巨人の研究 -14-
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| 順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | berry | 7699 | 神 | 7.8 | 97.7% | 395.2 | 3115 | 72 | 61 | 2025/12/29 |
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問題文
(「そのじょきょうじゅはなんのせんもんなんです」)
「その助教授はなんの専門なんです」
(そのといかけに、ししょうはくちをおおげさにうごかしながらこごえでいった。)
その問いかけに、師匠は口を大げさに動かしながら小声で言った。
(「せいしん」)
「精神」
(じゃあ、あとで。と、ししょうはがくぶとうのかいだんをのぼっていった。)
じゃあ、後で。と、師匠は学部棟の階段を上って行った。
(それからさんじゅうぶんほどたっただろうか。ぼくはがくぶとうのいりぐちしゅうへんを)
それから三十分ほど経っただろうか。僕は学部棟の入り口周辺を
(うろうろしていたが、いしゃのたまごたちがひんぱんにではいりしているなか、)
うろうろしていたが、医者の卵たちが頻繁に出入りしている中、
(まったくみしったかおがないことにそがいかんをおぼえ、)
まったく見知った顔がないことに疎外感を覚え、
(いごこちのわるいきぶんをあじわっていた。)
居心地の悪い気分を味わっていた。
(どいつもこいつもかしこそうにみえやがる。)
どいつもこいつも賢そうに見えやがる。
(そのがくせいのなかから、すーつすがたのししょうのすがたがみえた。)
その学生の中から、スーツ姿の師匠の姿が見えた。
(「またせたな」)
「待たせたな」
(こころなしかつかれたようなひょうじょうをしている。)
心なしか疲れたような表情をしている。
(「なにかしゅうかくがあったんですか」ときくと、うなずいた。)
「何か収穫があったんですか」と訊くと、頷いた。
(「でもなかなかてごわかった。)
「でもなかなか手強かった。
(あのやろう、すけべだからみにすかでもはいてくればよかったな」)
あの野郎、スケベだからミニスカでも穿いてくれば良かったな」
(すーつのふとももをじぶんのみぎてでたたく。)
スーツの太ももを自分の右手で叩く。
(「なにかされたんですか」)
「なにかされたんですか」
(「あほ」)
「あほ」
(ししょうはちかくにあったじどうはんばいきにむかってあるきだす。)
師匠は近くにあった自動販売機に向かって歩き出す。
(「なにをきいてきたんですか」)
「何を聞いて来たんですか」
(おいすがると、ふりかえらずにこごえでこたえる。)
追いすがると、振り返らずに小声で答える。
(「ゆうれいのもくげきだんってのは、どうしてもせいしんしょうがいとみっせつなかんけいがあるものだ」)
「幽霊の目撃談ってのは、どうしても精神障害と密接な関係があるものだ」
(たんたんとしたくちょうだった。)
淡々とした口調だった。
(「せいしんぶんれつびょうやてんかんにはげんちょう、げんかくのたぐいはつきものだし、やくぶつちゅうどくによる)
「精神分裂病やてんかんには幻聴、幻覚の類はつきものだし、薬物中毒による
(げんかくもひどいものになる。せいしんかいにとっては、そのひとがゆうれいをみるか)
幻覚も酷いものになる。精神科医にとっては、その人が幽霊を見るか
(どうかってのはじゅうようなさいんなんだ。わたしだって、そうなのかもしれない」)
どうかってのは重要なサインなんだ。私だって、そうなのかも知れない」
(そのことばにぼくはたちどまった。それがわかったのか、ししょうはふりむく。)
その言葉に僕は立ち止まった。それが分かったのか、師匠は振り向く。
(「めいじきのようかいけんきゅうのたいと、いのうええんりょうはようかいげんしょうをいくつかにぶんるいした。)
「明治期の妖怪研究の泰斗、井上円了は妖怪現象をいくつかに分類した。
(にんげんがひきおこしたものを「ぎかい」、げんかくやさっかくなどのしんりてきよういんに)
人間が引き起こしたものを「偽怪」、幻覚や錯覚などの心理的要因に
(よるものを「ごかい」、しぜんげんしょうによるものを「かかい」とよんだ。)
よるものを「誤怪」、自然現象によるものを「仮怪」と呼んだ。
(そしてようかいげんしょうのほとんどをしめるそれらをすべてとりのぞき、)
そして妖怪現象のほとんどを占めるそれらをすべて取り除き、
(なおのこったひとにぎりのふかかいなげんしょうを「しんかい」となづけた。)
なお残った一握りの不可解な現象を「真怪」と名付けた。
(わたしがおもうに、ゆうれいのそんざいをしんじないにんげんにとっては、このよのおおくの)
わたしが思うに、幽霊の存在を信じない人間にとっては、この世の多くの
(たいけんだんはすべからく、うそか、そうでなければさっかく、あるいはげんかくだ。)
体験談はすべからく、嘘か、そうでなければ錯覚、あるいは幻覚だ。
(それにたいし、しんじているにんげんにとってはふたつのぱたーんがある。)
それに対し、信じている人間にとっては二つのパターンがある。
(すなわち、すべてのたいけんだんはしんじつであるというもの。もうひとつがいちぶの)
すなわち、すべての体験談は真実であるというもの。もう一つが一部の
(うそやさっかく、そしてげんかくのたぐいをのぞいたもののなかに、)
嘘や錯覚、そして幻覚の類を除いたものの中に、
(ゆうれいというしんじつがひそんでいる、というもの。)
幽霊という真実が潜んでいる、というもの。
(ただいのうええんりょうのばあいは「しんかい」をそのなのとおりものとは)
ただ井上円了の場合は「真怪」をその名の通りものとは
(かんがえていなかったけどな。かれはそれをげんざいのぶつりかがく、)
考えていなかったけどな。彼はそれを現在の物理化学、
(にんちかがくではいまだはんめいされざるげんしょう、としたまでのことだ。)
認知科学では未だ判明されざる現象、としたまでのことだ。
(みかがくてき、というやつだな)
未科学的、というやつだな。
(じぶんのみたふかかいなものがいったいなんなのか、)
自分の見た不可解なものがいったい何なのか、
(それをかんがえるにんげんそれぞれにそれぞれのこたえがあるだろう。)
それを考える人間それぞれにそれぞれの答えがあるだろう。
(だけどな。たとえわたしがみているものがこじんてきなげんかくだとしても、)
だけどな。たとえわたしが見ているものが個人的な幻覚だとしても、
(それがたしゃときょうゆうできるあるしゅのけいしつてきどういつせいや、さいげんせい、)
それが他者と共有できるある種の形質的同一性や、再現性、
(あるいはふかのうせいをそなえているならば、それはそのことじたいにいみがある。)
あるいは不可能性を備えているならば、それはそのこと自体に意味がある。
(げんかくだって?べつにげんかくでもさっかくでもなんでもいいよ。)
幻覚だって?別に幻覚でも錯覚でも何でもいいよ。
(とりあえずわたしがししゃしかしりえなかったじょうほうをどうしてしっているのか、)
とりあえず私が死者しか知り得なかった情報をどうして知っているのか、
(そのりゆうをおしえてくれ」)
その理由を教えてくれ」
(ししょうはりょうてをひろげて、めのまえにいるかくうのだれかにといかけた。)
師匠は両手を広げて、目の前にいる架空の誰かに問いかけた。
(そしてぼくのめをみてにやりとわらう。)
そして僕の目を見てニヤリと笑う。
(「さっきのせんせいはせいしんかいのくせにゆうれいをみちゃうひとでな。)
「さっきのセンセイは精神科医の癖に幽霊を見ちゃう人でな。
(それがひどくなってたから、はいぎょうしようとしてたところを、)
それが酷くなってたから、廃業しようとしてたところを、
(ちょっとしたけいいがあってわたしがもっとひどいめにあわせてやったんだよ。)
ちょっとした経緯があって私がもっと酷い目にあわせてやったんだよ。
(なにのめがさめたんだか、それからふっきれていまではかなりひょうばんの)
何の目が覚めたんだか、それから吹っ切れて今ではかなり評判の
(よいせいしんかいだ。まあ、かんじゃのきもちがわかるってのが)
良い精神科医だ。まあ、患者の気持ちが分かるってのが
(よいほうこうにむかったんだろうな。もっともどうりょうのあいだではようちゅういじんぶつらしいけど」)
良い方向に向かったんだろうな。もっとも同僚の間では要注意人物らしいけど」
(「なにをきいてきたんです」)
「何を聞いて来たんです」
(にどめのぼくのといにししょうはもったいぶったかおをして、すぐにはこたえず、)
二度目の僕の問いに師匠はもったいぶった顔をして、すぐには答えず、
(じどうはんばいきにおかねをいれた。そしてせいりょういんりょうすいのぼたんをおす。)
自動販売機にお金を入れた。そして清涼飲料水のボタンを押す。