怖い話《入ってはいけない竹林》2

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問題文

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(「いまからうちにこれない?ちょっとみてもらいたいものがあるんだ」)

「今からうちに来れない?ちょっと見てもらいたいものがあるんだ」

(いえにいくと、ぴかいちがしゃしんのたばをてーぶるにおいた。)

家に行くと、光一が写真の束をテーブルに置いた。

(「これなにのしゃしん?」)

「これ何の写真?」

(「このあいだたけばやしでとったやつだよ」)

「この間竹林で撮ったやつだよ」

(そういえば、すっかりわすれていただがぴかいちはかめらをもっていた。)

そういえば、すっかり忘れていただが光一はカメラを持っていた。

(「げんぞうしていいものかなやんだけど・・・」)

「現像していいものか悩んだけど・・・」

(ぴかいちがとったしゃしんをいちまいずつみる。)

光一が撮った写真を一枚ずつ見る。

(たけばやしのしゃしんはひかりのさしこみぐあいといいとてもきれいにとれていたが、)

竹林の写真は光の差し込み具合といいとても綺麗に撮れていたが、

(なんまいかみていくとおかしなことにきがついた。)

何枚か見ていくとおかしなことに気が付いた。

(「これ・・・こんなのいたっけ?」)

「これ・・・こんなのいたっけ?」

(たけばやしのたけのあいだから、ちいさなこどものようなかおがいくつものぞいている。)

竹林の竹の間から、小さな子供のような顔がいくつも覗いている。

(ひかりのかげんでそのようにみえているのかとおもったが、)

光の加減でそのように見えているのかと思ったが、

(ぴかいちいわく、「げんぞうしてしばらくたってからこのかおがうきあがってきた」らしい。)

光一曰く、「現像して暫く経ってからこの顔が浮き上がってきた」らしい。

(おれはそふからきいたはなしをぴかいちにもおしえた。)

俺は祖父から聞いた話を光一にも教えた。

(ぴかいちはおれたちがみたあのいえがとっくになくなっていたものだとしるとぜっくした。)

光一は俺達が見たあの家がとっくになくなっていたものだと知ると絶句した。

(「でもいわれてみればたしかに、あのたけばやしのなかにたてものがあるなんて)

「でも言われてみれば確かに、あの竹林の中に建物があるなんて

(いままでだれにもいわれたことなかったよな」)

今まで誰にも言われたことなかったよな」

(ぴかいちはなにかかんがえこんでいるようだった。)

光一は何か考え込んでいるようだった。

(「ぴかいちおまえ、ひとりでまたあそこにいこうとかかんがえてないよな?」)

「光一お前、一人でまたあそこに行こうとか考えてないよな?」

(おれのといに、ぴかいちはずぼしをつかれたようにははっとわらった。)

俺の問いに、光一は図星を突かれたようにハハっと笑った。

など

(ながいようでみじかいなつやすみがおわった。)

長いようで短い夏休みが終わった。

(けいたとすばるのことがしんぱいだったが、ふたりともすっかりげんきになってとうこうしてきた。)

慶太と昴のことが心配だったが、二人ともすっかり元気になって登校してきた。

(ただ、ふしぎなことにふたりともたけはやしにはいったときのきおくをうしなっているようだ。)

ただ、不思議なことに二人とも竹林に入った時の記憶を失っているようだ。

(ふと、あることにきづく。ぴかいちがきていない。)

ふと、あることに気付く。光一が来ていない。

(おれ「あれ?ぴかいちはやすみ?」)

俺「あれ?光一は休み?」

(けいた「さあ・・・きいてないな」)

慶太「さあ・・・聞いてないな」

(すばる「なつやすみおわったのわすれてるとか?」)

昴「夏休み終わったの忘れてるとか?」

(なんだかいやなよかんがした。)

なんだか嫌な予感がした。

(じつはあれからまいにち、ぴかいちとはでんわをしていた。)

実はあれから毎日、光一とは電話をしていた。

(きのうもでんわで「がっこうであうのたのしみだな」とはなしたばかりだった。)

昨日も電話で「学校で会うの楽しみだな」と話したばかりだった。

(たいちょうがわるいなられんらくがあるはずだが、)

体調が悪いなら連絡があるはずだが、

(どうやらがっこうのほうにもれんらくはきていないらしい。)

どうやら学校のほうにも連絡は来ていないらしい。

(おれたちはほうかごにぴかいちのいえにいってみることにした。)

俺達は放課後に光一の家に行ってみることにした。

(ぴかいちのいえはなんどはちゃいむをならしてもだれもでなかった。)

光一の家は何度はチャイムを鳴らしても誰も出なかった。

(「あのー!だれかー!」)

「あのー!誰かー!」

(すばるがどあをどんどんとたたきはじめた。)

昴がドアをドンドンと叩き始めた。

(すると、となりのどあががちゃりとひらいた。)

すると、隣のドアがガチャリと開いた。

(「そこのひと、ひっこしちゃったからもういないよ」)

「そこの人、引っ越しちゃったからもういないよ」

(40だいくらいのじょせいがめいわくそうなかおでいった。)

40代くらいの女性が迷惑そうな顔で言った。

(「え?ひっこした?え?・・・」)

「え?引っ越した?え?・・・」

(「そうだよ、なんにちかまえかな。)

「そうだよ、何日か前かな。

(きゅうにひっこしのとらっくみたいなのがきて、)

急に引っ越しのトラックみたいなのが来て、

(みんなにげるようにどこかいっちゃったよ。)

みんな逃げるようにどこか行っちゃったよ。

(うわさだと、むすこさんがびょうきになったとかなんとか」)

噂だと、息子さんが病気になったとかなんとか」

(じょせいのはなしによると。ぐったりしたぴかいちをおかあさんがだきかかえて)

女性の話によると。ぐったりした光一をお母さんが抱きかかえて

(たくしーにのりこむのをみたひとがいるらしい。)

タクシーに乗り込むのを見た人がいるらしい。

(「そんなことって・・・」)

「そんなことって・・・」

(おれたちはかおをみあわせた、おかしい、きのうもでんわしたのに。)

俺達は顔を見合わせた、おかしい、昨日も電話したのに。

(がっこうであおうといっていたのに。)

学校で会おうと言っていたのに。

(とつぜん、ぴかいちいっかがきゅうにいなくなったことについてはがっこうでももんだいになった。)

突然、光一一家が急にいなくなった事については学校でも問題になった。

(しかし、どういうわけかこうちょうのいちぞんで)

しかし、どういうわけか校長の一存で

(ぴかいちがたこうにてんこうしたということではなしがかたづいたらしい。)

光一が他校に転校したという事で話が片付いたらしい。

(しばらくはくらすないでぴかいちのことでねもはもないうわさばなしがながれていたが、)

暫くはクラス内で光一のことで根も葉もない噂話が流れていたが、

(ふゆやすみをむかえるころにはそんなはなしもきかなくなった。)

冬休みを迎える頃にはそんな話も聞かなくなった。

(そのあとはとくになにもおこらなかった。)

その後は特に何も起こらなかった。

(けいたとすばるはあいかわらずたけばやしでのきおくをなくしているし、)

慶太と昴は相変わらず竹林での記憶をなくしているし、

(おれもわざわざほりおこすきにはならなかった。)

俺もわざわざ掘り起こす気にはならなかった。

(なにより、ぴかいちがいなくなったことがぐうぜんではないきがして)

何より、光一がいなくなったことが偶然ではない気がして

(あのたけばやしのことをかんがえたくなかった。)

あの竹林のことを考えたくなかった。

(そうしてながいねんげつがたち、おれもしゃかいじんになってこきょうをはなれた。)

そうして長い年月が経ち、俺も社会人になって故郷を離れた。

(たけばやしでのできごとはわすれたくてもわすれることができなかったが、)

竹林での出来事は忘れたくても忘れることができなかったが、

(よくよくかんがえてみればおれはあそこでこわいおもいはしていない。)

よくよく考えてみれば俺はあそこで怖い思いはしていない。

(ないはずのいえをみつけて、けいたとすばるにいへんがおこって、)

無いはずの家を見つけて、慶太と昴に異変が起こって、

(ぴかいちがしんれいしゃしんをとったていどのことしかおこっていないのだ。)

光一が心霊写真を撮った程度のことしか起こっていないのだ。

(そうかんがえたら、そふのいっていたことをうのみにして)

そう考えたら、祖父の言っていたことを鵜呑みにして

(こわがっていたじぶんがばかばかしくおもえてきた。)

怖がっていた自分がばかばかしく思えてきた。

(そんなあるひ。めずらしくははからゆうびんぶつがとどいた。)

そんなある日。珍しく母から郵便物が届いた。

(「こういちくんからとどいていました。てんそうします」)

「光一君から届いていました。転送します」

(とめもがきがそえられている。)

とメモ書きが添えられている。

(おもわずてがふるえる。なかには、しっそなちゃぶうとうがはいっていた。)

思わず手が震える。中には、質素な茶封筒が入っていた。

(さしだしにんめいは”ぴかいち”のみで、じゅうしょはかかれていない。)

差出人名は”光一”のみで、住所は書かれていない。

(おそるおそるふうとうをあけると、なかにはすうまいのしゃしんといちまいのびんせんがはいっていた。)

恐る恐る封筒を開けると、中には数枚の写真と一枚の便箋が入っていた。

(しゃしんはすべて、あのたけばやしのなかでみつけたいえのしゃしんだった。)

写真は全て、あの竹林の中で見つけた家の写真だった。

(よんかしょからとったがいかんのしゃしんが4まい、そしてそのほかのしゃしんはしつないのしゃしんだ。)

四か所から撮った外観の写真が4枚、そしてその他の写真は室内の写真だ。

(やはりぴかいちはあのあとひとりでたけはやしにはいっていたのだ。)

やはり光一はあの後一人で竹林に入っていたのだ。

(「なんでこんなしゃしんいまさら・・・」)

「なんでこんな写真今更・・・」

(しつないのしゃしんには、からだのあちこちをくいちぎられたような)

室内の写真には、体のあちこちを食いちぎられたような

(おさないこどもがたくさんうつっていた。)

幼い子供がたくさん映っていた。

(もちろんいきたにんげんではない。)

もちろん生きた人間ではない。

(そしてさいごのしゃしんには、くちのまわりをちでよごしたずぶぬれのおんながうつっていて。)

そして最後の写真には、口の周りを血で汚したずぶ濡れの女が写っていて。

(びんせんにはこうかかれている。)

便箋にはこう書かれている。

(「あのいえにいってから、おんなにくわれるゆめをみる。)

「あの家に行ってから、女に食われる夢を見る。

(いまもまだそのゆめをみてる。たぶんいっしょうみつづけるとおもう。)

今もまだその夢を見てる。多分一生見続けると思う。

(おまえはもうにどとあのたけばやしにいかないほうがいい、けいたとすばるもだ。)

お前はもう二度とあの竹林に行かない方がいい、慶太と昴もだ。

(たぶんあのふたりがなんとかたすかったのは、おんなをみていないからだとおもう。)

多分あの二人が何とか助かったのは、女を見ていないからだと思う。

(けいたとすばるがみたのはこどものれいだけだったんだ。そんなきがする。)

慶太と昴が見たのは子供の霊だけだったんだ。そんな気がする。

(おれはおんなとめをあわせてしまったからもうだめなんだ・・・」)

俺は女と目を合わせてしまったからもう駄目なんだ・・・」

(それっきり、ぴかいちからてがみがとどくことはなかった。)

それっきり、光一から手紙が届く事はなかった。

(けいたとすばるとはいまでもれんらくをとりあっているが、)

慶太と昴とは今でも連絡を取り合っているが、

(たけばやしのわだいもぴかいちのわだいもだしたことがない、なんとなくさけている。)

竹林の話題も光一の話題も出したことがない、何となく避けている。

(たけばやしはどうなったかというと、いまはしんこうじゅうたくちになっている。)

竹林はどうなったかというと、今は新興住宅地になっている。

(いわくがのこっているのかどうか、たしかめることはもうできない。)

曰くが残っているのかどうか、確かめることはもうできない。

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