別れ、そして旅立ち

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切ない恋愛、別れ、そして新たな旅立ち 

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(ぼくたちのあいだには、ことばにできないおもくるしいくうきがただよっていた。)

僕たちの間には、言葉にできない重苦しい空気が漂っていた。

(あのさ、やっぱり、わかれよう)

「あのさ、やっぱり、別れよう」

(さきにくちをひらいたのは、ぼくだった。ずっとかんがえてなやみぬいてだしたけつろんだった。)

先に口を開いたのは、僕だった。ずっと考えて悩み抜いて出した結論だった。

(しょうらいのこと、おたがいのかちかんのちがい、つみかさなったちいさなすれちがい。)

将来のこと、お互いの価値観の違い、積み重なった小さなすれ違い。

(どれもけっていてきなりゆうじゃないけれど、このままいっしょにいても、)

どれも決定的な理由じゃないけれど、このまま一緒にいても、

(ふたりがしあわせになれるみらいがみえなかったんだ。)

二人が幸せになれる未来が見えなかったんだ。

(きみは、ぼくのことばをしずかにきいていた。そのひょうじょうはおどろくほどおだやかで、)

君は、僕の言葉を静かに聞いていた。その表情は驚くほど穏やかで、

(まるでたにんごとのようにさえみえた。そう、、、わかったと、)

まるで他人事のようにさえ見えた。「そう、、、分かった」と、

(みじかいへんじ。そのこえはへいたんで、すこしもふるえていなかった。)

短い返事。その声は平坦で、少しも震えていなかった。

(ひょうしぬけするほどあっさりとしたかのじょのはんのうに、)

拍子抜けするほどあっさりとした彼女の反応に、

(むねのこどうがどくんとなった。ほんとうはすこしきたいしていた。)

胸の鼓動がドクンと鳴った。本当は少し期待していた。

(ひきとめてほしかった。でも、きみはほんとうにふだんとかわらぬえがおをみせて、)

引き止めてほしかった。でも、君は本当に普段と変わらぬ笑顔を見せて、

(かんしゃのことばをくちにした。)

感謝の言葉を口にした。

(そのひ、ぼくたちはいままでのように、さいごのじかんをすごした。)

その日、僕たちはいままでのように、最後の時間を過ごした。

(かふぇでおちゃしたり、おもいでのばしょをめぐったり。)

カフェでお茶したり、思い出の場所を巡ったり。

(きみはいつもとかわらずあかるくふるまい、)

君はいつもと変わらず明るく振る舞い、

(ぼくをきづかうことばさえかけてくれた。そのためらいのないふるまいに、)

僕を気遣う言葉さえかけてくれた。そのためらいの無いふるまいに、

(ぼくはひとりそうしつかんにおそわれていた。)

僕は一人喪失感に襲われていた。

(ぼくだけがこのわかれをひきずっているみたいで。)

僕だけがこの別れを引きずっているみたいで。

(わかれのゆうがた、えきのかいさつのまえで、ぼくたちはたちどまった。)

別れの夕方、駅の改札の前で、僕たちは立ち止まった。

など

(ほんとうに、これでおわりなんだねと、おもわずくちにだすと、)

「本当に、これで終わりなんだね」と、思わず口に出すと、

(ちょっとだけまをおいてから、きみはすこしさびしそうにほほえんだ。)

ちょっとだけ間をおいてから、君は少し寂しそうに微笑んだ。

(うん、きっと、これがふたりにとっていちばんいいみちだよ)

「うん、きっと、これが二人にとって一番いい道だよ」

(そうして、さいごに、しゃしんいい?ってきみがいった。)

そうして、「最後に、写真いい?」って君が言った。

(それから、きみはかるくてをふって、かいさつのなかへとあるきだした。)

それから、君は軽く手を振って、改札の中へと歩き出した。

(ぼくは、そのちいさなせなかがとおくなるまで、ずっとみおくっていた。)

僕は、その小さな背中が遠くなるまで、ずっと見送っていた。

(いえへとつづくよみち。ひとりになったとたん、)

家へと続く夜道。一人になった途端、

(おしよせてきたのはおおきなそうしつかんだった。)

押し寄せてきたのは大きな喪失感だった。

(よくあさ、なにげなくきみのsnsをみた。)

翌朝、何気なく君のSNSを見た。

(さいごのとうこうは、きのうのぼくたちのしゃしん。)

最後の投稿は、昨日の僕たちの写真。

(はしゃいだえがおをうかべたきみと、すこしきんちょうしたかおのぼくがうつっていた。)

はしゃいだ笑顔を浮かべた君と、少し緊張した顔の僕が写っていた。

(そして、そのしゃしんにそえられたみじかいめっせーじ。)

そして、その写真に添えられた短いメッセージ。

(たくさんのえがおをありがとう。さようなら。)

「たくさんの笑顔をありがとう。さようなら」。

(なにげないひとことだった、それからぼくはしゃしんのきみのめをじっとみつめた。)

何気ない一言だった、それから僕は写真の君の目をじっと見つめた。

(そうしてきづいたんだ。きのう、あんなにたのしそうにえがおでふるまっていた)

そうして気づいたんだ。昨日、あんなに楽しそうに笑顔で振る舞っていた

(きみのめのはしが、ほんのわずかにあかくなっていることに。)

君の目の端が、ほんのわずかに赤くなっていることに。

(ひかりのかげん?いや、たしかにそれはきのう、ぼくとわかれるちょくぜんに、)

光の加減?いや、確かにそれは昨日、僕と別れる直前に、

(かのじょがひっしにこらえたなみだのあとだったんだ。)

彼女が必死にこらえた涙の跡だったんだ。

(それはさいごなんだからなかないようにって、)

それは最後なんだから泣かないようにって、

(きのつよいきみがみせてくれたやさしさのあとだったんだね。)

気の強い君が見せてくれた優しさの跡だったんだね。

(かなしいけど、でも、もうあともどりできないって。)

悲しいけど、でも、もう後戻りできないって。

(ことばにはしなかったけれど、)

言葉にはしなかったけれど、

(きみもまた、このわかれをおしんでくれていたんだね。)

君もまた、この別れを惜しんでくれていたんだね。

(つよがっていたえがおのうらにかくされた、かのじょのほんとうのきもち。)

つよがっていた笑顔の裏に隠された、彼女の本当の気持ち。

(それにきづいたとき、)

それに気づいた時、

(ぼくのこころをしめつけていたものがほどけてゆくのがわかった。)

僕の心を締め付けていたものがほどけてゆくのがわかった。

(それとどうじにこれからぼくもつよくいきてゆけるとおもった、)

それと同時にこれから僕も強く生きてゆけると思った、

(あしたにむかってあたらしいみちをあゆんでゆけるとおもった。)

明日に向かって新しい道を歩んでゆけると思った。

(ありがとう、そしてさようなら。ぼくからもきみにおくるよこころから、、。)

ありがとう、そしてさようなら。 僕からも君に送るよ心から、、。

(いつかまたえがおではなせるひがくるといいね!)

いつかまた笑顔で話せる日が来るといいね!

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