怖い話《死んでも過保護》

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(わたしがまだしゃかいじんいちねんめのころのはなしです。)

私がまだ社会人一年目の頃の話です。

(しごとかえり、いつものようにもよりえきのほーむででんしゃをまっていました。)

仕事帰り、いつものように最寄り駅のホームで電車を待っていました。

(となりのれつのじょうしゃいちにおやこがならんでいたんです。)

隣の列の乗車位置に親子が並んでいたんです。

(しゅうしょくしけんにおちっぱなしのじょしだいせい。)

就職試験に落ちっぱなしの女子大生。

(そしてそれをしんぱいしつづけるははおや。)

そしてそれを心配し続ける母親。

(・・っていうのも、ずーっととなりでそういうはなしをしているのがきこえるんですよ。)

・・っていうのも、ずーっと隣でそういう話をしているのが聞こえるんですよ。

(べつにぬすみききしていたわけじゃないんですけど、)

別に盗み聞きしていた訳じゃないんですけど、

(「せすじのばさないとだめよ」とか)

「背筋伸ばさないとダメよ」とか

(「めんせつでははきはきしゃべらないと」とか)

「面接ではハキハキ喋らないと」とか

(まあ、そんなようなことばがちらちらきこえてきて、)

まあ、そんなような言葉がチラチラ聞こえてきて、

(なんだかきいているほうもうんざりしちゃうくらい。)

なんだか聞いている方もウンザリしちゃうくらい。

(ははおやはかほごというのかしんぱいしょうというのか、)

母親は過保護というのか心配性というのか、

(どうもむすめのしゅうしょくしけんにいつもついていっているみたいなんですね。)

どうも娘の就職試験にいつも付いて行っているみたいなんですね。

(そういうようすからも、なんとなくむすめさんは)

そういう様子からも、なんとなく娘さんは

(めんせつがうまくいっていなさそうなふんいきはかんじるんですが、)

面接が上手くいっていなさそうな雰囲気は感じるんですが、

(ははおやははげましながら、せっきょうしながらずーっとしゃべりつづけてて、)

母親は励ましながら、説教しながらずーっと喋り続けてて、

(いっぽうむすめはくらいふんいきでたまにうなずくだけ、ってかんじでずっとだまっていました。)

一方娘は暗い雰囲気でたまに頷くだけ、って感じでずっと黙っていました。

(いや、べつにひとのいえのじじょうなんてきくつもりないんだけど・・・)

いや、別に人の家の事情なんて聞くつもりないんだけど・・・

(なんかきになっちゃうよね、むすめさんだいじょうぶかなあって。)

なんか気になっちゃうよね、娘さん大丈夫かなあって。

(そうこうするうちにでんしゃがこて、むすめがいきなりでんしゃにとびこみました。)

そうこうするうちに電車が来て、娘がいきなり電車に飛び込みました。

など

(「えっ・・・?」)

「えっ・・・?」

(いっしゅんのできごとです、)

一瞬の出来事です、

(でんしゃはほーむにていしゃするためにそくどをおとしていたはずなのに、)

電車はホームに停車するために速度を落としていたはずなのに、

(むすめのからだはあっというまにばらばらに。)

娘の体はあっという間にバラバラに。

(わたしのとなりでぱーんととびちりました。)

私の隣でパーンと飛び散りました。

(とつぜんのことにおどろいて、わたしはそのばにぼうだちするしかなかったんですけど、)

突然のことに驚いて、私はその場に棒立ちするしかなかったんですけど、

(ははおやはきょうらんじょうたいでぱにっくになって、せんろにとびおりたんですね。)

母親は狂乱状態でパニックになって、線路に飛び降りたんですね。

(それでもう、ひとのかたちをしていないむすめのはへんをかきあつめながら)

それでもう、人の形をしていない娘の破片をかき集めながら

(「なおるかしら!?はやくおいしゃさんをよんできて!」)

「治るかしら!?早くお医者さんを呼んできて!」

(なんてさけんでる。)

なんて叫んでる。

(それからわたしのきおくはちょっととぶんですけど、きづいたときにはいえにいました。)

それから私の記憶はちょっと飛ぶんですけど、気付いた時には家にいました。

(どうやらなんとかしていえにかえってきたみたいです。)

どうやら何とかして家に帰ってきたみたいです。

(で、いえにかえってからおややゆうじんにきょうあったじんしんじこのことをはなすけども、)

で、家に帰ってから親や友人に今日あった人身事故の事を話すけども、

(だれもそんなことおきてない、しらないっていうんです。)

誰もそんな事起きてない、知らないって言うんです。

(ねっとでしらべても、そのひそういうじこがあったというじょうほうはでてこない。)

ネットで調べても、その日そういう事故があったという情報は出てこない。

(じゃあなに?)

じゃあ何?

(あれはゆうれいだったのか?)

あれは幽霊だったのか?

(ゆうれいなんてこれまでみたことなかったから、)

幽霊なんてこれまで見た事なかったから、

(あんなにりあるにでてくるもんなんだ・・・って、)

あんなにリアルに出てくるもんなんだ・・・って、

(それじたいもこわかったですけどね。)

それ自体も怖かったですけどね。

(それいじょうにこわいなとおもったのが、あのじょしだいせい。)

それ以上に怖いなと思ったのが、あの女子大生。

(じぶんのいしでとびこんでしんだあとも、ああやってははおやにかけらをひろいあつめられて。)

自分の意志で飛び込んで死んだ後も、ああやって母親に欠片を拾い集められて。

(あのじょしだいせいはいっしょうははのてからにげられないんだなって。)

あの女子大生は一生母の手から逃げられないんだなって。

(しんでもははおやにせわをやかれつづけるんだなあって。)

死んでも母親に世話を焼かれ続けるんだなあって。

(そうおもうとははおやのかほごってすごくおそろしいとおもってしまうのです。)

そう思うと母親の過保護ってすごく恐ろしいと思ってしまうのです。

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