きる。宿題なんて夏休み最後の三日くらいでやるものと決まってる。

(それまでにやらなくてはならないほかのことがあるんじゃないのか?)

それまでにやらなくてはならないほかのことがあるんじゃないのか?

(えんぴつがころころところがる。えんがわのむこうのにわにはたいようが)

エンピツがコロコロと転がる。縁側の向こうの庭には太陽が

(さんさんとてっていて、こちらのへやのなかがやけにくらくかんじる。)

さんさんと照っていて、こちらの部屋の中がやけに暗く感じる。

(ねころがったり、しゅくだいをすすめたり、またやすんだりをくりかえしていて、)

寝転がったり、宿題を進めたり、また休んだりを繰り返していて、

(ふととけいをみるとあさのくじ。まだくじなのだ。)

ふと時計を見ると朝の九時。まだ九時なのだ。

(おひるごはんまでさんじかんいじょうある。だめだ。どうにかなってしまう。)

お昼ご飯まで三時間以上ある。ダメだ。どうにかなってしまう。

(ぼくはひとりでいけるばしょをかんがえた。)

僕は一人で行ける場所を考えた。

(いつもみんなではいかないばしょがいいな。としょかんとか。)

いつもみんなでは行かない場所がいいな。図書館とか。

(あれこれかんがえていると、ふとあたまのすみにちんじゅのもりのじんじゃがうかんだ。)

あれこれ考えていると、ふと頭の隅に鎮守の森の神社が浮かんだ。

(そしてかんばつされていないきぎのしたのかげりのみち。)

そしてカンバツされていない木々の下の翳りの道。

(そのさきにまだみちはつづいていた。)

その先にまだ道は続いていた。

(またむくむくとそのさきへいってみたいきもちがわきあがってきた。)

またむくむくとその先へ行ってみたい気持ちがわき上がってきた。

(あのもりのなかではなえてしまったそのきもちが、もういちどつよくなってくる。)

あの森の中では萎えてしまったその気持ちが、もう一度強くなってくる。

(ひとりでもいけるさ。どうってことない。そうだ。ごぜんちゅうに、いますぐにいこう。)

ひとりでも行けるさ。どうってことない。そうだ。午前中に、今すぐに行こう。

(ひのたかいうちならそんなにこわくないはずだ。)

日の高いうちならそんなに怖くないはずだ。

(おもいたったらすぐにからだがうごいた。しゅくだいののーとをたたんでから、したくをする。)

思い立ったらすぐに身体が動いた。宿題のノートを畳んでから、支度をする。

(りゅっくさっくをかついでいると、そのけはいをかんじたのかしげちゃんのいもうとの)

リュックサックを担いでいると、その気配を感じたのかシゲちゃんの妹の

(よっちゃんがふすまのすきまからじっとこっちをみていた。)

ヨッちゃんが襖の隙間からじっとこっちを見ていた。

(「どっかいくの」)

「どっか行くの」

(しゅんかん、ぼくはこのこもつれていったらどうかなとかんがえた。)

瞬間、僕はこの子も連れて行ったらどうかなと考えた。

(でもすぐにそれをふりはらう。ぼうけんにおんなはつれていけない。)

でもすぐにそれを振り払う。冒険に女は連れていけない。

(なにがまっているかわからないのだから。)

なにが待っているか分からないのだから。

(「ゆうびんきょくにいくだけ」というと「ふうん」とつまらなさそうに)

「郵便局に行くだけ」と言うと「ふうん」とつまらなさそうに

(どこかへいってしまった。)

どこかへ行ってしまった。

(ようし。じゃまものもおいはらった。ぼくはいきようようといえをでる。)

ようし。邪魔者も追い払った。僕は意気揚々と家を出る。

(たいようのてりつけるあぜみちをきたへきたへとむかうと、)

太陽の照りつける畦道を北へ北へと向かうと、

(こんもりとしたやまのみどりがだんだんとちかづいてくる。)

こんもりとした山の緑がだんだんと近づいてくる。

(むかし、にゅうざんりょうをとっていたというころのなごりであるきばこが)

昔、入山料を取っていたというころの名残である木箱が

(くちはてているところがいりぐち。みねをのぼらずに、やまのふもとにそってみちがとおっている。)

朽ち果てている所が入り口。峰を登らずに、山の麓に沿って道が通っている。

(ざくざくとつちをふみしめてまえへまえへすすむと、だんだんときのかげで)

ザクザクと土を踏みしめて前へ前へ進むと、だんだんと木の影で

(ずじょうがうすぐらくなってくる。)

頭上が薄暗くなってくる。

(ねんのためにもってきたほういじしんをりゅっくさっくからとりだして)

念の為に持ってきた方位磁針をリュックサックから取り出して

(みぎてにもったままやすまずにあしをうごかす。)

右手に持ったまま休まずに足を動かす。

(ときどきやまばとのこえがひびいて、ばさばさとはっぱがゆれるおとがする。)

時どき山鳩の声が響いて、バサバサと葉っぱが揺れる音がする。

(それからせみのこえ。それもこわくなるほどのだいがっしょうだ。)

それから蝉の声。それも怖くなるほどの大合唱だ。

(ちらりとみあげるとはのすきまからきらきらとひかりのすじがこぼれている。)

チラリと見上げると葉の隙間からキラキラと光の筋が零れている。

(ずっとうえをむいておとのこうずいのなかにいると、)

ずっと上を向いて音の洪水の中にいると、

(ここがどこなのかわからなくなってくる。)

ここがどこなのか分からなくなってくる。

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