お義父さん　=はなわ

(おとうさんあなたのむすめをもらってもうじゅうごねんです)

お義父さん あなたの娘をもらって もう十五年です

(まいにちさんにんのままとしてがんばってくれています)

毎日三人のママとして頑張ってくれています

(あなたのむすめはこのぼくのじつははつこいのひとで)

あなたの娘は この僕の 実は初恋の女性(ひと)で

(ちゅうがくのころせいとてちょうにしゃしんをいれていたほどでした)

中学の頃 生徒手帳に 写真を入れていた程でした

(おとうさんあなたのむすめはかなりのてんねんぼけで)

お義父さん あなたの娘はかなりの天然ボケで

(ひやしちゅうかなのにふーふーしながらたべます)

冷やし中華なのに フーフーしながら食べます

(むすこのじゅうどうのしあいできあいをいれようとして)

息子の柔道の試合で 気合を入れようとして

(ぼうずあたまぱちんとたたいたら)

坊主頭 パチン と叩いたら

(そのあたまはしらないはげたおじさんでした)

その頭は知らない ハゲたおじさんでした

(おとうさんあなたのむすめのてんねんぼけのおかげで)

お義父さん あなたの娘の天然ボケのおかげで

(わがやはなにがあってもいつもえがおでいられます)

我が家は何があっても いつも笑顔でいられます

(ああきっとたぶんこれはあなたのいでんでしょうか)

ああ きっとたぶん これは あなたの遺伝でしょうか？

(ありがとうございますおとうさん)

ありがとうございます お義父さん

(おとうさんあなたはうまれたばかりのむすめをおいて)

お義父さん あなたは生まれたばかりの娘を置いて

(いえをでていってしまったのであったことがありません)

家を出て行ってしまったので 会った事がありません

(あれからあなたのむすめがどんなじんせいをおくり)

あれから あなたの娘が どんな人生を送り

(もがきくるしんできたかを)

もがき苦しんできたかを

(いまぼくはあなたにつたえたいのです)

今 僕は あなたに伝えたいのです

(おとうさんうんどうかいではいつもひとりきょうしつで)

お義父さん 運動会では いつも一人教室で

(だれにもあわないようにとひるやすみをすごし)

誰にも会わないようにと 昼休みを過ごし

(きょうかしょをかうおかねすらもははおやにはいえずに)

教科書を買うお金すらも 母親には言えずに

(いつもとなりのくらすのともだちにかりていたんです)

いつも 隣のクラスの友達に借りていたんです

(おとうさんよっつとしうえのおねえちゃんはぐれまくり)

お義父さん 四つ年上のお姉ちゃんは グレまくり

(せまいだんちにかえればそこはふりょうのたまりばで)

狭い団地に帰れば そこは不良のたまり場で

(ああへやにかぎをかけてまいばんなきはらしてた)

ああ 部屋に鍵を掛けて 毎晩 泣きはらしてた

(それをしっていましたかおとうさん)

それを知っていましたか お義父さん

(はたちをすぎぼくがすんでたとうきょうへとやってきて)

二十歳を過ぎ 僕が住んでた 東京へとやって来て

(ふろなしおんぼろあぱーとでふたりでくらしました)

風呂なしオンボロアパートで 二人で暮らしました

(あかちゃんができたときもきょしきなんていらないわ)

赤ちゃんが出来た時も 挙式なんていらないわ

(ただふつうのかぞくでいられればそれだけでいいと)

ただ普通の家族で いられれば それだけでいいと

(おとうさんあなたのむすめはたったのいちどたりとも)

お義父さん あなたの娘は たったの一度たりとも

(あなたのことをわるいようにはいったことなどありません)

あなたの事を 悪いようには言った事などありません

(ああちちがいなかったからいまがんばれてるんだと)

ああ 父が居なかったから 今 頑張れてるんだと

(よっぱらったときだけはなしてくれます)

酔っ払った時だけ 話してくれます

(おとうさんあなたのむすめはしあわせなかていだけを)

お義父さん あなたの娘は 幸せな家庭だけを

(ゆめみるうつくしいじょせいにいまなりました)

夢見る美しい女性に 今なりました

(ああもしよかったらいつかまごをみにきませんか)

ああ もしよかったら いつか 孫を見に来ませんか

(さけをのみかたりましょうおとうさん)

酒を飲み語りましょう お義父さん

(おとうさんあなたのむすめをもらってもうじゅうごねんです)

お義父さん あなたの娘をもらって もう十五年です

(まいにちさんにんのままとしてがんばってくれています)

毎日三人のママとして頑張ってくれています

(ああこんなすてきなむすめをぼくにくれて)

ああ こんな素敵な 娘を僕にくれて

(ありがとうございますおとうさん)

ありがとうございます お義父さん