moonlit bear

(くらいくらいもりのかたすみあかいあかいかじつをひろった)

暗いクライ森の片隅　赤いアカイ果実を拾った

(これはきっとかみさまからのすてきなすてきなぷれぜんと)

これはキット神様からの　素敵なステキナプレゼント

(もってかえればよろこぶかしらうれしすぎてないちゃうかもね)

持って帰れば喜ぶかしら？　嬉しすぎて泣いちゃうかもね

(きょうはつきがとてもきれいねはやくはやくおうちへかえろ)

今日は月がとても綺麗ね　早く早くお家へ帰ろ

(こんなくらいよるにはこわいくまがでるから)

こんな暗い夜には　怖い熊が出るから

(せっかくみつけたのよようやくみつけたのよ)

せっかく見つけたのよ　ようやく見つけたのよ

(だれにもだれにもけっしてわたしたりしたくない)

誰にも誰にも　決して渡したりしたくない

(はなさくもりのみちわたしはかけぬけるあかいかじつをかかえながら)

花咲く森の道私は駆け抜ける　赤い果実を抱えながら

(このままかえればわたしもあのひともきっとしあわせになれるはず)

このまま帰れば私もあの人も　きっと幸せになれるはず

(ところがあとからこわいかおをしたくまがわたしをおいかける)

ところが後から怖い顔をした　熊が私を追いかける

(おねがいゆるしてくださいみのがしてください)

お願い許してください　見逃してください

(わかっていたのほんとうはこのかじつがあのくまのたからものだと)

分かっていたの本当はこの果実が　あの熊の宝物だと

(わたしははしるさまよいはしるこのしあわせはわたさない)

私は走るさまよい走る　この幸せは渡さない

(くまのすがたはつきにてらされくろいかげがわたしにせまる)

熊の姿は月に照らされ　黒い影が私に迫る

(ただしいみちはすでにうしないそれでもはしるただただはしる)

正しい道はすでに失い　それでも走るただただ走る

(わたしはないてくまもないてたふたつのかじつもないていた)

私は泣いて熊も泣いてた　二つの果実も泣いていた

(やっとたどりついたいとしのわがやかれはやさしくほほえんだけど)

やっとたどり着いた愛しの我が家　彼は優しく微笑んだけど

(わたしのかかえたかじつをみてとてもかなしいかおをしたのです)

私の抱えた果実を見て　とても悲しい顔をしたのです

(いいかいぼくたちのこどもはもうすでにこのよにはいないんだよ)

「いいかい僕達の子供はもうすでに　この世にはいないんだよ

(このこたちはほんとうのおかあさんのもとへかえしてあげなさい)

この子たちは本当の　お母さんの元へ返してあげなさい」

(いつかしんじつがそのきばとつめでわたしじしんをひきさいても)

いつか真実がその牙と爪で　私自身を引き裂いても

(そのあたたかいやさしいかじつをどうしてもほしかったの)

その暖かいやさしい果実を　どうしても欲しかったの

(かみさまわたしはゆるされぬつみをこのてでおかしてしまいました)

神様私は許されぬ罪を　この手で犯してしまいました

(いまならやりなおせるとあのひとはいうけど)

今ならやり直せると　あの人は言うけど

(むりよだってもう)

「無理よ　だってもう…」

(いえのそとでよこたわるはひとりのおんなのなきがら)

家の外で横たわるは　一人の女の亡骸

(かたわらにはみるくのみちたちいさながらすのこびん)

傍らにはミルクの満ちた　小さなガラスの小瓶