「佐藤さん」の手料理

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(せんじつじっかにきせいしたときのはなしです。)

先日実家に帰省した時の話です。

(わたしのじっかはとうきょうのにしにある「とえいだんち」とよばれるしゅうごうじゅうたくです。)

私の実家は東京の西にある「都営団地」と呼ばれる集合住宅です。

(りびんぐでてれびをみているととつぜんどあをのっくするおとがきこえました。)

リビングでテレビを見ていると突然ドアをノックする音が聞こえました。

(「すみませーん、まるまるさん、すみませーん」)

「すみませーん、○○さん、すみませーん」

(いんたーほんくらいならせよ・・・とおもいつつどあをあけると、)

インターホンくらい鳴らせよ・・・と思いつつドアを開けると、

(60だいくらいのろうふうふがかみぶくろをもってたっています。)

60代くらいの老夫婦が紙袋を持って立っています。

(・・・だれだろう?)

・・・誰だろう?

(にこにこしながら)

ニコニコしながら

(ろうふじんがはなしはじめます。)

老婦人が話し始めます。

(「あら・・・まるまるさんのむすこさん?)

「あら・・・○○さんの息子さん?

(はじめましてぇ・・・おとうさんかおかあさんいます?」)

初めましてぇ・・・お父さんかお母さんいます?」

(ちちをよびりびんぐにもどると、げんかんからあかるいはなしごえがきこえてきます。)

父を呼びリビングに戻ると、玄関から明るい話し声が聞こえてきます。

(ちちがかみぶくろをもってかえってきました。)

父が紙袋を持って帰ってきました。

(あのひとだれだっけ・・・?ときくと、「さとうさん」というほうらしく、)

あの人誰だっけ・・・?と聞くと、「佐藤さん」という方らしく、

(いちねんほどまえにこのだんちにこしてきたのだとおしえてくれました。)

一年ほど前にこの団地に越してきたのだと教えてくれました。

(すうかげつまえ、おおきなにもつをはこんでいるところをちちがたすけてから、)

数か月前、大きな荷物を運んでいるところを父が助けてから、

(きんじょづきあいがはじまったそうです。)

近所付き合いが始まったそうです。

(ちちのはなしでは、「さとうさん」ははやくにだんなさんをなくしており、)

父の話では、「佐藤さん」は早くに旦那さんを亡くしており、

(こどももおらず、ずっとひとりでくらしており、)

子供もおらず、ずっと一人で暮らしており、

(ひんぱんにてりょうりをもってきてくれるのだそうです。)

頻繁に手料理を持ってきてくれるのだそうです。

など

(ところでだいどころにいるははは)

ところで台所にいる母は

(「もう・・また?」とめいわくそうなかおをしています。)

「もう・・また?」と迷惑そうな顔をしています。

(なんでももってくるりょうりどれもきょくたんにあじがうすかったりこかったりで、)

なんでも持ってくる料理どれも極端に味が薄かったり濃かったりで、

(ことわりきれずいただくもので、)

断り切れずいただくもので、

(いまではてをつけずにそのまますてているらしいのです。)

今では手を付けずにそのまま捨てているらしいのです。

(こんかいもはははすてようとしていましたが、)

今回も母は捨てようとしていましたが、

(「さとうさん」のふぐうをきいたわたしはすこしこころぐるしくなり、)

「佐藤さん」の不遇を聞いた私は少し心苦しくなり、

(「おれがたべるわ」とかみぶくろをうけとりました。)

「俺が食べるわ」と紙袋を受け取りました。

(なかをのぞくとぷらすちっくのようきにころっけとぴんくいろのたっぱーがみえます。)

中を覗くとプラスチックの容器にコロッケとピンク色のタッパーが見えます。

(なんだ、おいしそうじゃんとおもいながら、)

なんだ、美味しそうじゃんと思いながら、

(ちんをしたころっけにそーすをかけてかぶりつきました。)

チンをしたコロッケにソースをかけてかぶりつきました。

(にくじゅうがあふれてきました。)

肉汁が溢れてきました。

(どうやらめんちかつだったようです。)

どうやらメンチカツだったようです。

(こいあじのそーすのおかげであじはきになりません。)

濃い味のソースのおかげで味は気になりません。

(・・・ざりっ・・・んっ・・・?)

・・・ザリッ・・・んっ・・・?

(おくばのあたりでいぶつかんをかんじました。)

奥歯の辺りで異物感を感じました。

(くちのなかのかつをはきだします。)

口の中のカツを吐き出します。

(なんだよこれ・・・)

なんだよこれ・・・

(はきだしたもののなかにながいけ?とつめのようなぶったいがまじっています。)

吐き出したものの中に長い毛?と爪のような物体が混じっています。

(きもちあくっ・・・)

気持ち悪っ・・・

(いそいでくちをゆすぎにせんめんじょへとむかったわたしは、)

急いで口をゆすぎに洗面所へと向かった私は、

(それいじょうめんちかつにてをつけませんでした。)

それ以上メンチカツに手を付けませんでした。

(ちなみにぴんくいろのたっぱーには、なぜかはくまいがしきつめられており、)

ちなみにピンク色のタッパーには、なぜか白米が敷き詰められており、

(そのうえにみどりいろのどろどろがかかっていましたが、)

その上に緑色のドロドロがかかっていましたが、

(それもたべるゆうきがでませんでした。)

それも食べる勇気が出ませんでした。

(つぎのひ、ははおやにたっぱーをかえしにいくようたのまれたぼくは)

次の日、母親にタッパーを返しに行くよう頼まれた僕は

(「さとうさん」のへやをたずねます。)

「佐藤さん」の部屋を訪ねます。

(いちばんはしのへや、「さとう」のひょうさつをかくにんし、いんたーほんをおしました。)

一番端の部屋、「佐藤」の表札を確認し、インターホンを押しました。

(すると「はーい」というこえとともに、こぎれいなかっこうをしたさとうさんが)

すると「はーい」という声とともに、小綺麗な格好をした佐藤さんが

(きのうとおなじくにこにこしながらでてきました。)

昨日と同じくニコニコしながら出てきました。

(おれいとともにかみぶくろにはいったたっぱーをかえします。)

お礼とともに紙袋に入ったタッパーを返します。

(しかし、どうしてもきのうのできことにふれたくなったぼくは)

しかし、どうしても昨日の出来事に触れたくなった僕は

(あの・・・とおもわずきりだします。)

あの・・・と思わず切り出します。

(「きのういただいたあげものに・・・へんな、け?)

「昨日いただいた揚げ物に・・・変な、毛?

(・・・みたいなのがはいってまして・・・」)

・・・みたいなのが入ってまして・・・」

(すると「さとうさん」のえがおがうそのようにきえ、まっかにかわり)

すると「佐藤さん」の笑顔が嘘のように消え、真っ赤に変わり

(「・・・どうせいつもすててるだろっ!!!」)

「・・・どうせいつも捨ててるだろっ!!!」

(とさけんだあとそのままばたんとどあをしめてしまいました。)

と叫んだあとそのままバタンとドアを閉めてしまいました。

(あっけにとられたわたしはしばらくそのばからうごけませんでした。)

呆気にとられた私はしばらくその場から動けませんでした。

(みっかほどあと、じたくにかえるためにげぎょうきのえれべーたーをまっていると)

三日ほど後、自宅に帰るために下行きのエレベーターを待っていると

(なんと「さとうさん」とでくわしました。)

なんと「佐藤さん」と出くわしました。

(めをふせ、なにもいえずにいると)

目を伏せ、何も言えずにいると

(「こんにちは!もうかえられるの?」)

「こんにちは!もう帰られるの?」

(となにごともなかったようににこにことあいさつをしてきます。)

と何事もなかったようにニコニコと挨拶をしてきます。

(・・・はい)

・・・はい

(なんとかへんじだけすると、わたしはわすれものにきづいたふりをして)

なんとか返事だけすると、私は忘れものに気付いたふりをして

(いったんじっかのへやにひきかえしました。)

一旦実家の部屋に引き返しました。

(いまのところねんまつのきせいはむりそうです。)

今のところ年末の帰省は無理そうです。

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