影送り／Bocchi

(てりつくたいようにつかめそうなあのなつのかげは)

照りつく太陽に掴めそうなあの夏の影は

(いまじゃもうきえかかっていた)

今じゃもう 消えかかっていた

(むかしのことなんてずいぶん、おもいだせなくて)

昔の事なんて随分、思い出せなくて

(わらうだけぼくはただわらうだけ)

笑うだけ 僕はただ笑うだけ

(なんにもわからないんだていぎなんてないくせに)

何にも分からないんだ 定義なんて無いくせに

(よくもまあゆうじょうだなんてまとめやがってさ)

よくもまあ 友情だなんて纏めやがってさ

(きょうもぐらす１ぱいの「こどく」ってやつをあおいだ)

今日もグラス1杯の「孤独」ってやつを仰いだ

(あのひとなにがちがうのか)

あの日と何が違うのか

(わすれられてしまえばしんだもどうぜんだから)

忘れられてしまえば死んだも同然だから

(いばしょのないどうぶつにはなのるすべもないだろう)

居場所のない動物には名乗る術もないだろう

(あぁそうか、ふまれるかげもないぼくは)

あぁそうか、踏まれる影もない僕は

(いくあてもないままにただよっていた)

行く宛てもないままに漂っていた

(おねがいみつけて)

オネガイ ミツケテ

(このままとおいたかいそらをおよいで)

このまま 遠い高い空を泳いで

(あのひのあなたにあえないかな)

あの日のあなたに会えないかな

(こわいな、みじめだ、そんなぼくがきらいだ)

怖いな、惨めだ、そんな僕が嫌いだ

(わかってる、わかっているのに、わらえるな)

わかってる、わかっているのに、笑えるな

(なんにもわからないんだしねばほねになるくせに)

何にも分からないんだ 死ねば骨になる癖に

(よくもまぁあいじょうだなんてかたりやがってさぁ)

よくもまぁ 愛情だなんて語りやがってさぁ

(もうもくにめいっぱいの「きぼう」ってやつをさがして)

盲目に目一杯の「希望」ってやつを探して

(まだ、さがしてる)

まだ、捜してる

(へいきなふりしてしまえばころしたもどうぜんだから)

平気なふりしてしまえば殺したも同然だから

(しんでしまったほんねをうめるばしょがないだろう)

死んでしまった本音を埋める場所がないだろう

(あのときも、あいそわらいでごまかした)

あの時も、愛想笑いで誤魔化した

(よわいだけのじぶんにただよっていた)

弱いだけの自分にただ酔っていた

(おねがいみつけて)

オネガイ ミツケテ

(わからないこと、わかりたくないこと)

分からないこと、分かりたくないこと

(あのひのあなたはわかるのかな)

あの日のあなたは分かるのかな

(あいも、せいしゅんも、なにもかもがきべんだ)

愛も、青春も、何もかもが詭弁だ

(なくしたまま、にしたのはぼくなのに)

失くしたまま、にしたのは僕なのに

(あなたがしってたみたいに)

あなたが知ってたみたいに

(ぼくはそれをしりたいだけだった)

僕はそれを知りたいだけだった

(てりつくたいようをつかめそうなあのなつにずっと)

照りつく太陽を掴めそうなあの夏にずっと

(ずっと、いたいだけだった)

ずっと、居たいだけだった

(このままながいながいみちあるけば)

このまま 長い長い道歩けば

(いつかみたぼくにもどれるかな)

いつか見た僕に戻れるかな

(あなたがそのてをのばしたそらに)

あなたがその手を伸ばした空に

(あのなつのそらにおくるかげを)

あの夏の空に 送る影を

(ぼくのかげを)

僕の影を