東京賛歌

(そらとじめんがあるまちだよそだったまちとどうちがうだろう)

空と地面がある街だよ 育った街とどう違うだろう

(ちがいがいえるのはどうしてだろうここへきてからおそわったんだよ)

違いが言えるのはどうしてだろう ここへ来てから教わったんだよ

(うそがおおいとかつめたいとかほしがみえないとかくじょうのあらし)

嘘が多いとか冷たいとか 星が見えないとか苦情の嵐

(うまくいかないことのはらいせだろうここはいくつもうけとめてきた)

上手くいかない事の腹いせだろう ここは幾つも受け止めてきた

(なにをしにきたんだっけだれのためなんだっけ)

何をしに来たんだっけ 誰のためなんだっけ

(どうろもせんろもつながってるけどそりゃそうだけど)

道路も線路も繋がってるけど そりゃそうだけど

(かってにとびだしてかってにたどりついた)

勝手に飛び出して 勝手に辿り着いた

(このまちだけがしってるよわすれたゆめのひきだしを)

この街だけが知ってるよ 忘れた夢の引き出しを

(あのころいつもそばにいたきらいなすきなそのひとたちを)

あの頃いつも側に居た 嫌いな好きなその人達を

(いまほどたいせつにおもえてましたかここへきてからきがついたんだよ)

今ほど大切に思えてましたか ここへ来てから気が付いたんだよ

(ひとはどこにいてもそのひとのままだよ)

人はどこに居ても その人のままだよ

(はなれただれかもはなれたじぶんもいきてるんだよ)

離れた誰かも離れた自分も 生きてるんだよ

(かってにえらばれてかってにきらわれた)

勝手に選ばれて 勝手に嫌われた

(このまちだけがもってるよかえれないきみのいるばしょを)

この街だけが持ってるよ 帰れない君のいる場所を

(うそがおおいのはどこでもだろうほしがみえたってどうせあきるだろう)

嘘が多いのはどこでもだろう 星が見えたってどうせ飽きるだろう

(すれちがうなかにはにたりゆうでここへきたひともすくなくないだろう)

すれ違う中には似た理由で ここへ来た人も少なくないだろう

(なにをしにきたんだっけだれがきめたんだっけ)

何をしに来たんだっけ 誰が決めたんだっけ

(じめんもそらもつながってるんだよみらいとかこも)

地面も空も繋がってるんだよ 未来と過去も

(かってにとびだしてかってにたどりついた)

勝手に飛び出して 勝手に辿り着いた

(このまちだけがしってるよとりかえしたゆめのそのつづきを)

この街だけが知ってるよ 取り返した夢のその続きを

(かってにえらばれてかってにきらわれた)

勝手に選ばれて 勝手に嫌われた

(このまちだけがもってるよかえれないきみのいるばしょを)

この街だけが持ってるよ 帰れない君のいる場所を

(このまちだけがしってるよそだったまちへのかえりかたを)

この街だけが知ってるよ 育った街への帰り方を