ひとりぼっちおおかみ

(おおかみがきたぞ)

「オオカミが来たぞ！」

(やめてくれずっとずっとさまようように)

やめてくれ　ずっとずっと彷徨うように

(ばかみたいだろすこしきたいしちゃってさ)

馬鹿みたいだろ　少し期待しちゃってさ

(どうやらうわさのひつじかいうそだらけのけしき)

どうやら噂の羊飼い　噓だらけの景色

(あいするひとをまもるためだってさ)

愛する人を守るためだってさ

(それでもおれをつかわないで)

それでも”俺”を使わないで…

(おおかみがきたぞ)

「オオカミが来たぞ！」

(さけぶんだ)

叫ぶんだ

(まってまっておれがなにをした)

待って待って俺が何をした？

(ひめいのがっしょう)

悲鳴の合唱

(ぼりゅーむさげられないか)

ボリューム下げられないか？

(たべられちゃうぞきいてくれ)

「食べられちゃうぞ！」聞いてくれ

(ずっとずっとただのべじたりあん)

ずっとずっとただのベジタリアン

(なさけないだろうぬくもりでうめたいんだよ)

なさけないだろう　温もりで埋めたいんだよ

(つかれたひとみにとびこんだこやぎのこどもたち)

疲れた瞳に飛び込んだ　子ヤギのこども達

(ななひききょうだいかくれんぼ)

七匹　兄弟　かくれんぼ

(てんしのようなひかり)

天使のような光

(おおかみにはきをつけなさいと)

「オオカミには気をつけなさい」と

(おそったりしないからすこしさわらせて)

襲ったりしないから　少し触らせて

(しにたくないよやめてくれ)

「死にたくないよ！」　やめてくれ

(そんなそんなめでみないでくれ)

そんなそんな目で見ないでくれ

(いばしょはないと)

居場所は無いと

(ほんきでなきそうなんだ)

本気で泣きそうなんだ

(あかいずきんのいたいけしょうじょ)

赤いずきんの幼気少女

(おまえもいっしょだろ)

お前も一緒だろ…

(おおかみがきたぞ)

「オオカミが来たぞ！」

(さけぶんだ)

叫ぶんだ

(まってまってなにかちがうぞ)

待って待って何か違うぞ？

(きぼうのえがおたいようみたいにまぶしく)

希望の笑顔　太陽みたいに眩しく

(すくわれるおときいてくれ)

救われる音　聞いてくれ

(ずっとずっとさびしくて)

ずっとずっと寂しくて

(なさけないだろう)

なさけないだろう

(くらやみはそっときえた)

暗闇はそっと消えた